表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ABYSS CHRONICLE  作者: 望月 梓
天恵の歌姫に賛歌を
5/19

1と3の違いをやっと理解しました


 「ん〜、やっぱこの杖最強じゃね?」


 そう思ったのはほかでもない、耐久値が全く減らないのである。かれこれ1時間程度戦闘を繰り返し、やっと気づくことが出来た。

 他の武器がドロップした時に対して、最初から耐久値なるパラメータがあるのにこの武器はそれがない。ステータスの乗りがよくはないが、壊れる武器と比べたらこっちの方がいいだろう。

 この2時間の間に何体もモンスターを倒した。倒したものにしては、何匹と遭遇したかは分からないが、青くて透き通っているファンタジーお馴染みの「スライム」、頭の宝石が特徴的な「カーバンクル」、背が低めの頭は犬ような感じで人型の「コボルト」などで、その間にレベルも3、4を超え5となっていた。

 

 『グルゥ!』


 「おっと。」


 そして今、さっき倒したと思われるやつの味方のようなコボルトが3人?匹?体?姿を見せた。

 コボルトはこちらを仮面の後ろの瞳からこちらを睨みつけている。さすがに3体はめんどくさいので離したいところではあるけど、相手はそれをさせないよう3方向の陣形を整えている。


 「グルァ!」


 「ッつ!」


 左のコボルトから持っている短剣を振りかざしてきた。その剣尖がバックステップを少し外した俺の肩を浅く抉る。

フルダイブ初めてのダメージを食らったが、左上のHPバーが2割程削れ、当たった場所が少し痺れるような状態を感じた。痛覚はさすがに一緒じゃないなと少し安心する。

 

 コボルトは単体で見ればさっき戦ったようにファイアボールを相手の攻撃を避けつつ当てれば良いのだが、3体いるとなると話は別で、スキルをいい、杖を掲げる時間と、安定した場所が必要となってくる。ファイアボールは杖の先端で火球を作り、相手に、向けて打つスキルだ。だから短い時間だが、3人の攻撃を捌きながらできる芸当ではない。

 さっきレベルは上がったのでMPは回復しているが、反撃するタイミングまるで掴めない。

 

 「マジで困ったな。あぶねっ!どうするか...。」


 右のコボルトからの攻撃を既で避け、息継ぎする暇もあまり与えてくれない連携に息を飲む。

 スキルを発動するには魔法職はある程度安定して行わないと当たらないということはさっきの1時間でよくわかっている。だから相手との距離を離してかつ杖を安定して構える場所が欲しいのだが、今は避けることだけで精一杯。頭をフル回転させながらも体は避けることにしか反応していない。


 「ファイアボーッ!ちっ無理か。」


 無理やりスキルを発動しようとするが、相手の攻撃に阻まれる。

 そこで、他のスキルの存在を思い出した。よく考えたら魔法系のスキルは「ファイアボール」しか使ってなかったことに気がついた。なので、他のスキルをもう一度相手を避けながら思い出す。

 

 「たしか、ショックボルトらしき魔法をさっき覚えた気がしなくもないような...ッつ本格的にッ、避けるだけじゃッ、ジリ貧だな。」


 この間にも攻撃は掠れ、HPがじわじわと減っていく。正直、1体が3体になっただけでここまできつくなるとは思っていなかった。だからこそゲームは奥が深いというものなのだが、そんなことを思いつつさっき習得したスキルを使用する。


 「ショックボルト!」


 手短にスキルを唱えた瞬間、前方に対して可視化された電気が流れた。威力はファイアボールより断然低いが、相手の攻撃を鈍らせることができるらしい。

 連携の乱れに生じて大きなバックステップで距離を置くことに成功する。


 「さて、やっとこっちの番だわ。」


 よくもやってくれたなという感謝(殺意)を込めて、


 「アイスバレット!」


 杖の先端に出来た計7つの透き通った氷の塊が相手へと飛んでいく。


 『ギャウンッ!』


 目の前の攻撃をしようとしていたコボルトと若干の痺れから回復したコボルトに命中し、倒すことに成功する。


 「あと一体!」

 

 地味にHPも2割切っているので一撃くらってもまずい。ほんとに慎重になりつつコボルトを目で追う。


 「グラァ!」

 

 右上から来る相手の攻撃を既で回避し相手がよろけたところに魔法を放つ。


 「ファイアボール!」


 声に応じた火球が相手に直撃し炎で包む。

 

 「ギャウンッ!」


 少し抗っているように見えたが、ポリゴン状となり消滅した。本当にギリギリだったが、なんとか死なずに済んだ。


 「はぁ...はぁ...ほんとに危なかった...。」


 レベルが上がった音楽のようなものが聞こえたが、最後のコボルトが落としたと思われるアイテムが見え、戦闘に疲れておぼつかない足で確認しに行く。

 ドロップしたアイテムをタップすると、アイテム名は「コボルトの首飾り」そして、お肉だった。あいつにこんなの着いてたか?と思ったが、ドロップしたということは着けていたということだろう。


―――――――――――

 コボルトの首飾り


 コボルト小隊リーダーがつけている証。

 STRが上昇し、物理クリティカル率が上がる。


 STR(+5)

 CTR(+2)

―――――――――――


 いや、ゴミじゃん...。魔法職なんだからさもうちょいあったじゃん。

 てっきり首飾りなので体力や防御力が上がるものかと思ったが、違うようで今の疲れが上乗せされる。


 「とりあえずストレージにしまうか...。」


 苦戦した対価に見合わない報酬に落胆し、1度街に帰ることにするのだが、とりあえずさっきレベルが上がったのでステータスを確認する。


―――――――――――

  PN KPro

 所持金:4020リル

 Lv:7

 HP(体力):48

 MP(魔力):23

 STR(筋力):14

 VIT(耐久力):17

 INT(知力):23

 AGI(敏捷):13

 DEX(技量):16

 LUK(幸運値):12


 SPステータスポイント:(24)

 メイン

 魔法熟練度 9


 パッシブ

 索敵 熟練度6

 

 スキル

 ファイアボール

 アイスバレット

 ショックボルト

 ファーストエイド(NEW)

 

 

  装備

 右:ノーマルロッド(INT+2 MP+2)

 左:無し

 頭:無し

 胴:無し

 腰:無し

 足:無し

 アクセサリー:無し

――――――――――

 

 ちょうど回復出来そうなスキルを覚えていたので、使って見たところ、MPが減り体力が3割程度回復した。多分HPによって回復する量が決まっているか、もしくは一定回復かのどっちかだろうが、回復スキルを手に入れたのは結構重要だった。

 最初の走った時は全然疲れなかったが、精神的に疲れたらしい。あと、微妙にどうでも良くないのは、クリティカルというパラメータが存在することだ。このステータス画面に表示されないステータスがあると知れたのはかなり大きいけど微妙でもある。頭に入れる情報が増えるからな...。

 

 「まあ、魔法クリティカルなんてものが出ない限り考えることは増えないでしょ。」


 楽観的に考えるのが結局一番楽なものなのでそう考えることにした。

 それから全くいじってなかったステータスポイントを確認する。このゲームではレベルアップでステータスにポイントを割り振ることができる。7レベルになったことで24のポイントを手に入れている訳だが、振れるのはHPMPを除いた5つらしい。いい振り方なんて全く分からないのでとりあえず知力と技量に半分ずつ振ってみた。それから目の前にあった木に向かってアイスバレットを放ってみると、気持ち威力が上がったような気がするし、当たる場所が一点に集中してる気もする。まぁ、全部気持ち程度だがいつか良くなるでしょ。

 疲れがどっと来たのにも関わらず、回復スキルを手に入れたという点からまた経験値探しをするのであった。

 

 

 

コボルトの首飾りはコボルトが三体以上であり、中にリーダー個体がいないとドロップしません。そして、この状況でドロップする確率は5%以内です。(ここ重要)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ