第45話 始業式
あれから数日経ち、俺は今学校に向かっている。
俺の前や後ろには俺と同じ制服を着た人が歩いていた。
校門の前に立てられた看板に書いてある案内に従い、掲示板に向かう。
掲示板の前には人だかりができていた。
皆、自分のクラスを確認するために集まっている。
これじゃ見えない。なので俺は【透視】スキルを使い、人だかりの後ろから自分の名前を探す。
…………あった。二組だ。
俺は掲示板から少し離れたところに置いてある看板を読み、ホールへ向かう。
一クラス五列の席の列が出来ている。
椅子には疎らに生徒が着席していた。
俺は二組のプラカードを掲げた教師が立っている列に座る。席順は適当らしい。俺は前の方の空いている席に座る。
生徒同士の会話で段々とホールが賑わってきた。それと同時に教師達も舞台付近で慌ただしく動き始める。
「あー。あー。拡声魔道具の試験中。拡声魔道具の試験中」
教師の一人がマイクテストを始める。
魔道具とは地球で言うところの電子機器などに当てはまる。火を灯す物だったり、水を出したり、風を起こしたり……とにかく色んな魔道具が存在している。
そんなこんなで席に座って待っていると、始業式が始まった。
出てきたのは七十代位の魔女のようなお婆さん。
「えぇーフェルナリス魔法学校の校長、リサンドラ・フェルナリスじゃ」
校長、リサンドラはお約束の長い話を始めた。
どこの世界でも校長の話が長いのは変わらないのだろうか?
校長の話終わり俺が睡魔と闘っていると、生徒会長が出てきた。
「生徒会長のフレデリカ・エルウェッグです。この度は~~……」
フレデリカは黒髪ロングで黒目のできる生徒会長見たいな人だ。
その後も教師やらなんやらが次々と出てきた。
どいつもこいつも話が長いからいつの間にか俺は寝てしまっていた。
「……では、担任の先生の指示に従って教室に移動してください」
俺は揺さぶられながらそんな言葉を聞いていた。
寝ていたのか……始業式は……終わったのか。
など目覚めたばかりの頭が活発に活動を始めるのを感じていた。
俺は顔をあげる。
「あっ……起きた?」
俺の肩に手を掛け顔を覗き込む人物と目が合った。
俺は思わず声をあげる。
「……あ?」
「……え?」
「…………あ、いや、起こしてくれたの?」
「う、うん」
「あぁそうなんだ。わざわざありがとう」
「どういたしまして」
それきり会話は途切れた。
「はいじゃあ、二組の人は立ってください!」
二組の列に座っていた生徒達が立ち上がり、移動を始める。俺は伸びをしながら立ち上がり、一緒に移動をする。
ついた先は二階の教室だった。
学年別に階が分けられており、一年生は一階、二年生は二階、三年生は三階だ。
クラスも同じような感じだ。一組から六組まで順番に並んでいる。理科室や音楽室などは別の校舎や、四階、五階にある。
俺の席は窓際一番後ろの主人公席……ではなく、真ん中辺りの一番後ろだった。因みに主人公席は空席だった。
「はい。それでは、まずは自己紹介をしましょう。まずは先生からしますね。先生はナタリアと言います。貴族ではないので名字はありません。皆さんよろしくお願いします」
パチパチパチ
自然と拍手が起きる。
ナタリアは青みがかった黒髪の真面目そうな人だ。
「では次は───」
それからクラス全員の自己紹介が終わった。
これからの時間割りなどが配られ、今日は下校することになった。
教師の名前をカーラからナタリアに変更しました。