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第83話 優しい黒龍

 噴水広場でラモン達を待つ。


 すると程無くしてラモン達、全員がやってきた。


「…おいおい。アキぃ~フレイアぁ~二人して学校サボって何処で何をしていたんだよぉ~?」

「君達がそう言う関係なのなら俺は二人の関係に口出ししないが、せめて授業ぐらいは受けないか?」

「そうですよ二人とも。学校サボってまでデートなんてよくないですよ」


 なんだ? いきなり何の話だ? デート?


「な、な、なななっ! で、デートなんかしてないわよ!」


 ……思い切り動揺しながら言っても説得力ない。


「怪しいですわ! 目が泳いでますわよ!」

「い、いきなり……で、で、デートなんて言うからちょっと動揺してただけよ! クドウさんもなんか言ってよ!」


 面白いからもう少し眺めていたかったんだけどな。仕方ないから俺も口を挟もう。


「俺は自分の用事があっただけだ。フレイアは付いていくって言うから付いて来させただけだ」

「そうよ! 私達は用事があっただけよ!」


 お前は用事は無かったけどな。


「…ふーんまだまだ聞きたい事はあるけど……時間が勿体無いしクエスト受けにいくか」


 納得いっていない様子のラモンが言う。


「そ、そうですね! 皆さん早く行きましょう!」




 そんな訳で俺達は今ティアネーの森にいる。いつも通り四人で行動している。今日は俺とフレイア、ガレット、ラウラだ。


 俺は適当に魔物を狩ってから森の奥へ行く。勿論、侵食されていないかを確かめる為だ。

 森全体をクロカに浄化させたから発生源も浄化されていると思うが念のためだ。




 森の奥は綺麗な緑が広がっていた。良かった。ちゃんと浄化されているようだ。


 森を浄化したこと、ティアネーにも伝えておくか。あいつも浄化のために動いていてくれたらしいからな。


 そう思い俺は魔女の家の前に転移した。




 魔女の家を囲んでいた毒々しい沼は透き通っていた。

 浄化された沼のせいで魔女の家が、湖の上に浮かぶ神秘的な小屋のようになっていた。


 俺は苦笑しながら家の中に入る。




 ティアネーが倒れていた。


 俺はティアネーに駆け寄り、取り敢えず聖魔法で治癒しながらティアネーを揺さぶる。


「あ、は、は、はは、は……」


 ティアネーは死んだように光の無い目で壊れたように笑った。


「おい、どうした? なにがあった?」


 俺の問いに答えるようにティアネーはポツリポツリと話し出す。


「…………五年掛けて作っていた……私の大人化ポーション……希望のポーションが……いきなりただの水に……」

「…………あっ……」


 …………


 俺は聖魔法の使用をやめてから、ティアネーを横たえて出口へ向かって歩きだす。


「……待てです。クドウさん……貴方……心当たりあるです……?」

「無いぞ」


 俺は即答する。


「……じゃあさっきの『…………あっ……』てなんです?」

「……さぁ?」


 答えに詰まった俺は諦め気味に惚けた。


「今から裁判を始めるです」

「……俺がやった」


 面倒臭い事になると思った俺は素直に白状する。


「……」

「……ティアネー……?」

「……酷いです……クドウさん……なんでこんなことをしたです……?」

「わざとじゃない。ただ、森全体を浄化してただけだ。 その拍子にその大人化ポーションも浄化してしまったんだろうな」

「森全体をです……? どうやってそんな……」

「黒龍を使ったんだ」

「……え? ……黒龍……です?」

「あぁ。今は屋敷でメイドの勉強してるだろうな」

「いやいやいや! ありえないです! あの黒龍さんが!?」


 あの黒龍さん…? ティアネーはクロカの事を知ってるのか?


「もしかしてその黒龍と知り合いなのか?」

「はいです。ちょっと前、ポーションの素材集めに森の奥へ行った時に黒龍さんの寝床に入っちゃったみたいで……」


 マジかよ。なんでこいつは生きてるんだ? クロカと渡り合える程強くないだろうに。


「見逃して貰えたのか?」

「はいです」


 あの、寝床に入った奴は皆殺し! って感じのクロカが?


「なんで見逃して貰えたんだ?」

「えっと……『貴様はまだ幼い故、今回我の寝床を侵したのは見逃してやろう。ただし……次は無いぞ』って言ってたです」

「……へぇ……あいつも優しいところあるんだな。よかったなティアネー。生きてて」

「よくないです! この話、一ヶ月前の話です! 私もうすぐ十六歳になるのに!」


 …………あっ……

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