第64話 学校まで宗教勧誘しに来た!?
俺達はギルドに戻ってクエストの達成報告をした。
しかし今日はそれ以外にも倒した魔物がいるので素材買取等を担当している受け付けまで行く。
勿論倒したのはフレイアなので全てフレイアの金になる。
俺もちょっとだけ狩ればよかった……と後悔した。
それからもいつも通り過ごした。
俺は今学校にいる。クラスメイトが登校してきている。
いつも通り今日も寝て過ごす予定だ。あぁ暇だ。何か起こらないかな。
と、望んだのが幸いだか災いしたのかグラウンドの方が騒がしくなった。
グラウンドにある校門からは剣を振り回したり、魔法を構えながら、白ローブ達が侵入してきた。
……おいおい。自宅に押し掛けたりする宗教勧誘とは訳が違うぞ?
俺は一瞬そう心の中で戯けるが、直ぐにまともな思考に戻す。
なんでこんな所に? こいつらは秘密裏に活動していたんじゃないのか?
俺がそんな事を考えていると、白ローブ達の中から質素なローブを纏った人物がでてきた。
どうやら白ローブ達の教団は総じて偉い人が質素な衣服を着ているらしい。
質素なローブの男は大声で叫ぶ。
「我々は同志の無念を晴らす為、報復をしに来た! さぁ出てこい貴様がここに在籍しているのは知っている。アキ・クドウ!」
俺かよ。何となく分かってはいたけど。
白ローブ達はその言葉に合わせて近くにいた生徒を捕まえて刃物や魔法を突き付ける。
「我々は同志……仲間達を殺害された! だから我々も貴様の同志……仲間を殺す! ……しかし、我々は寛容なのでアキ・クドウ、貴様が死ねばここにいる者達は解放してやる!」
俺がその程度の脅しに屈するとでも思っているのだろうか。人質の中に親しい人とかがいれば出ていってやらん事もないでも今回は友達などがいない。つまり出ていく義理はない。
まぁ出ていったところで大人しく殺されてやるつもりは無いが。
「クドウさん! グラウンドに行ってくれませんか!」
……なんだ?
教室に飛び込んできた見知らぬ輩がそう叫びたてる。
「あの人質の中には俺の親友がいるんです! 頼みます!」
何で俺がこのクラスに居ると分かったんだろうか。
「………………あぁぁぁ! このクラスでも無かったっ!」
どうやら手当たり次第に呼び掛けていたらしい。必死だな。
可哀想だし名乗り出てあげるか……いい感じに目立てるだろうしな。
「おい待て、俺がクドウだ」
俺がそう言うと呼び掛け男は大股で歩み寄ってきて俺の両肩を掴む。
「頼みます! 俺の親友が人質に捕られているんです! グラウンドに行ってくれませんか!?」
「それがどう言う事か分かっているのか?」
「……え?」
「お前は俺に死ねと言っているのか?」
「え、いやそんな事言ってないですけど……」
「ちゃんと話を聞いていなかったな? お前。あいつは『アキ・クドウ、貴様が死ねばここにいる者達は解放してやる』って言ってたんだ」
「え……? そ、そんな…! ……じ、じゃあ……どうしたら……!?」
……どうやら都合の良いことだけ記憶して俺を探していたようだ。
「まぁいい。行ってやるよ」
「ちょ、ちょっと! 待ってください!」
「いいのか? 親友を見殺しにして」
「……だめ……いや……アデ……でも……クドウさん……う……ぅぅ……」
これを糧にもう少し思慮深い人間になって欲しいな。 ……いや、俺も思慮深くはないか。
俺は教室を出る。
すると、
「クドウさん……!」
フレイアが心配そうに四組から走ってきた。
「どうした?」
「い、行くの……?」
「面白そうだからな」
「本当に大丈夫なの……?」
「大丈夫。余裕だ。あ、お前は来るなよ。護衛対象がでしゃばるなんて事は物凄く煩わしいからな。さて、早く行かないと手遅れになりそうだ」
俺はグラウンドへ向かった。