第78話 話の続き
連れていかれるクロカを見送ってから俺は部屋に戻った。
その後は夕食を食べ、入浴し……淡々と時間が過ぎていった。
やはりこの世界には娯楽が必要だ。ゲーム機とまでは言わないが、せめてボードゲームぐらいは欲しい。
翌朝
俺はいつも通りフレイアと登校する。途中でエリーゼとクルトに出会った。
「おはようございますわ!」
「おはようございます」
「おはよう」
「二人とも、おはよう」
挨拶を交わし、俺たちは歩き出す。
「エリーゼさんとクルトさんはいつも一緒なの?」
「違いますよ。今日はたまたま出会っただけです」
フレイアの質問にクルトが返す。
「わたくし驚きましたわ。クルトさんと家が近かったなんて」
「俺も驚きましたよ。あのでっかい屋敷からエリーゼさんが出てきた時には」
等と他愛もない話をしていたら学校に到着した。
校門の前にはナタリアが立っていた。
「あ、来ましたねクドウ君。昨日の話の続きをしますから校長室に来て下さい」
「昨日……? あぁ。あれか。悪い三人とも。じゃあな」
俺はフレイアとエリーゼとクルトに別れの挨拶をしてからナタリアに付いていく。
「クドウ君。いくら急いでいても勝手に帰ったらダメですよ?」
「気を付ける」
「はぁ……本当ですか?」
「あぁ」
「心配です……」
気を付けるだけで自分勝手は止めないんだが。それにしても俺はそんなに心配されるほどしっかりしてないか?
コンコンコン
「失礼します」
「どうぞ」
ナタリアに続いて俺も校長室に入室する。中には昨日と同じ人間が揃っていた。
「昨日は取り乱してしまいすみませんでした」
「謝るような事じゃないと思うけど」
「そうでしょうか?」
なんだ? 馴れ合いがしたいのか?
「あぁ。で? 今度はなんだ? 昨日も言った通り俺がお前らに責められる謂れはないぞ」
「そうですね……でも、貴方が学校を止めてくれないと他の生徒が被害に遭うかも知れません……」
「そんなのテイネブリス教団を壊滅させればその心配は無くなる。だから──」
「そうですけど! そうはならないんです! テイネブリス教団の本拠地はまだ見つかってません。騎士団が動かないのがその証拠です。つまりテイネブリス教団を壊滅させられる人はいないんです」
そんな当たり前の事を説明しなくていい。それより俺の話を遮るな。俺が言いたかったのは俺が見つけて壊滅させると言うことだ。
「話を最後まで聞け。いいか? テイネブリス教団を壊滅させればその心配は無くなる。だから俺が壊滅させてやる」
「「……は?」」
ナタリアと男子生徒の声が見事に揃う。
「クドウ君!? 危ないです! やめなさい!」
「僕は学校を辞めろと言っただけで、何も死ねなんて言ってないですよ!」
こいつらの中では俺が怪我をするのが確定しているようだ。この間の学校襲撃のとき、無傷で済んだのを知らないのだろうか。
「そう思うなら勝手に思っていてくれ。おい、校長。俺が捕らえたテイネブリス教徒がどこに連れていかれたか知っているか?」
「……生徒が危険な行動を取ろうとしているのを知っていてこの校長である私が協力するとでも思っているのかい?」
「そうか。期待外れだ。じゃあ俺は自分で探す事にするよ」
そう言って俺は立ち上がり、校長室を後にする。