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第57話 ラウラ・ベール 1

 気が付いたら薄暗い場所にいた。


 え? あれ? 私さっきまで下校してたのに……


 混乱して頭を振り回す。移り変わる視界の中で見た景色は凄く不気味だった。

 白いローブを来た人達がウロウロしている。

 そして私の周囲には縛られ怯えている人達がいた。


 そんな状況を把握すれば私は益々混乱に陥っていった。


 色々な事が浮かんでは消えていく私の思考に答えが浮かんだ。


 ……そうだ思い出した。下校中襲われたんだ。学校と家の間にあるお店などを把握しようと遠回りしながら帰っていたら、路地裏に引きずり込まれて後頭部に痛みが走って何かを被せられて意識を失ったんだ。


 でも、それを思い出したところで私には何もできない。


 私は途方に暮れていた。



 どのくらい経っただろう。

 ここには日が差さない。今が朝か夜かも分からない。


 私達を囲むようにして、白いローブの人達が集まってきた。そして白いローブの人達の一番偉そうな人が何かを喋り出した。


 内容はあまり覚えていなかった。とにかく記憶が飛んでしまうほどショックを受ける内容だったんだろう。


 突然悲鳴があがった。

 私はショックを受けてあまり働かない頭を動かして悲鳴があがった方を見る。


 そこでは白いローブを着た人がローブを赤く染めて倒れていた。

 白いローブを着た人達は次々と同じようになって倒れていく。

 殺されていたのだ。


 私は愕然としながらそれを見ていた。


 何故なら……白いローブを着た人達を殺していたのは、私がこっちに来てから始めて出来た友達───



───クドウさんだったから


 なんでクドウさんがここに……?


 そんな事を考えている間にも白いローブの人達はどんどん殺されていく。


 ここの騒音に気付いたのか、遠くから声が響いてきた。それは少しの会話をした後援軍を呼びに行った。


 大変だ。幾らクドウさんが強くても更に人が来たらきっと負けてしまう。

 しかしそれは杞憂だった。クドウさんは一番偉そうな人と話していた。

 話が終わると一瞬で偉そうな人の前に移動し、顔を掴み投げ飛ばした


 え、え!? ど、どうやって……!いつの間に!?


 偉そうな人が投げ飛ばされた事に怒ったのか、他の白いローブの人達が一斉に魔法を放つ準備をする。


 危ない! クドウさん避けて!


 そう叫ぶ前に理解不可能な現象が起こった。


 クドウさんの周りに黒い渦が沢山出現した。

 黒い渦は魔法を飲み込んだ。そして次に白いローブの人達の周りに黒い渦が沢山出現した。その渦からはさっき放たれた魔法が一斉に飛び出した。


 え……なに? あれ……


 クドウさんは一番偉そうな人の側に移動した。

 偉そうな人は目を覚まし、慌てて周りを見渡す。すると偉そうな人はクドウさんに怨みをこめて睨み付ける。

 しかし直ぐに優越感に浸っているような笑みを浮かべて、自分を懐から取り出したナイフで突き刺した。


 私は何も理解できなかった。会話の内容は聞こえていたけど今までの光景が理解できなかったのであまり耳に残らなかった。


 偉そうな人の体から黒い体の怪物が姿を現した。


 私は全身の毛が総毛立っていた。冷たい汗が顔を伝っていた。もしかしたら涙や鼻水だったのかもしれない。


 取り敢えずあの黒い怪物は異常だった。

 こちらを見て口角を上げた時はもう私の命はないのだと思った。


 私が涙を堪えていると、黒い怪物が吹っ飛んだ。


 クドウに視線を移すと、拳を振り切った体勢をしていた。

 クドウさんは赤髪の女の人に止めを刺すように言った。女の人は凄く遠慮していたが、クドウさんの説得に折れて渋々止めを刺していた。


 止めを刺し終えたクドウさんは赤髪の女の人と一緒にこっちに来た。


 助かった。


 そう思ったのも束の間。

 さっきの援軍が到着したのだ。


 でも私はもう怖くなかった。


 予想通り援軍はあっという間に動かなくなった。


 クドウさんは何とも言えないような顔をして、こっちに歩いてきた。

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