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第54話 白いローブ

 森の奥は暗かった。

 頭上を紫色に染めた、侵食された葉が覆っていた。


 俺もフレイアも体調などに異常はないが、あまり長くここにいない方が良いのかもしれない。


 俺は【探知】スキルを使い周囲の状況を把握する。

 ここから少し行ったところに生物が密集している場所があった。その周りには他の生物が彷徨いていた。まるで見回りのように。


 俺は【認識阻害】を発動させビクビク怯えているフレイアに触れる。


「ひゃう! い、いきなり何よ!?」

「この先に何かいる。動きからして多分知能がある生き物だと思う」

「そ、そう言う事だったのね」

「だからこっそり行くぞ」

「分かったわ」



 周りに居たのはこの場所には不釣り合いの白いローブを着た人間だった。


 そしてその白ローブ達が囲んでいるのは巨大な縦穴だった。認識阻害で白ローブ達間を通り抜けた俺は縦穴を覗き込む。


 奥は真っ暗で見えなかった。頭上が侵食された葉で覆われているからだと思いたい。


 縦穴の縁には縄梯子が掛けられていた。

 フレイアに触れながら降りるのは難しいので、俺は背中から翼を生やし、フレイアを抱えながら縄梯子に沿って降下する。


「!? んー!? んんー!」


 抱き抱えた時に叫びそうになったフレイアの口を俺の腕から分岐させた別の腕で塞ぐ。

 認識阻害とは言え、大声をだせば意味を成さない。


 地面が見えてきた。地面に降り立った俺は叫ぶなと言ってからフレイアを離す。

 フレイアは俺を睨みながら近付いてくる。目の前まで来ると、小声で文句を言う。


「あんな事するなら先に言いなさいよ! ビックリしちゃうじゃない!」

「あーごめんごめん」

「むきー!」


 適当にあしらいながら周りを見渡す。


 縦穴中心には白いなにかで描かれた大きな魔方陣があった。

 その魔方陣の上には沢山の生きた人間が縛られ、横たわっていた。


 魔方陣を囲むようにして、見回りとは違う白ローブ達が集まってきた。


「それでは今から邪神様の使徒降臨の儀式を執り行う」


 一番質素な白ローブを着た男がそう言うと、周りの白ローブ達は黙って頷く。


「それでは今一度、諸君に伝えておこう。使徒降臨の儀式には、魔方陣の上にいる者の尊い命を支払って行う。つまり絶対に失敗は許されない。これを肝に命じておいて欲しい」


 白ローブ達は深く強く頷く。それを見た質素ローブは満足げに頬を緩め頷く。


「うむ。では早速儀式を執り行う。詠唱始め!」


 よく分からない言語を口にし始める白ローブ達を横目に俺は縛られた人間をチラリと見る。誰も彼もが、絶望に満ちた表情を浮かべていた。


 …………あいつは……


 ……俺はその人物を見つけると過去の自分の行動を褒めたくなった。


 




 その中には……ラウラがいた。

むきー!

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