第53話 ティアネーの森
予定通り昼食を摂った後にフレイアと冒険者ギルドに来ていた。
ランクは簡単には上がらないようで、未だにゴブリン討伐だ。
クエストを受けた俺達は魔女の森……ティアネーの森へ向かう。
俺はいつも通り邪魔になるゴブリンを拘束して、フレイアに一対一をさせていた。
フレイアも慣れてきたのかすぐにゴブリンを倒し、次のゴブリンへと向かう。
「よし。これで最後だよな」
「そうね。じゃあ帰って達成報告しましょう」
「時間もまだあるし、何か別の……採取系のクエスト受けてみるか?」
少し考えた後に、フレイアは口を開く。
「……そうね。討伐だけじゃ冒険者はやってられないものね。わかったわ。やりましょう」
ゴブリンをアイテムボックスに放り込んで王都へ帰る。
そして、クエストの達成報告をして、少し休憩してから採取クエストを選ぶ。
まぁ選ぶと言ってもFランクで受けられるのは薬草採取や解毒草とかしかないので、そんなに時間はかからなかった。
薬草採取クエストを受けてから再びティアネーの森に入る。
と言っても素人の俺からしてみればどれも同じ様な草にしか見えない。なので、遺跡の中の魔物から奪った【鑑定】スキルを片っ端から使っていく。
「何でそんなパッと見分けがつくのよ?」
「スキルのお陰だ」
「あー……なるほどね」
フレイアは薬草と草を見比べて薬草を探している。
おや? なんだこれは?
片っ端から鑑定していた俺は変わった物を見つけた。
『侵食された葉』
これは一体なんなんだろうか?
それを皮切りに次々と侵食された◯◯と言うのが目につくようになってきた。
しかも奥に進むにつれ、パッと見ただけで分かるようになってきた。
フレイアもそれに気付いたらしく、俺に聞いてくる。鑑定スキルで鑑定しろと言う事なのだろう。
俺はさっきからチラホラ侵食シリーズがあった事を話す。
「そんな危なそうな物見つけてたんなら早く教えなさいよ!」
「黙ってたら面白そうだったからつい」
「ついじゃない! ほら、危なそうだし早く引き返すわよ」
「いやいや、森がなにかに侵食されているのに放っておけないだろ」
「でも、私達に何が出来るのよ?」
「分からん」
「はぁ!?」
「とにかく奥に行くぞ」
好奇心を抑えられない俺はフレイアを置いて森の奥に進む。
「ちょ、ちょっと! こんなところに置いてかないでよ!」