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第37話 バラす

「クドウ様。貴方は何者なんですか?」


 オリヴィアは挨拶を済ませるなりいきなりそう言う。オリヴィアの隣にはフレイアが座っている。


「……何者とは?」

「私は部下に貴方の身の回りの事を調べさせていました」


 そうなんだ。


「しかし、分かったことは殆どありませんでした。数日前、唐突にミスラの森の中からやってきて、ここフィドルマイアへ向かう道中、騎士と接触した。たったこれだけしか分かりませんでした。というかそもそもクドウと言う名字の商人や貴族は世界各国どこにおりません。昔は居たそうですが、没落していったとの事です」

「はぁ……」


 あー……商人と貴族以外名字無いんだ。また失敗だ。


「正直に話して頂けませんか? 私としてもクドウ様が悪い方ではなく、嘘をついていないのは分かっています。しかし、娘の護衛につけるのならせめてその素性位は知っておきたいのです」


 フレイアの護衛の件は俺が無理矢理『はい』と言わせたような物だからなぁ。オリヴィアは不安なようだ。

まぁ、俺のステータス以外なら教えても問題ないか。


「分かりました。僕の事について教えます───」


 そう言って俺は口調を戻し、自分がこことは別の異世界から来たことなどを話した。


「信じられないような話ですけれど嘘ではないようですね……」


 そう言いオリヴィアは視線を上に向ける。


「こんな話を信じるのか?」

「えぇ、私には【看破】と言うスキルがありますからね。あ、このスキルは相手の嘘を見破るスキルです。因みにクドウ様が隠しておられた本当の性格についても勘づいていました」

「……なるほど。厄介なスキルだ」

「そうでしょう。私もそう思います」

「じゃあクドウさんは異世界人って事なのね?」

「そうなるな」

「ふーん」


 フレイアは興味無さそうだな。


「でも、クドウ様が私達に隠しているのはそれだけじゃないですよね? 大丈夫です。私達はクドウ様が何者でも全て受け止めて、秘密に致します」

「……いやぁ……隠し通せないか。本当に厄介だな。そのスキル」

「このスキルを恐れて夫も浮気などは一切致しませんでした」

「ふんっ……」


 俺は鼻を鳴らし、鼻で笑う。


 …………話してもいいか……どのみち逃げられそうに無いんだ。

 ステータスの事を知って、誰かに話すようなら……あまりしたくはないけど……殺してしまおう。ここで逃げて怪しまれるのも厄介だしな。


 できれば、俺が楽しむ為の大切な玩具を自分の手で壊す事はしたくない。

 だから、誰かに言えば殺す、と言うことを十分に理解して貰うしかない。


「話してもいいけど、誰かにバラせば皆殺しにする。俺にはそうするだけの力がある」

「……分かっています。絶対に誰にも言いません」


 俺は【探知】を使い、フレイアとオリヴィア以外誰も近くにいないことを把握する。


 それから俺は右腕を蛇の頭に変形させ、左腕をスライムに変形させる。


「「…………っ!」」


 二人は驚愕に顔を染める。


「これを見ればわかると思うが、俺は普通の人間じゃない。 俺は喰った生物の特徴やスキル、ステータスを奪う事ができるんだ」

「……なるほど……っ……確かにこれは秘密にしていたくもなります」

「なぁっ…………なっ……」


 早々に気を取り直したオリヴィアと違い、フレイアは未だに絶句している。


「お陰で元々人間と表記されていたのに異質同体(キメラ)人間扱いされる始末だ。まぁ、つまり俺は元人間の魔物だ。 だから俺が魔物だと知られたら俺を討伐しに色んな奴がくる訳だ。でも、俺は無駄に人殺しをしたくない。だから隠していたんだ」

「無駄な人殺しって……クドウ様は自分が討伐される心配をなされないのですか?」

「する必要が無い」

「な、なるほど…………」



「クドウさんが……魔物……? 魔物を食べて強くなる?」


 フレイアまだ混乱しているようだ。


「あの、クドウ様。宜しければステータスを御見せして頂けませんか?」

「ステータスって見せれるのか?」

「はい。私達に見せるよう念じながら、心の中でステータスと唱えて下されば……」



 ステータス



 そう心の中で唱えるといつものように俺の目の前にステータスが出現する。


 あれ? いつもと同じだけど、見えてるのか?


「……っ! こ、これはっ……!」

「…………」


 どうやらちゃんと見えているようだ。

 フレイアは遂に言葉を失ってしまった。


 俺がバラす度に驚いているフレイアをみて思う。

 面白いなと。これだけでもバラしてよかったと思う。

 まぁこの楽しさもこいつらが俺の事をバラしたら味わえなくなるんだと思うと、悲しく……勿体なく感じる。


 今思えば俺はこの事を誰かと共有したかったのかもそれない。

 何故だか分からないけどそう思う。



「確かにこのステータスでは並大抵の相手では、手も足も出ないかもしれないですね。と言うか実際に神を殺しているようですからもう敵無しと言っても良いのでは無いですか?」

「油断はよくないんだ」

「ふふふ。そうですか」

「ああ」


「はっ!?」


 フレイアが正気に戻ったようだ。


「まぁとにかく俺は魔物なんだ。さっきも言った通り俺は無駄な人殺しをしたくない。だから誰にも言わないでくれると助かる」


 俺は人の心まで捨てたつもりはない。盗賊を喰ったのは俺だけど、俺じゃない"なにか"がやったことだから無かった事にする。


 すると、フレイアが立ち上がり言う。


「あんたが魔物だからなんなのよ!」

「は?」


 なんでいきなり怒ってんだ?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] というかそもそもクドウと言う名字の商人や貴族は世界各国どこにおりません。昔は居たそうですが、没落していったとの事です・・・さすがに全知の能力が無いと無理だろう。こんなに短時間で世界中を…
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