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第59話 家バレ

 地上にでると少し明るくなったような気がした。頭上が侵食された葉に覆われているため、全く変化がなかった。


「……皆さん登ってこれたようですね。とはいえ、私達は森から出る方法が分かりません。なのでここまで自力でこれた、この方……えっとお名前は?」


 そう言えば名乗ってなかったな。えっと……一応冒険者としてここに来てるんだから名字は名乗らないほうがいいか?


「アキ」

「アキさんに森の外まで案内してもらいましょう。よろしくお願いします」

「別にいいけど、薬草を集めながら帰るからな」

「分かりました」


 そう言う訳で俺は薬草を集めながら森の外へ向かった。途中から薬草集めを手伝ってくれる人も結構いた。


 街道まで出たところで、俺達の間にも流れていた緊張感が薄れるのを感じた。


 そのまま俺達は検問へと向かった。

 馬車にも乗らず大勢の人が歩いてきたら当然怪しまれるもので、片方の検索が奥に消えていきもう片方の検問が俺達の方へ向かってきた。

 たった今検問を受けていた人や、その後ろに並んでいる人達も何事だ、と俺達を見る。


「止まれ。これは一体何の団体だ?」

「私達は今王都で話題になっているカルト教団に拐われた者達です」

「……なに?」

「えっとですね……」


 リベルトは話し始める。


「……なるほど。話は理解した。だがそれが本当とは限らない。なにか証拠や、信用するに値する物はないか?」

「……私がリベルト・リュハノフだと言うことが信用に値しますか?」

「りゅ、リュハノフ伯爵様!? え、えっと証明できる物は…?」


 リベルトはその問いに答えるように懐から身分証明書を取り出し、検問に見せる。


「ほ、本物のようですね……し、失礼しました。えー、では詳しい話は奥の詰所で……」


 そう言い、案内をしようとしたところで消えていった検問の人が大勢の兵士を連れて走ってきた。


「すまない。この方達は怪しいものではない」


 検問はリベルトから聞いた話と、リベルトの地位を説明する。


 俺達は大勢の兵士を引き連れて詰所へ連れていかれた。

 門には先程消えていった方の検問が残った。


 詰所ではさっきリベルトが話した内容をもう一度確認して、それからは偉い人達が沢山来て、俺達一般人は身分証明書を提示させられ、解放された。

 俺とフレイアはまた後日呼び出されるだろうと言われた。


 取り敢えず薬草を納品して、クエストを達成してから俺とフレイアは屋敷へ帰った。

 情報とは恐ろしい。さっきの話がもうオリヴィアに知れ渡っていた。


「クドウ様。あまりフレイアを危険なところへ連れて行かないで下さい。いくらクドウ様が強いとは言え──」


 等と本気のお叱りを受けた。まぁ改めるつもりは無いけど。


 その後は普通に過ごした。


 翌日


 俺はフレイアと学校へ向かうため家から出た。すると、家の前では、ラモン、ガレット、ラウラ、エリーゼの四人が待ち構えていた。


「…よぉアキ。フレイア。おはよう」

「おはよう。クドウ」

「お、おはようございます! クドウさん!」

「おはようですわ!」


 朝の挨拶をしてくる四人に呆気にとられた。


 何故俺がこの屋敷にいるとバレた? まぁ取り敢えず挨拶を返しておこう。


「おはよう」

「それでだ。クドウ。そちらの女性は一体?」

「そうですわ!」

「…おっと説明し忘れてたぜ。そいつはアキのアレだ」


 そう言ってラモンは両手でハートを作る。いや違うから。それにその仕草を男がやっても気色悪いだけだ。朝から嫌な物を見てしまった。


「そ、そうなんですか!?」

「…いや、そんな感じがするだけな」

「自己紹介させてやってもいいか?」


 オロオロしているフレイアが見てられないので、助け船を出してやる。


「…おっとすまねぇ」

「え、えっと……私はフレイアよ」

「あぁ。よろしく頼むフレイア。私はガレット・シルヴェールだ」

「ら、ラウラ・ベールです! よろしくお願いします!」

「エリーゼ・リュハノフですわ! 貴女の事はお父様から伺ってますわ!」

「…一応俺もしとくか。ラモンだ。よろしくな」


 ラモンは流れに乗って自己紹介したが、俺は別に良いだろう。


「…それで結局アキとフレイアはどういう関係なんだよ」

「わたくしも気になりますわ! ラウラさんも、ガレットさんも気になりますわよね!」

「え!? は、はい……気になります……!」

「俺は別にそこまで気にならないな」

「…何だよぉノリ悪いなぁ」

「そんな事よりそろそろ学校行かないか?」


 学校への道中ずっと質問責めにされたが、俺は『言えない』『秘密』等とずっとあしらっていた。それでも諦めが悪いこいつらはずっと聞いてくる。


 朝から騒がしい事だ。

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