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第51話 致命的なミス

 私はいつものように、お風呂に入っていた。


 今は湯船に浸かっている。


 お風呂って言うのはいいものね。お風呂は昔、異世界から来たって言う異世界人が残した文化らしい。


 異世界人で思い出したけどクドウさんも異世界人なのよね。 ……もしかしたらお風呂を作った世界の人と同じ世界の人だったりして。


 ……それにしても今日は色んな事があったわ。


 始業式にゴブリン退治に、その帰りにクドウさんにからかわれたり、不良の虐めを阻止したり。

 なによりクドウさんにネックレスを買って貰ったのが嬉しかったわね。少々ズルいやり方だったけど、あれはクドウさんが私をからかったのが悪いのよ。


 などと考えながら私はゆっくりと寛ぐ。




 さて、そろそろのぼせそうだしあがりましょうか。


 私は脱衣所に行き、アイテムボックスに入れておいたパジャマを取り出す。

 何故脱衣所の籠に入れないのかと言うと、アイテムボックスがあるんだから別に使わなくていいんじゃないかと思ったからだ。


 下着を着けようとした私はふと、違和感を覚えた。

 何かがいつもと違うような気がするのだ。

 うーん?


 ……


 …………


 ………………!


 私のじゃない誰かの服が籠の中にある! しかも見覚えのある……って言うかクドウさんの服だ!


 何で? 何で? 何で? 何で!?


 パニックになった私は振り返り、気付けば再びお風呂場に飛び込んでいた。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 俺は心臓が止まるかと思った。背後の扉が乱暴に開けられたと思ったら、出ていった筈のフレイアが裸のまま乱入してきたからだ。俺は咄嗟に息子を手で隠す。

 おかしいな……【認識阻害】は発動したままなんだけどな……


「…………」

「…………」


 フレイアは顔全体で驚きを表現して俺を見つめている。


 ………………取り敢えず話し掛けるか。


「…………フレイア……どうしたんだそんなに慌てて……?」

「…………な、な、な、なななななぁぁぁぁ!?」


 フレイアの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。湯気のせいで、頭から湯気が出ているようにも見える。 ………もしかしたら本当に出ているのかもしれない。


「お、おい……?」

「い、い、い、いやあああああああああああああ!!!」


 フレイアの叫び声が風呂場に響き渡った。 …………ついでに俺の頬が叩かれる音も響いていた。




 痛い。


 ………なんにせよ【遮音空間】を解かなくて良かった……


 今のうちにタオル巻いておこう。


「な、な、何で!? なんであんたがここにいるのよぉ!?」

「それはだな……」


 俺は事情を説明した。


「う、嘘でしょ…………!?」

「……いや、本当だ」

「…………ぅぅうううぅぅっ……」


 フレイアはその場に女の子座りで座り込み、顔を真っ赤に染めたまま涙目になっていた。 一応自分で大事なところは隠している。


 ……泣くのは勘弁してくれ。


 俺はフレイアの側に行き、声をかける。


「あの、その…………ごめんな。 ……混乱してたからつい隠れてしまった。ごめん。」

「…………スン……」

「ああああ……! 泣かないでくれ! マジで! どうしたらいいか分かんないから!」


 パニクった俺は泣きそうな子供をあやすように頭を撫でる。


 …………妹が生きてた頃はこうやって対処してたからその名残だろう。



 どのぐらいそうしていただろうか。



「も、もう良いわよ…………ゆ、許してあげるわ…………」

「……本当か?」

「えぇ…………」

「……えっと……ありがとう」

「……うん。 ……えっと……じゃ、じゃあ私はもうあがるわね!」

「…………あぁ。」


 若干の気まずい空気を残してフレイアは脱衣所に戻っていった。




 …………頭洗うか。

たまにはこう言うのも書いて見たかったんです。

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