第38話 フレイア・アイドラーク 4
私はお母様と一緒にクドウさんの秘密を聞いていた。
内容は、クドウさんが異世界人だとか、食べた魔物のステータスやスキルを奪えるとか、食べた生物に変形できるとか、ステータスの種族欄が異質同体人間とかいうのだとか、そんな事だった。
私はそれほど重大なことだとは思わなかった。だって魔物になった人の話なんてよく聞くもの。
……まぁ……キメラになった人の事なんかは聞いたことないけど……
まぁ今ではそう言った人達が間違って討伐されないように、自分は元人間だと伝えるためのサインまで普及している程だ。
まぁクドウさんはこの世界に来て間もないみたいだから、知らないのも無理ないだろう。
でもクドウさんは自分を魔物だと言い張り、自分を良く思っていない。
私はそれが気に入らなかった。
ふざけるんじゃないわよ。私は盗賊をあっさり片付けた強くて格好良くて自信満ちていて堂々としているクドウさんが、す……クドウさんに憧れていたのに。
人間も魔物も関係ないわ! 私が憧れた男が情けない姿を晒しているなんて許さないんだから!
だから私は言ってやった。
「あんたさっきからなんなのよ!」
「は?」
「この世界じゃ魔物になったけど普通に暮らしている人間なんていくらでもいるのよ!」
「………………は? …………マジで?」
「まじよ!」
「……俺の葛藤は一体……」
「……む、無意味だったようね……!」
「……あぁ……でも俺はお前を誘拐した盗賊の死体を喰ったぞ? 流石にこれは魔物人間が普通にいる世界でも許されないだろ」
「クドウ様。魔物になってしまった人──いわゆる魔人の方々は、普通の食事を摂ったり普通の生活ができます。 しかし、特定の魔人の方々は定期的に人間の肉を食らわないと狂暴化してしまうのです。 ですのでそうならないように、死刑囚や盗賊などの悪人や罪人の肉だけ食べる事を許可されています」
お母様が魔人について説明する。
「そこまでして魔人を生かす意味はあるのか?」
「魔人の人達は必ずと言っていい程、特殊な能力や高いステータスなどの優れた技能を持っているから戦力として重宝されているのよ。 ……それに元々は人間だしね。無下には出来ないのよ」
「……そうだったのか。……はぁ……なんだか馬鹿らしいな。こんなことに悩まされてたなんて……」
「……げ、元気出しなさいよ! だれも落ち込んでるあんたなんて見たく無いもの」
「なんだ? 励ましてくれるのか? ……ありがとな。」
私は顔が熱くなっていくのがわかった。
「な!? そ、そんなんじゃないわよ! バカ!!」
「おい! どこ行くんだ!?」
私は思わず部屋から飛び出していた。
めんどくさくなったので雑に纏めました。