第39話 王都へ 1
俺は部屋を飛び出したフレイアを見つめていた。
それにしても、魔物になった人間──魔人。
そんなものがいる世界だったとは……
まぁだからと言って俺が人間を喰った事に変わりはないし、俺が許容できる訳ではない。
魔人だからしょうがない、で済む問題じゃないんだ。
俺は人間として生きるのか、魔物として生きるのか。
それをちゃんと考えるべきだ。
まぁ今日はなんか疲れたから宿に帰ってまたいつか考えよう。
「お邪魔しました」
それだけ言って俺は屋敷を去った。
次の日も俺はフレイアとゴブリン狩りをしていた。
そんな中、俺はふと疑問に思った。
「なぁフレイア。この世界には学校……勉強をしたりする施設は無いのか?」
「あるわよ。……って言うか私も通っているわ。丁度一ヶ月後に一学期が始まるわ。そのうちその事について相談しようと思っていたのよ」
「なるほどな」
俺もこの世界に来るまでは通っていたな。俺もフレイア以外の同年代の知り合いが欲しいし、行ってみたいな。
「その学校は俺でも通えるかな?」
「大丈夫じゃない? 魔人の子も結構いるしね」
「因みにどんな学校なんだ?」
「普通の学校よ」
「じゃあ俺も入学しようかな」
「じゃあ王都にある、フェルナリス魔法学校がオススメよ。基本的な勉強や魔法を学べるわ。後……その……私もそこに通ってるし……」
知り合いがいると学校生活で良いスタートをきれるしな。これはフェルナス魔法学校にきまりだ。魔法学校なんてのが普通だとは思えないけど。
「じゃあそこにしよう。あ、でも王都で冒険者活動できるのか?」
「できるわよ。ギルドカードはどこのギルドでも使えるし、近くには魔女の森って言う魔物がいる森もあるし」
「じゃあ大丈夫そうか」
俺達はクエスト達成の報告をした。
「入学するなら早くしないと入学手続き間に合わないわよ」
「それもそうだ」
「はぁ……もうゴブリンも狩り終わったし、クエストの達成報告したらすぐに向かいなさい……」
「わかった」
まぁそうだよな。入学……いや編入? の手続きしないといけないんだよな。
じゃあ宿屋の人に事情を説明しに行こう。
「あの、すみません」
「おや、どうしたんだい?」
巨大なおばちゃんがにこにこしながら返事する。
「急用が出来たので、この街を離れることになりました。時間も無いので返金は結構です」
そう言い、俺は部屋の鍵を渡す。ちゃんと部屋の掃除もした。
「いいのかい? 返金しないで」
「はい」
「そうかい……じゃあ気をつけて行ってきな! それと、またこの宿屋を利用しておくれよ!」
「はい。また利用させてもらいますね。それじゃあ行ってきます」
さて、早く行かないと。休み明けに編入ってのが一番自然に入学できるし。入学手続きの受付がいつまでか分からないし、早く行こう。
俺は路地裏に入り、認識阻害を発動させ翼を生やし王都へ飛び立つ。