第63話 原因発見
まずは言い訳だ。
「あー……まずは勝手にお前の家に入って悪かった。でも仕方ない事だと理解してくれ」
「そうね。誰もいない家で倒れてる人が居たら助けるのは当たり前だもの」
「え? えっと……そ、そうですけど……どうしてこんな森の奥にいるんです?」
「外を見れば分かると思うが、今この森は侵食されている。何に侵食されてるのかは知らないけど」
「!! し、侵食です!? ま、まさか!」
おや? なんだこの反応は? まさか……
「クドウさん……この子……」
「あぁ……心当たりがあるのか?」
「……はいです。多分ですけど……」
幼女は気まずそうに顔をひきつらせ話す。
「私は体を成長させる薬を作る為に色々な研究をしていたのです。それで私が作った薬って言うのが、黒い煙を噴いている危なそうな奴で……それが侵食の元なんじゃないかって思ったのです」
「……その薬見せてくれ」
「……はいです。その大釜の中に入ってるです」
俺は幼女が指差した方向を見て確信した。
……あっ……これか……と。
フレイアも察したのか、うわぁ……と声を洩らしている。
大釜からは明らかにヤバい雰囲気を漂わせて禍々しい煙を噴いていた。しかもなんか声みたいなのが聞こえる。
多分……呪詛を吐いているんじゃないだろうか。
「……あー……まさかこれ飲んだんじゃないよな?」
「いや、流石にこんなの飲んだりしないでしょ……」
俺もそう思う。
「飲んだ……です……」
「お前はアホなのか?」
「しょ、しょうがなかったのです! 手段を選んでる場合じゃ無かったのです!」
「……体はなんともないの……?」
フレイアが恐る恐る聞く。
「飲んだら気絶したですけど、今はなんとも無いです!」
「あぁ……なるほどね。だから気絶してたのね……まぁなんとも無いなら良いわ」
フレイアは呆れたように言う。
「まぁとにかく森がこんなになってるのはお前のせいっぽいからちゃんと後処理しろよ」
「問題無いです。私の聖魔法があれば一週間で元通りにできる筈です」
「レベル幾つなんだ?」
「4です!」
「……結構高いのね」
「見た目は闇魔法に特化してそうなのにな」
「失礼なのです! 謝るです!」
「ごめん」
「許すです」
聖魔法か。俺も一応使えるけどレベル1だ。
こいつの聖魔法のレベルが高いのは危険な毒物を浄化していたら自然と上がった……とかなんだろうな。
なんにせよこの問題は片付いた。
俺的にはもう少し面白い事になって欲しかったけど。
「……じゃあそろそろ帰るか」
「ん……そうね」
「帰るですか? なら玄関まで送るです」
「いや、来なくていい」
見られると飛べないからな。
「……そうですか。じゃあ代わりにまた遊びに来て欲しいです」
「は? 何でだよ」
「久し振りに人と話せて嬉しかったですし、楽しかったからです!」
「そうか。まぁ考えとくよ」
「はいです!」
「じゃあな」
「お邪魔しました」
俺はフレイアを抱えて、もといた場所まで戻った。