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第76話黒龍の名付け

「取り敢えずこれでも着ておけ」

　俺はアイテムボックスから、日本にいた頃着ていた制服の複製を黒龍に渡した。

　本物は俺が今着ている。フェルナリス魔法学校以外で、これ以外の服を着る気は今のところない。

　因みにちゃんと毎日洗っているぞ。

　水魔法で高速洗濯！　風魔法で高速乾燥！

　ちなみに制服の複製は、馬車に乗ったラウラが襲われていた時に殺して喰った盗賊が持っていた【裁縫】スキルで作った。

　複製の方は胸ポケットに刺繍がしてある。

「なんだこれは？　別に要らぬぞ」

「人間の街では着ないといけないんだ」

「だからなんなのだ！　我は龍種だぞ！」

「今は人間だろうが。それとも変態呼ばわりされたいのか？」

「なんだと……？　我が変態だと！？」

「そうだ。服を着ずに街を歩いている人間は変態扱いされるんだ」

「…………ふん。ならば仕方がない。これ以上の屈辱を味わいたく無いからな」

　今のこの黒龍の見た目も相まって子守りをしている気分だ。

　そう言えばこいつの名前どうしようか……こいつは名前持ちの魔物じゃ無かった。名前があれば手間が掛からなくて助かったんだが……

　それにしても、名付けか……難しいな。

　因みにこれが黒龍のステータスだ。

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名前:

種族:龍

Lv78

MP :18,292(7,823)

物攻 :18,287(7,812)

物防 :18,293(7,814)

魔攻 :18,298(7,829)

魔防 :18,290(7,821)

敏捷 :18,318(7,839)

固有能力

【】【】【浄化】【】

能力

爪撃Lv4 牙撃Lv3 竜の息吹Lv5 威圧Lv2 飛行Lv3 咆哮Lv3 人化/龍化

魔法

火魔法Lv3

水魔法Lv2

土魔法Lv2

風魔法Lv3

氷魔法Lv1

雷魔法Lv3

光魔法Lv2

闇魔法Lv2

無魔法Lv3

聖魔法Lv3

時空間魔法Lv2

称号

黒龍の姫

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　これを見れば名前が無いのが分かるだろう。

　()の中の数値は人間の姿の時のステータスだ。

　俺がこいつを手放さない訳は黒龍と言う希少そうな存在だと言うことの他にも、『黒龍の姫』なんて称号があるからだ。

　姫なのに名前が無いって……いや、これが龍種の文化だったりするのか？

　そんな事より名前だ。…………黒……魔物……モンスター……化け物……黒……化……黒化……クロカ？

「おい、貴様。なぜいきなり黙ったのだ？　おい。おーいおーい。……無視か？　……この我をぞんざいに扱うと言うのか！？　まだ我に屈辱を与えるのか！？　おい貴様！　聞いておるのか！？」

「今お前の名前を考えてんだ。ちょっと黙ってろ！」

　思考を邪魔された俺は思わず声を荒げてしまう。

「ひっ……！　な、なにも怒鳴る事無いだろう……なぜ我の名などでそんな真剣に…………ハッ！！　ま、まさか……！！」

　まだブツブツ言ってるけどさっきよりは格段に静かになったから許してやろう。

　まぁでも黒化はいい線行ってると思う。じゃあ……コッカ？ ……いやなんだそれ。もっと捻ろう。

　そう思い、俺は再び脳を使って思考を始めた。

　……

　…………

　………………

　そうだ！　ニグレドだ！

　突然頭に浮かんだ名前だ。

　女性の名前としてはちょっと厳つい気もするけど、これが俺に出来る最大限の名付けだ。

日本人のような名前なら比較的楽なんだけどな。生憎ここはファンタジーだ。日本名は浮いてしまうだろう。

「決めたぞ。お前の名前」

「ふおおおおおおおおぉぉ！！！　ほ、本当か！？！？」

　なんだこいつ。なんでこんなにテンション高いんだ？

「あぁ。お前は『ニグレド』だ」

「ニグレド……」

「嫌か……？」

「いや！　これが良い！　我に相応しい格好いい響きだ！　褒めて遣わす！」

「ははは。気に入って貰えたようでなによりだ」

「今から我はニグレドだ！」

「まぁ俺はクロカって呼ぶけどな」

「な、なぜだ！？」

「愛称だ」

「……愛称……ふむ。愛称か……ふふ……良かろう。貴様には特別にクロカと呼ぶ事を許可してやる！」