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第55話 教団

 やはりラウラはトラブルメーカーと言うかなんと言うか。事件に巻き込まれ易い体質なのだろうか?

 まぁなんにせよ関わっておいてよかった。こいつのお陰でこんな愉快な集団に出会えたんだ。可哀想だがこいつらには俺の暇潰しの道具になって貰おう。


 個人的には邪神の使徒とやらも気になるが、トラブルメーカーを失うのは物凄く勿体無い。未来の事を考えるならラウラが近くにいたほうが退屈しないだろう。


 それで、この白ローブ達はあれだろう。俺が王都についた時検問の人に聞いたカルト教団なのだろう。

 王都では噂すら聞かなかったから忘れかけていた。


「フレイア。俺は今から突撃しようと思うんだけどどうする?」

「決まってるじゃない。一緒に行くわよ!」

「よし俺が合図したら行くぞ」

「分かったわ。緊張するわね……」

「3……2……1……行くぞ!」


 俺は認識阻害を解除して、フレイアと共に駆け出す。


 まずは俺に背を向けている奴からだ。俺は氷魔法を剣のようにして、背中をバッサリ切りつける。

 フレイアはゴブリン討伐の時に使っていた剣で俺と同じく背中を切り裂いた。

 そして俺は光魔法で縦穴の中を照らす。


「ぐわぁぁぁ!」

「な、なんだ!?」

「どうした!」

「敵だ! 敵だ!」


 一瞬の動揺の後、白ローブ達は一斉に襲撃者を撃退をするため統率のとれた攻撃を始める。


 白ローブ達は初級魔法を次々と放った。俺は同じ魔法を放ち相殺する。


 俺は止まらずに氷の剣を片手に斬り込む。


 すると、左右から同時に剣で斬りかかられる。俺は右に転がり、それと同時に右から来てた白ローブを斬り、立ち上がると同時に左から迫って来ていた白ローブに風魔法を放つ。風魔法は後ろの白ローブ達まで巻き込み、とうとう縦穴の壁まで浅く切り裂いてしまった。


 フレイアは最初の初級魔法を回転して避けて、数人を同時に相手していた。

 しかし、つい最近冒険者になったばかりの子供が、普段から人と戦闘しているであろう白ローブ達に優勢でいられる訳もなく、どんどん劣勢になっていく。

 フレイアは攻撃を受けず、避ける事にしたようだ。

 そしてどんどん距離をとり、やがて俺の方へ駆け寄ってきた。


「やっぱりこの人数はキツかったわ……」


 フレイアは落ち込んだような声色で言う。


「そうかじゃあ近くで戦っていてくれ」

「分かったわ。護衛なんだからちゃんと守ってよね!」

「そう言えばそうだった」


 縦穴の中が騒がしい事に気付いた見回りが縦穴に向かって声をあげる。


「どうした!?」

「敵襲だ!」

「何!? 数は!」

「二人だ……!」

「……何をしているんだ」

「強いんだ! とにかく援軍を!」

「チッ……仕方ないな。今呼んでくる!」


 見回り組と質素ローブが大声でやり取りしている。


「残念だったな。不信心な襲撃者よ。さぁもう終わりだ」

「援軍か。役に立つといいな」

「ふん。精々そうやって虚勢を張っていろ」

「ははは……精々無駄に足掻いてろよ」


 俺はそう言って質素ローブの目の前転移して顔を掴んで壁に放り投げる。


「ふげっ!」

「司祭様!?」

「おのれ! 司祭になんてことを!」


 キッと俺を睨んだ白ローブ達は魔法を放つ。今度は初級なんかじゃなくて、各々が持てる全力。と言う感じだ。そして、その魔法に隠れながら剣を使う者がこちらに迫っている。


 魔法を相殺してもその後に剣士が斬りかかってくると言うわけだ。


 俺は目の前に放たれた魔法の数だけ【転移門(ゲート)】を開く。

 開かれたゲートに魔法が飲み込まれ、剣士が飲み込まれ、それらは白ローブ達に向かって再び放たれた。

 剣士が再びゲートに落ちる前にゲートを消す。剣士達は勢いよく地面に叩き付けられた。


 剣士は立ち上がる者もいれば、二度と立ち上がらない者がいた。


 俺は白ローブ達が呆然としている間に再びゲートを俺の目の前に大量に発動させる。

 そして、そのゲートの中に沢山の魔法を放つ。出口は白ローブの周囲。


 上から、右から左から、前から後ろから。魔法の嵐に巻き込まれた白ローブ達は次々と死んでいった。



 残ったのは離れた場所に投げ飛ばした気絶している司祭だけだ。


「凄いわね……今の」

「殲滅には向いてるけど、面白味には欠けてるんだよな。失敗だ」

「……面白味って……」


 俺が司祭に近付くと同時に司祭は意識を取り戻した。


「なにが……? ハッ! き、貴様! 私に何をした!?」

「なんでもいいだろ。で、お前はこの状況でどう足掻く?」

「なに……?」


 司祭は周りを見渡す。

 そこには数多の魔法を受け、ボロボロになった白ローブ達が転がっていた。


「な!? こんな……貴様……!」

「ははは。男に睨まれても何も感じないな」

「くっ……!」

「残念だったな。もう終わりだ」

「まだだ……私の体には邪神の使徒が宿っている……ふふふ……ふふふ……さぁ! 邪神の使徒よ! 目覚めよ!」



 そう言って司祭は懐からナイフを取り出し、自分の胸を貫いた。

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