第84話 おつかい
「とにかく、私の大人化のポーションを浄化されたのはクドウさんのせいらしいのでクドウさんに責任をとって貰うです!」
「俺のせいなんだ。で、責任ってのは?」
面倒臭い事を頼まれたら断るつもりで、俺のティアネーにどう責任をとればいいのか聞く。
「私を王都に住まわせてです!」
「俺にそんな金無いから無理だ」
「そこをなんとかするです!」
「無茶言うなよ……そもそもティアネーは王都へ行ってどうするんだよ」
「素材を買うです。また五年掛けて作るです」
諦めて無かったのか。俺なら五年も費やした物が無駄になったら諦めるだろう。
まぁこいつがそれだけ大人になるのに執着してると言うことか。
「というか素材を買うだけなら住まなくてもいいだろ」
「そうですけど、王都に住んだ方が楽なのです」
「そんな理由かよ。じゃあ金さえだしてくれれば俺が買ってきてやるよ」
「あ、じゃあお願いするです」
俺はティアネーからメモと金を受け取ってフレイア達のところまで帰って来た。
「あっ、クドウさん。どこ行ってたのよ?」
「森がまた侵食されてないか念のため確認しに行ってた」
「なるほどね。で、大丈夫だったの?」
「あぁ。ここと全く変わらない景色だった」
「そう。それはよかったわね」
俺達は適当に会話しながら魔物の討伐を再開した。
皆と合流してからクエストの達成報告と、素材の買取をしてから解散する。
「悪いフレイア。俺はちょっと寄るところがあるから」
「えぇ、分かったわ」
屋敷のすぐ近くと言う事ですんなり離れる事を許してくれたフレイアを見届けてから、素材屋に向かう。
素材屋でメモに書いてある通りの素材を買ってアイテムボックスにしまった俺は、屋敷へ帰る。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
メイドが出迎える。
帰宅したら出迎えてくれる人がいってのはいいな。なんか安心する。
俺は自分の部屋に戻って、魔女の家に転移する。
「わわっ!? ……な、なんだぁ……クドウさんですか。びっくりしたです……」
「いや、ごめん。またいつものように家の中に居ると思ってた」
決して俺が直接家の中に転移したのではない。玄関前で鉢合わせたのだ。
「いつものようにってなんです? まるで私が引きこもりみたいな言い方です……」
「……そんな事より買ってきてやったぞ」
「本当です? ありがとうございますです!」
「あぁ。それだけだ。じゃあな」
「あ、え、ちょっと、待っ──」
ティアネーの制止を無視して俺は自室に転移する。
俺は自室の空中に転移して、床に足をつく前に汚れた靴と靴下を脱いで床に汚れがつかないようにした。
それから暫く寛いでいると、ドアがノックされた。
「はい」
「あら、いらっしゃったんですね。一応ノックをして正解でした。 ……クドウ様。担任の方がいらっしゃっています」
「……今行きます」
ナタリアが? なんの用だろう。勝手に退室した事を叱りに来たのだろうか。




