第7話 油断大敵
ステータスからMPの項目が抜け落ちていたので修正しました。
まぁ、種族が【異質同体人間】になったとしても、その分人間らしく生きればなにも問題ないし、そもそも体を変形させなければ人間なんだから、そんなに気落ちする必要はなかったんだ。
僕は自分の行動を思い返しながら、この遺跡から出るために進む。
やがて僕がたどり着いたのはまたしても小さな部屋。
さっき居たところと同じように物が見当たらない。
何もない小さな部屋には緑色の肌をした醜悪な見た目のモンスターだ。
ゴブリンと称するに相応しいその生物は僕を見るなり、グギャギャ!と不快な声を上げ襲い掛かってくる。
僕は強化された動体視力と身体能力をいかして最小限の動きでゴブリンのパンチを回避してカウンターを叩き込む。
するとゴブリンの顔面はひしゃげて曲がった。
僕はゴブリンの涎が付着した拳を見て顔をしかめた。
僕は紫色の血を吐いてピクリとも動かないゴブリンに近付く。
足でつついても反応がない。
気絶しているだけかも知れないけど、死んでいると思い込みゴブリンの体を千切る。
もちろん食べるために。
ゴブリンなんかの体を奪っても意味がないと思うけど一応。
もしゴブリンの群れが居て、僕の手に負えなかったら……ゴブリンに化けて素通り出来るかもしれないし。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前:久遠秋
種族:異質同体人間
Lv2
MP :18
物攻 :30
物防 :24
魔攻 :16
魔防 :12
敏捷 :24
固有能力
:強奪Lv1 :スライム化
能力
無し
称号
異質同体人間
__________________________
結局……食べられなかった……
見た目が気持ち悪いって言うのもあるけど、何より僕と同じ人形をした生き物を食べる気にはなれない。
僕は吐き気を堪えながらゴブリンの死体から離れ、次の部屋へと進んで行く。
次の部屋に居たのは青色のゴブリンに犬の耳を付けただけの生き物。
……コボルトと名付けよう。
こいつ等はゴブリンと違い、棍棒を持っている。
それに二体も居る。
相手が武器を持っていて数も二体と、完全に僕が不利だ。
逃げても良いけど僕の後ろの通路は一本道。
……戦うしかない。
そう自分を納得させ、先手を取られまいと僕は飛び出した。
僕が接近しているのに気付いたコボルトは目を見開き驚いている。
敵の襲撃に。
驚くコボルトの片方に跳び蹴りを食らわし、二体の連携をとれないようにする。
自分の仲間が攻撃された事に気付いたもう一方のコボルトは焦った様子で棍棒を縦に振るう。
しかし焦っていたからか狙いは外れ、僕に掠りもしなかった。
僕はその隙を見逃さず顔面を殴りつける。
……なんとかなった。
そう思ってそれで油断していたんだ。興奮のあまり、忘れていたんだ。
もう一体いたのを。
僕が思い出して振り向いた時には僕の後ろで棍棒を振り上げていた。
僕は咄嗟に腕をクロスして、防御していた。