表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/365

第73話 黒龍

3/21

黒龍に翼が生えている描写を削除しました

 俺は侵食された森を進む。

 道中、普通の魔物は出てこなかった。出てきたのは体の至るところが黒ずんでいる……『侵食された魔物』だけだった。


 なるほどな。これは生物まで侵食してしまうのか。


 益々放って置けなくなった。


 森の奥は暗かった。明かり無しではまともに歩けない程に。だからと言って俺は明かりを灯さない。


 俺には【暗視】スキルがあるからだ。態々他の生き物に自分の存在を教える、明かりよりこっちの方が得だ。

 まぁここの魔物はそんなの関係ないようで、普通に暗闇からでも襲い掛かって来るけど、それは【探知】で対処している。




 進み続けると拓けた場所に出た。辺りには白い靄が漂っている。そして、相変わらず暗い。


 頭上には葉が無いのに。




 奇妙な光景に俺が立ち尽くしていると、段々と明るくなってきた。


 なんだ?


 みるみる内に空が見えるようになった。周囲の草木も緑色に戻っている。


 そこで俺の【探知】に何かが反応した。


 何かが高速でこちらへ向かって来ている。


 空から何かがやってくる。強者の気配。




 来た。


 それは高速で垂直降下する。そしてそれは高速垂直降下で発生した吹き荒れる暴風の中、俺の前に煙に隠れ、大きな影が姿を現した。



 煙が晴れると、そこには空中に浮遊する巨大な蛇がいた。




──龍




 漆黒に染まったその身体はどこまでも深く続く闇を思わせる。言うなれば黒龍だろう。


「貴様か?」


 黒龍は重圧感のある声でなにかを問う。


「……」


 なにを聞かれているか分からないので、俺は黒龍の次の言葉を待つ。


「貴様が我の寝床を穢したのか?」

「違う。俺は今お前が振り払ったこの穢れの原因を探していたんだ」

「ほう。それは良い事だ。だが、それと我の寝床に踏み入った事は別だ。我の寝床に許可なく踏み入るのは到底赦される事ではない」

「そうか」

「貴様には死をもって償って貰う」


 寝床に入っただけでか?


「それだけで殺されないといけないのか?」

「そうだ。龍の頂点である我の寝床に勝手に踏み入るのはそれだけ重い罪なのだ」

「そうか。なら仕方ないな」


 俺はこいつとの平和的解決を諦めた。襲い掛かって来ると言うのなら、死なない程度に反撃しよう。


「ただの人間の癖にやけに物分かりが良いな?」

「そうか?」

「あぁ。だからと言って我は赦さないがな」


 いつまで馴れ合いを続けるんだよ。俺を殺すんじゃ無いのか?


 そう思った俺は挑発する。


「……ゴチャゴチャ言ってないで早くかかってこいよ」

「なんだと? 貴様……今なんと言った?」

「ゴチャゴチャ言ってないで早くかかってこいよ。って言ったんだ」

「そうか。聞き逃した事にしてやろうと思ったが、そうかそんなに早く死にたいか。良かろう。苦しまぬように一瞬で殺してやろう」


 黒龍はそう言って空中を蛇行しながら俺に突進する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ