第62話 魔女の家
……あ! そうだよな。そう言えばそうだ。
そう。俺達が解決したのはカルト教団であり、侵食された葉に関しては何もしていない。
カルト教団の印象が強すぎて忘れていた。
「あぁー……」
「これどうしたらいいのかしら……」
「どうするって……うーん。焼き払うか……?」
「ちょ、ちょちょ、ちょっと! 待ちなさい! 流石に冗談よね!?」
「半分本気で半分冗談だ」
「……え……? と、とにかく焼き払うのはダメよ!」
「仕方ないな」
焼き払うのが手っ取り早いんだけどな。流石に危険過ぎるか。
じゃあ……そうだ。元を辿ろう。なにかあるはずだ。なんの根拠もないけど取り敢えずだ。
「フレイア。奥に進もう」
「え!? 正気なの!?」
「そうする以外なにかあるのか?」
「……うぅ……無い……けど……」
「じゃあ決定だ。行くぞ」
俺は森の奥へ向かって進む。
「あ、ちょっと! だからこんな所に置いてかないでってば! ばかぁ!」
昨日体験した夜のように暗い森の中をただひたすらに歩き続ける。
暗すぎるので光魔法で周囲を照らす。光の球は俺達に合わせて付いてくる。
暫くすると、黒く染まった沼の上に建てられた、高床式の家を見つけた。
───魔女の家
真っ先に頭に浮かんだのはそんな物だった。
魔女の森って言われるぐらいだから本当に魔女の家だったりするのかも知れない。
黒い沼は気泡を浮かべては破裂させ、何処と無く危ない雰囲気を漂わせていたので、俺は翼を生やし、フレイアを抱えて魔女の家(仮)の玄関まで飛んだ。
「だ……だからそう言うことするなら先に言ってってば……」
フレイアは疲れたように言う。
「そうだったな。ごめん」
「もういいわよ。言っても無駄そうだから私が早く慣れるわね」
「いや、本当にごめん」
「はいはい。いいから早く調べてよ。私は何も出来ないんだから」
「あぁ」
高床式の魔女の家(仮)は玄関だけ床が突き出ているので、フレイアは玄関の前から動けないのだ。
俺は家の周りを飛んで、窓を覗き込む。
……は?
そこでは、人間が倒れていた。
一瞬停止していた脳が動き出し、俺は玄関まで戻って扉を抉じ開けた。
「く、クドウさん!?」
「人が倒れてる」
驚くフレイアに簡単に説明して俺は魔女の家に入る。
俺は倒れている人物に聖魔法の回復魔法をかける。
「え!? え!? なに? どういう事!?」
「ほら、フレイアも回復魔法かけろ」
「え……あ、はい」
数分そうしていると、倒れていた人物が目を覚ました。
「んん……? なんです……?」
目を覚ました人物は、大きな黒いとんがり帽子を被って、足が見えないほど大きな黒いローブを着ている子供と言うに相応しい大きさだった。
「……え……だ、誰です!?」
ロリ魔女は三つ編みのおさげを振り回して部屋の端まで座りながら後ずさって、目を瞬かせ怯えている。
……どう説明するか。