表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/365

第82話 フレイア・アイドラーク 5

 学校をクドウさんとサボった私はクドウさんにお姫様抱っこされながら空を飛んでいた。


 私達はテイネブリス教の本拠地を探す為に留置場に来ていた。

 本当に手掛かりを見つけられるのかな? と思うけど、クドウさんの事だ。黒龍を手懐けた時のように予想できない事をするのだろう。


 留置場に入ったクドウさんはしがみついた私を連れて迷い無く留置場内を進んでいく。私がしがみついているのは緊張しているからだ。認識阻害は派手に人に干渉すると効果を失ってしまうらしいから尚更緊張する。決してクドウさんに引っ付きたいだけとかじゃない。


 驚きの手順で鉄扉を解錠したクドウさんはある檻の前で立ち止まった。

 檻の中には、この間学校を襲撃したテイネブリス教団のリーダーが居た。


 私は驚いて声をあげそうになるが、事前に声を出すなと言われていたので踏みとどまった。


 襲撃者にクドウさんが口調を変えて接する。


 普段のクドウさんの口調に慣れているせいで、今のクドウさんが気持ち悪く感じた。私の顔はおかしいものを見る顔になっていただろう。


 クドウさんの雑な質問にあっさり答えた襲撃者を置いて私達は留置場を出た。



 襲撃者から聞き出した場所くるとそこは洞窟だった。

 その不気味な洞窟を前にすると、私は緊張と怯えで心を乱していた。そんな私をクドウさんはじっと待ってくれてた。




 目が覚めると私は地面に寝転がっていた。


「ん……あ……れ……? ここは……?」

「テイネブリス教団が住み着いてた洞窟の前だ」


 思わず口から出た呟きにクドウさんが答えてくれる。


「……そう……あっそうだ! テイネブリス教団! 早く倒しに行かないと!」


 思い出した私は勢い良く起き上がって言った。


 でもクドウさんは予想外の事を言った。


「安心しろ。お前が寝てる間に俺が片付けておいた」

「……え?」


 間抜けな声を出してしまった。

 そうか。結局私は何も出来なかったんだな。

 そう思うと自分が情けなくなった。


「お前がいきなり寝るから俺が一人でやったんだ」

「そ、そうだったのね……ごめんなさい……迷惑かけちゃったみたいで……」


 私は迷惑をかけて足を引っ張った事を素直に謝る。


「……いや、別にいい。さて、帰ろうか」

「……そうね。帰りましょう」


 何故か気まずそうに答えたクドウさんを不思議に思いながら私はクドウさんに同調した。



 ……でも不思議だ。私はこの洞窟に入って、どこか見覚えのあるテイネブリス教徒と戦った記憶がある。

 その上、テイネブリス教団の代表がいると思われる部屋の前にも辿り着いた記憶がある。


 ……いや……でも……実際に私は洞窟の前で気絶していたし、これは夢だったんでしょうね。




 噴水広場に近いレストランで私達は食事をとる。まぁクドウさんはお腹空いてないから何も注文していないけど。


 不思議ね。私より動き回ってた筈なのに私よりお腹が空いてないなんて。

 屋敷で一緒にご飯を食べてる時も私と同じ量は食べてたから、少食ってわけじゃなさそうだけど。


 やがて、遅めの昼食をとった私はクドウさんに見守られながらお会計を済ませた。


 私はお会計をしながら、クドウさんはもしかしたらお腹が空いてないんじゃ無くて、お金が無かったんじゃないか? と思い付いた私は、今日迷惑をかけたお詫びに奢れば良かったと後悔した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ