第69話 全校集会
「…冒険者っていいな」
「そうだね。初めて魔物を倒したけど……これなら冒険者として生きてもいいかもね」
「……これが……」
報酬を手にしたラモン達は嬉しそうに報酬を眺めている。
初めて自分で稼いだ金に浮かれているんだろう。そうなる気分も理解出来るが、不用心すぎる。
「ほら、皆さん。早くしまいましょ。人前ですわよ」
流石、伯爵令嬢。しっかりしている。
「…おぉそう言えばそうだった」
「ちょっと浮かれすぎてたよ。注意してくれてありがとう」
「俺もちょっとボーッとしてました。ありがとうございます」
「分かればいいんですのよ!」
エリーゼはドヤ顔をして、胸を張る。
「そうだ。お前らもこれから放課後に冒険者活動するか?」
俺はこれからの予定を聞く。
「…おう。ちょうどいつも暇だったんだ。喜んで一緒させて貰うぜ」
「俺は騎士になるための鍛練があるからな……いや、実戦の方が鍛練になるか……? ……すまない。帰ってから父と相談する」
「わたくしもお父様を説得しないといけませんわ。まぁ……クドウさんも一緒、と言えばすんなり許可してくれると思いますわ!」
「わ、私もお母さんとお父さんと話し合わないといけないです……」
「ボクはこれからも続けるよ。よろしくねクドウさん」
「俺も……強くなる為に続けます」
ガレットとエリーゼとラウラが親と要相談で、それ以外は続けるらしい。
フレイアは問答無用で続けて貰う。だってフレイアを強くする為にオリヴィアに頼まれたんだから。
「分かった。じゃあこれからは放課後にギルドの前にある噴水広場に集合な」
全員の返事を聞き、俺達はそれぞれの帰路についた。
翌日
今日は学校があるらしい。普通は生徒の精神衛生的に一週間ぐらい休みでもいいのにな。
まさかこの程度で精神がやられるようじゃダメだ。とか言うスパルタな理由じゃないよな……?
「あ、クドウさんだ……」
「あの人……白いローブの人達に何をしたんだろう……」
「白いローブの人達は報復とか言ってたぜ?」
「仲間を殺されたとも言ってたよ……」
俺を見るなりヒソヒソと小声で会話をする生徒達。気になってしょうがないようだ。
まぁそうなるよな。俺だってこいつらの立場なら気になる。
まぁ我慢は今の内だけだろう。あんな事があったんだ。校長が集会を開いたりする筈だ。
「なんか凄い見られてるわよ。クドウさん」
「仕方ないだろ」
「そうだけど……何か落ち着かないわ……」
なんか申し訳ないな。
俺は始業式をした、ホールへクラスメイトと共にやってきていた。他の席には他学年の生徒や、他クラスの生徒が座っていた。
俺達の後から他のクラスの人が幾らか来てから、校長が壇上に立った。
「えー……校長のリサンドラ・フェルナリスです。今回、集会が開かれた理由は分かっていると思いますが、一応説明します。今日話す事は、昨日、王都で噂のカルト教団──テイネブリス教がこの学校を襲撃した事についてです」
生徒がざわつく。
「静かに。 ……えー、テイネブリス教団は、彼らがティアネーの森で……」
リサンドラは生徒が静かになってから事の顛末を話す。生徒はややざわめきながらもリサンドラの話を聞いていた。普段の集会とは真逆だ。
その後、リサンドラは生徒へ注意喚起をしてから壇上からおりる。
ところが、そこに一人の生徒が声をあげた。
「あの、校長先生! 一ついいですか?」
「はい。どうしましたか?」
リサンドラは踵を返し魔道具の前に戻り、生徒の声に答える。
「その、テイネブリス教団狙われている生徒と言うのは誰なんですか?」
「……それを知ってどうするのですか?」
「僕はその生徒を退学にするべきだと思います!」