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第77話 メイド

 さて、名付けが出来たのは良いが、フレイア達にクロカの事をどう説明しようか。


「どうしたのだ?」

「いや、仲間にお前の事をどう説明しようかってな」

「普通に『黒龍のニグレド』だって説明すれば良いだろう?」

「俺はこの世界で黒龍がどう言う立場なのか知らないから迂闊に喋れないんだ」

「……この世界……? まぁ我も龍種が人間にどういう扱いを受けているのか知らんな」

「うーん。……特にいい言い訳も思い付かないし正直に話すか」


 問題が無いのも良し。龍種とやらが厄介事の種になってくれるのも良し。

 どう転んでも俺が損をする事は無いだろう。




 俺はフレイアに責められていた。


「……クドウさん……その子はなによ……?」


 フレイアがジト目で問い詰めてくる。ロリコンなんですか? とでも言われている気分だ。


「黒龍のニグレドだ」

「……は? ……黒龍……?」

「森を探索してたら見つけたんだ」

「……ど、どういう事なの……? 理解が追い付かないわ……」


 フレイアは頭を抱えて唸る。やっぱりすんなり受け入れられないか。


「なぁクドウ。本当にその子供は黒龍なのか?」

「あぁ。角が生えてるだろう。二本」

「そうだが……悪魔族にも生えているらしいからな……」

「そうなのか。面倒臭いな。黒龍の姿に戻れば信じられるか?クロカ。龍の姿に戻れ」

「良かろう」


 クロカは眩い光を放ち、黒龍に戻る。


「……な、なによこれぇぇぇ!?」

「…うっわ……マジかよ!」

「これは……紛れもない本物だな……」

「これが黒龍ですの? 途轍もない威圧感ですわ!」

「す、凄いです……! 私なんか一口で食べられちゃいそうです……」

「……ボク……龍種なんて初めて見たよ……!」

「これが龍種……俺なんかでは到底敵わないでしょうね……」


 様々な感想を洩らし、皆一点を見つめている。


「ふははは! 人間が我を見て恐れ戦く様を見るのは愉快だな!」

「ほら、分かっただろ。こいつは黒龍だ。よしクロカ、人間の姿に戻れ」

「嫌なのだ! やはり我はこの姿が良いのだ!」

「もう一度教えてやらないと分からないか?」

「わ、分かったのだ! ……ほ、ほら! 人間の姿に戻ったぞ!」


 異様に怯えるクロカを見て思う。やっぱりやり過ぎたかと。


「どうやら本当に黒龍らしいわね……」


 わかって貰えたらしい。


「あぁ。それでだ。フレイア、こいつを屋敷に住まわせてやってもいいか?」

「……あぁそうよね……まぁ……いいんじゃない? あとで一応お母様にも聞いてみるわ」

「ありがとう」

「屋敷とはなんだ?」


 クロカが俺の服を引っ張って聞いてくる。


「……お前に分かりやすく言うと、寝床みたいなもんだ」

「おぉ……なるほどな。我の寝床は滅茶苦茶になってしまったのでな。礼を言うぞ小娘」

「小娘じゃなくてフレイアだ」

「フレイアと言うのか。他の者の名前はなんと言うのだ?」


 それからは皆で自己紹介をした。


 俺がなぜニグレドの事をクロカと呼んでいるのかを聞かれたが、愛称だと説明しておいた。

 ラモンがニグレドをクロカと呼んだら、クロカは必死になって止めさせていた。まぁまだそんなに親しくないから嫌だったんだろうな。いや、俺もそんなに親しくないか。


「じゃあ王都へ帰ろうか」


 いつも通りクエストの達成報告と、素材の買取をして貰って、俺たちはそれぞれの帰路についた。


「ただいまー!」

「ただいま」

「おかえりなさいませ」


 いつものように俺とフレイアをメイドさんが出迎える。


 そこにオリヴィアが通り掛かった。オリヴィアはメイドさんに他の仕事をするように言い、こちらに向かってくる。


「二人ともおかえりなさい」

「ただいま。お母様」

「ただいま。……あのオリヴィアさん。突然申し訳ないんですけどこの子を住まわせてやってもいいですか?」


 俺はそう言いクロカを前に出す。

 因みに俺がオリヴィア相手に敬語を崩さないのは、お世話になってるからだ。

 赤の他人である俺を快く住まわせてくれているのだから、最低限の敬意を払うのは当然の事だろう。


「あら、その子は……?」

「ティアネーの森で拾った黒龍のニグレドです」

「……どうやら本当の事らしいですね。しかし、黒龍ですか……クドウさんは相変わらずそう言った事に運があるようですね」

「ははは。そうですね。えっと……【看破】ですか?」

「えぇ。それでその子を住まわせる事は構いません。ですが、その子にも働いて貰います。 働いていただけるのなら幾らでも構いません」


 まぁ当然だろう。俺もフレイアの護衛と言う事で住まわせて貰っているのだから。


「なにをさせるんですか?」

「そうですね……じゃあメイドをやって貰いましょうか」

「おい。貴様」

「俺は貴様じゃない」

「うぬぅ……あ、アキよ。メイドとはなんなのだ?」

「どう説明すればいいのか分からないな……まぁ、メイドの仕事してたらその内わかるだろ」


 俺はメイドを語れる程、メイドに詳しい訳じゃ無いからな。


「……それもそうだな。そこの女よ。我をメイドにするが良い」

「女だけどその人はオリヴィアって言うんだ。フレイアの母親だ」

「オリヴィアと言うのか。さぁ教えるのだ」

「えぇ。では行きましょう。……クドウさん。フレイア。またあとで会いましょう」


 オリヴィアはメイドを呼び、メイドと共にクロカを連れて去っていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ①どうやら本物に黒龍らしいわね  →どうやら本当に黒龍らしいわね
[一言] アイドラークさんちのメイドラドン ただこれを言いたかっただけ。
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