第68話 優しい世界
前話のアデルとクルトのステータスと、魔王誕生のくだりを変更しました。4/13
「……え、ちょ、ちょっとぉ!? それってどう言う!?」
「あの二人を鑑定したら称号の欄に勇者、賢者ってあったんだ」
「……ほ、本当なの……?」
「あぁ。俺も驚いた」
「……本当かしら。 ……って言うかあんた笑ってるわよ。嬉しそうに。 ……はぁ……どうせまた面白いのが来た。とでも思ってるんでしょ?」
「笑ってるのか……俺。まぁ確かにそうだな。いい面白要素だとは思ってるな」
俺は意識して笑みを消した。
いやぁ、ダメだな。すぐ表情に出るようになってしまった。化けの皮が剥がれるまではそんな事無かったのに。
それもこれもシュウのせいだ。あいつが俺の化けの皮を剥がしたりするからだ。
絶対見つけ出してボコボコにしてやる。
決して忘れていた訳ではないが、俺は改めてシュウをボコボコにしないといけないな。と思った。
それにしてもステータスか。フレイアはどのくらい強くなったんだろうか?
「そうだ。フレイア」
「今度は何よ……もう驚かせないでよね……?」
「多分大丈夫だ。 俺はただ、久し振りにお前のステータスを確認したいと思っただけだ」
「はぁ……よかったわ。そんな事で……別にいいわよ。はい、どうぞ」
フレイアはそう言い、快く指輪を外してくれた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前:フレイア・アイドラーク
種族:人間
Lv28
MP :273
物攻 :289
物防 :275
魔攻 :283
魔防 :274
敏捷 :279
固有能力
【】
能力
片手剣術Lv6 短剣術Lv3 槍術Lv3 拳闘術Lv3 蹴脚術Lv3 魔術Lv5 魔力操作Lv4 家事Lv3 作法Lv2 歌唱Lv2
魔法
火魔法Lv4
水魔法Lv3
土魔法Lv3
風魔法Lv4
氷魔法Lv2
雷魔法Lv3
光魔法Lv2
闇魔法Lv2
無魔法Lv4
聖魔法Lv2
時空魔法Lv2
称号
亡国の王女
__________________________
おぉ強くなってる。全てがバランス良く育ってる。しかも未発現の固有能力もあるな。
俺はフレイアにステータスを伝える。フレイアは聞きながら指輪を嵌める。
「え! 嘘っ! 私そんなにレベル上がってたの!?」
「あぁ。よかったな。フレイア」
「うん! やったぁ!」
跳び跳ねそうなぐらい落ち着きなく喜んでいる。
レベル上げに付き合った甲斐があったな。
…………ん?
今はフレイアとアデルが少し離れた場所で魔物を討伐している。
すると、クルトが俺の方に近付いてきた。
どうしたんだろうか。
「教室ではごめんなさい!」
「……教室?」
「はい。俺とクドウさんが初めて会った時です。俺は白いローブ達の話をちゃんと聞かずクドウさんに、遠回しに死ねと言ってしまいました! ごめんなさい!」
「あぁそれか。別にいいよ。 ……正直どうでもよかったしな」
「クドウさんが良くても俺が俺を許せないんです! ごめんなさい!」
「あーあー……もういいから、許すよ。もう俺とお前は友達なんだ。その件は忘れて仲良くしような」
「……! は、はい!」
それからのクルトは目に見えて明るくなっていた。
クルトがどこかぎこちない感じだったのはこれが原因だったか。
それにしても、あんな事をいつまでも気にしていたとはな。
日が暮れてきた頃、俺達は森の前に集合していた。
俺は手ぶらのラモン達を見て思い出した。
「あ、そう言えばお前ら素材はどうしたんだ?」
「ラウラが時空間魔法Lv1を使えたから持ってもらっている」
ガレットが答える。
いや、良かった良かった。ラウラが時空間魔法を使えなかったら、危うくこいつらの時間と素材を無駄にしてしまうところだった。
「そうだ。さっきから気になってたんだが、クドウの口調が最初と変わってないか?」
「わたくしもそれは思ってましたわ!」
そう言えばこの二人は知らなかったか。
「…俺は知ってたぜ」
「わ、私もこの間知りました」
ラモンには普通にバレて、ラウラには間違えてこの口調で接してしまってバレたな。
「そうなの? ボクは今のクドウさんしか知らないなぁ」
「俺もこれが普通かと思ってました」
この二人には最初からこれだったな。
「前まで猫を被っていただけで、こっちが素だ。 ……嫌いになったか?」
「そうだったんですの? それより私は素のクドウさんと話せて嬉しいですわ! 前のクドウさんは正直、なんか違和感がありましたもの」
「いや、そんな事で嫌う訳ないだろう。クドウはクドウだ。俺の友達に変わりない」
「はは。そうか。まぁそんな訳だけどこれからもよろしくな」
「勿論ですわ!」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」
……ん?