第67話 勇者と賢者
今日は授業が無くなったので、存分に冒険者活動ができる。
ついでにラモン、ラウラ、エリーゼ、ガレット、アデル、クルトの冒険者登録もするつもりだ。
八人なんて結構な大所帯でギルドに入ったからか、かなりの注目を浴びる。
「…ここが冒険者ギルドか」
「騎士団とまでは行かずともかなりの腕利きが集まってるようだな」
ラモンとガレット言う。
「ささっ皆さん行きましょう。お邪魔になってますわよ」
「そ、そうですね!」
「…おぉ、これがギルドカードかぁ。なんかいいな」
「感動するのもいいけど、クエストを受けるなら早くしよう。折角時間があるんだしな」
「あ……そうだね。時間が勿体ないや。緊張するなぁ。ボクに魔物って倒せるかなぁ?」
「クエスト受けるのか?」
てっきり登録するだけかと思ってた。
「勿論ですわ! 登録して、はい終わりなんてもどかしいですもの」
「なるほど。まぁそうか」
「流石にゴブリン討伐しか受けられないか……残念だな」
クエストを見に行っていたガレット達が少し落ち込みながらやってくる。
「そうですわね……もっと強い魔物と戦いたいですわね」
「…まぁクエスト受けなくても魔物は狩れるんだからいいじゃねぇか」
ガレットとエリーゼとラモンは昔、魔物と戦った事があるって言ってたからゴブリンじゃ物足りないのだろう。
結局いつも通りゴブリン討伐と薬草採取を受ける事になった。
八人も居るからか、ゴブリンを指定数狩るのは容易だった。
なので俺達は場を移し、もっと沢山の魔物いる場所に移動し、大勢で動いても効率が悪いので四人で別れた。
俺と一緒に行動しているのはフレイア、アデル、クルトだ。
くじ引きで決めた。ガレットも、エリーゼも、ラモンも、魔物を狩った事があるのであっちは大丈夫だろう。
「アデルとクルトは本当に戦った事が無いのか?」
「え? 無いよ?」
「本当に?」
「無いってば。それどころか人と喧嘩した事も無いよ」
……じゃあこれは才能か。魔物と戦った事が無いLv1の癖に、邪神の使徒とやらを倒す前のフレイアと同じぐらいの動きをしている。
「クルトのそれはLv幾つぐらいの魔法だ?」
「えっと……Lv1です」
「本当に?」
「え、あ、はい。全部Lv1です」
クルトは苦々しい表情で答える。
なんだ……? まぁいいか。
じゃあクルトのこれも才能か。見た感じLv3はあるように見えるんだけどな。
「凄いわね……あの二人」
「あぁ。あれで戦闘経験がないらしいからな」
魔物を狩る二人を眺めながら暢気に会話する。
……鑑定してみるか。
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名前:アデル
種族:人間
Lv4
MP :89
物攻 :103
物防 :95
魔攻 :83
魔防 :80
敏捷 :97
固有能力
【成長速度倍加】【】【】【】
能力
片手剣術Lv4 魔力操作Lv1 魔法Lv1 拳闘術Lv1 蹴脚術Lv1 鑑定Lv1 家事Lv2
魔法
火魔法Lv1
水魔法Lv1
土魔法Lv1
風魔法Lv2
氷魔法Lv1
雷魔法Lv2
光魔法Lv3
闇魔法Lv1
無魔法Lv1
聖魔法Lv2
時空間魔法Lv1
称号
勇者
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名前:クルト
種族:人間
Lv4
MP :98
物攻 :82
物防 :80
魔攻 :100
魔防 :96
敏捷 :80
状態異常
魔法Lv成長不可の呪い
固有能力
【魔法効率倍加】【】【】【】
能力
魔力操作Lv3 魔法Lv3 短剣術Lv1 杖術Lv2 鑑定Lv1 家事Lv4
魔法
火魔法Lv1
水魔法Lv1
土魔法Lv1
風魔法Lv1
氷魔法Lv1
雷魔法Lv1
光魔法Lv1
闇魔法Lv1
無魔法Lv1
聖魔法Lv1
時空間魔法Lv1
称号
賢者
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うわ、なんだこりゃ。 勇者? 賢者? ……マジかよ……
発現済みの固有能力を一つと未発現の固有能力を、互いに三つずつ持っている。
昔見たフレイアのステータスと比べるとかなりステータスの数値が高い。
それにクルトにある『魔法Lv成長不可の呪い』って……文字通りそうなんだろうな。さっきの苦々しい表情はこれの事だろう。
「なぁフレイア。この世界で勇者と賢者ってどう言う存在なんだ?」
「なによいきなり……えっと……伝説では、勇者と賢者は不定期的に現れる、魔物を束ねる魔物の王──『魔王』を倒す為に、魔王が誕生する前に誕生する。 ……って事ぐらいしか知らないわね。 お伽噺はあんまり知らないからこれ以外は知らないわ」
「なるほどな。つまり勇者と賢者が存在していたら魔王がそろそろ誕生するって事になるんだよな?」
「えぇ。まぁそう言う事になるわね」
そうか……そうか……これは面白い事になってきたぞ。魔王か。
「フレイア。あの二人、勇者と賢者だぞ。アデルが勇者でクルトが賢者だ」
「………………え? …………えええええぇぇぇぇ!?」