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ABYSS CHRONICLE  作者: 望月 梓
天恵の歌姫に賛歌を
3/19

仮想世界なんて現実みたいなものでした


 目からの入る情報が消えてすぐ、目の前に虹色の光が弾けた。全てが正六角形のように見えるが、割と形はまばらのようだ。最初はぼんやりと滲んで見えていたが、脳の視覚情報との接続が確立され、クリアに浮き上がる。

 歪んでいたサウンドも和音へとピッチを変え、起動音を奏でて消える。

 そしてセットアップステージを迎え、体の皮膚感覚、重力感覚等の調整が行われた。「OK」の文字が出ると、体が暗闇に落ちていき、その仮想のおぼつかない足で地面と思しきところに着陸した。

 目の前に現れた鏡のようなオブジェクトを見て、初めての仮想の体に驚愕する。顔は20代くらいだろうか、自分の顔に似ていなくもないと言った顔である。少し動かしてみると、驚くほど馴染み、自分の体ではないなんてとても思えなかった。

 少し自分の姿を見ていると目の前に「ABYSS(アビス)CHRONICLE(クロニクル)」のロゴが現れ、アカウント情報登録という文字が現れる。そして、頭上から柔らかい女性の声でウェルカムメッセージが聞こえてきた。

 俺はその声に従い、アカウント作成及びキャラクターの細かな修正を開始した。胸より少し低い位置にホログラムのキーボードが現れ、新規登録ID及びパスワードを求められる。

 IDはSNS連携も出来たので、それで行い、パスワードは長年愛用しているものを選ぶ。

 次いでアカウント名入力がやってきた。他のゲームやSNSで利用している「KPro(ケープロ)」という名前を入力し、性別は男性を選択する。

 次に、キャラクターの作成を促された。このゲームには初期装備があるらしい。前の初期ジョブって何だったんだよ...。

種類は大剣・片手剣・弓・杖など様々で見移りしてしまうが、せっかくファンタジーなんだから魔法を使いたいということで杖を選択。

 容姿は大抵のゲームは変えるために追加料金がかかると聞くが、初期の容姿はある程度変えることができるらしい。まぁ今回は、最初に渡される容姿で割と気に入ったので不都合はない。

 お試し感覚でやるつもりなので適当に決めて完了のボタンを押す。全ての初期設定が終了し、良い旅を、という声に送られて、俺は光の渦に包まれる。説明通りならば第1層の転移門前に移動されるそうだ。


 「さて、やりますか!」


 俺も腐っていてもゲーマーであることには変わりはない。お試し感覚だったとしても適当にやるつもりはないので気合を入れる。それから俺自身の体はポリゴンに包まれた。


―――――――――――――――――――――――――――


 目を開けると本当にただのファンタジー世界だった。仮想のものとは思えない風の感触、匂い。ただのもうひとつの現実のように感じる。

 周りを見渡すと、最初の街だからだろうか、人もざっと見ただけで100人近くいるだろう。

 様々な仮想の五感の情報に戸惑いながらも仮想世界の1歩をふみしめる。周りには自分の装備を見て騒ぐもの、足早にここを去っていくもの、フレンドと思しき人と話している人など様々な人がいた。


 「本当に色んな店があるもんだな。」


 ゆっくりと周りを見渡しながら道なりに進んでいくと用途の様々な店がある。道具屋、装飾屋、鍛冶屋や食材を売っている店まで存在した。

 フルダイブのようなある意味恐怖の募るハードだが、今になって使われている理由が分かった気がする。ある意味ここはパラレルワールドのように扱っている人が多いのだろう。街にはカフェも存在し、プレイヤーの溜まり場となっているようだ。

 しかし、プレイヤーの中には初期装備のまま歩いている人や、明らかにステータスの上がりそうな防具を揃えている人も存在している。


 「始まったの今日なのにもう優劣が出てんのか。」

 

 率直な感想だったので、声に出てしまった。少し鋭い視線を感じたような気がするが、気にしないでおこう。

 少し歩くと、噴水が見えた。ここでスキルの確認をしようと考え、噴水の縁に座り込む。噴水の水がミスト状になっていて、顔にかかり周りが涼しい。

 そしてダイブする前に見たマニュアルに書いてあったとおりに右手をフリックしてステータス状況を確認する。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 PN KPro

 所持金:3000リル

 Lv:1

 HP(体力):32

 MP(魔力):14

 STR(筋力):8

 VIT(耐久力):12

 INT(知力):16

 DEX(技量):9

 LUK(幸運値):7


 SPステータスポイント:(5)

 メイン

 魔法熟練度 1


 パッシブ

 SELECT 索敵or隠蔽

 

 スキル

 ファイアボール

 アイスバレット

 

  装備

 右:ノーマルロッド(INT+2 MP+2)

 左:無し

 頭:無し

 胴:無し

 腰:無し

 足:無し

 アクセサリー:無し

―――――――――――――――――――――――――――

 

 今になって左上に出ている緑色と青色のバーがHPとMPであることを確認する。

 初期の服は装備品には写っていないがこれが仕様なのかな?と疑問に持ちながらももう一度ステータスを確認した。

 そして、パッシブスキルの選択は少し悩んで索敵を選択。熟練度が1になってファンファーレのような甲高い音が鳴り、スキル「サーチ」を習得した。

 

 「これで持っているスキルは3つか... 」


 スキル内容を一通り確認して、たった3つしかないことに肩を落とす。

 

 「まぁ、これからやってれば増えるでしょ!」

 

 ポジティブに考えて立ち上がる。レベルを上げるとなるとやはり町は出なければいけない。そう思い、とりあえず街を探検しながら街を出る方法を探しに歩き出した。




 かれこれ10分くらい直進しているだけだが、街の捜索兼散歩を行うとゲートらしきものが見えた。御丁寧に目線の先にウィンドウもでてくる。

 いきなり出てきたウィンドウを見ると、「これより先は圏外となります。圏外では、モンスターが現れパーティーではないプレイヤー同士の戦闘も行われますので、PlayerKill通称PKも行われます。まだジョブ・・・」と書かれている。続きがありそうだが流れで読み、今後このメッセージを通知しますか?に直ぐにバツを選択し、ウインドウが消える。

 

 「はー...」



 え?PKあんの?


一応乗っけておくとこんな感じです。


 ステータス

HP  体力、0になると現在攻略している街へとリスポーン

MP 魔力、0になってもペナルティは特にはない。レベルアップで全回復する。


STR 攻撃力、増えると持てる持ち物が増える。


VIT 耐久力、主にHPに補正が乗る


INT 知力、魔法攻撃力に影響を与え、高いとMPに補正が乗る


DEX 器用さ、弓や魔法の命中率に補正が乗る。


LUK 幸運、上げればあげるほど幸運になる

(確率の上昇、モンスターエンカウントの低下、イベント系統のエンカウント率上昇など。)

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