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第332話 伝えるべき話

 ミレナリア王国へ移ろうと決めた季弥、夏蓮、冬音、春暁とそれに付いていくと言ったステラとミア。

 移ろう前に空き地がないかとミレナリア王国に一人で向かった季弥は、以前店を構えていた場所がまだ空き地で、誰にも買われていない事を確認してから、その日の夜、転移先に人がいない事と、周囲に人がいない事を念入りに確認してから転移門(ゲート)を使って店を移動させていた。


 季弥と夏蓮は経営する『移ろい喫茶シキ』は完全な未知で、ある日突如消えて突如現れる謎だらけな都市伝説のような存在だ。そんな扱いを受けているのは、他でもない季弥と夏蓮の願望であり、それを目指して行動に移した結果だ。

 せっかく喫茶店を経営するのだから他とは違う個性を出したい。決して誰にも忘れらる事がなく、未知で正体不明で、知らず知らずの内に心が踊ってしまうような喫茶店にしよう。……と言う事でこのような喫茶店になっている。

 存在のインパクトで隠れがちだが、出される商品もどこに出しても恥ずかしくないどころか、ミレナリア王国の国王が通ってしまうほどに高品質な商品である。


 つまり都市伝説と言う若者の興味や好奇心を刺激して、尚且つ客の胃袋をも鷲掴みにして、常連へと変えてしまう恐ろしい喫茶店。……しかし常連になろうにもその喫茶店はいつの間にか消えてしまっている。

 そうなれば、常連が取る手段は限られる。……そう、『移ろい喫茶シキ』についての情報を集め出すのだ。もう一度あそこに行きたいと考え、血眼になってあちらこちらで情報収集を行う。そうすればそんな形相の元常連を見た人々は『移ろい喫茶シキ』が気になって仕方なくなり、そして情報収集をし始め、さらにそれによって『移ろい喫茶シキ』の存在が知れ渡って──と連鎖して連鎖して、実在する都市伝説を追って、『移ろい喫茶シキ』を味わった者もそうでない者も、誰も彼もが存在の魅力に取り憑かれてしまうのだ。


 季弥と夏蓮が経営するのはそんな恐ろしい喫茶店なのだ。……ちなみにこのシステムが成り立つようなアイデアを出したのは夏蓮である。


 そんな事はさておき、夜の誰もいない空き地に喫茶を移動させた季弥と夏蓮に冬音と春暁は、早速オリヴィアの屋敷を訪ねようとしたが、この国に匿われている貴族のような人物の屋敷にただの平民が……それも夜間に押し掛けるなど常識的に考えてあり得なかったのでやめて、明日の昼頃に訪ねる事にした。

 ……だがそれは季弥達平民だけの話で、ミアとステラはオリヴィアの身内……つまり同じ身分であるので、明日すんなり季弥達がオリヴィアに会えるように話を通しに向かっていた。





 翌日の昼頃に喫茶店にやってきたミアとステラと共にオリヴィアの屋敷へと向かうと、屋敷の入り口の前にオリヴィアが立っていた。貴族でないにしろ、仮にも高貴な立場であるオリヴィアがこうして客人を待っていていいものかと思うが、しかし夏蓮はそんな事より話が気になるようで、余計な事には口を出さずに、オリヴィアと少し言葉を躱してから季弥達を引き連れてオリヴィアと屋敷へ入っていった。


 屋敷に入ってすぐ見えるのは大きな階段だった。階段は二手に分かれていて、踊り場で一つになって二階へと続いているような造りだ。その階段のわきには屋敷の奥へと続く廊下が続いているが、オリヴィアによるとあの先にあるのは全て使用人達の部屋らしい。

 一階から二階は吹き抜けになっており、二階の天井からぶら下がっている豪華なシャンデリアが階段付近の二階部分と、一階の玄関付近を照らしている。


 思わず感嘆の声を漏らしてしまうが、それは階段を下りてきたステラの嬉しそうな声に掻き消されてしまう。


「いらっしゃい、ハルとフユちゃん!」

「あ、ステラだ」

「こんにちはステラちゃん。……そんな裾が長いドレスを着て走ったら転んじゃうからあんまり走らないようにね」


 階段を駆け下りてそのままここまでやってきたステラに注意する冬音に「お母様みたいな事言わないでよー」と戯けたように言ってチラチラとミアに視線を向けるステラ。

 叱りつけたいところだったが、生憎と今は客人が来ているために青筋と作り笑いを浮かべてやり過ごすミア。いくら客人が知り合いだとは言っても、オリヴィアの前で客人に対して礼節を欠いた行動するのは憚られた。


「今からお母様達がする話は退屈な話らしいから、私達は庭で遊んでよう」

「分かった」


 ステラが春暁と冬音の手を引いて階段わきの通路へと消えていった。階段わきの通路は使用人の部屋が並んでいるが、その途中に庭に出られる場所があるのでそこに向かったのである。


「じゃあ私はステラ達の様子を見ておくから、たっぷり話してていいわよ。じゃあね、季弥さん、夏蓮さん」


 こめかみに青筋を浮かべたままのミアがステラ達の後を追うのを見届ける季弥と夏蓮の顔には苦笑いが浮かんでいた。ステラがどうなってしまうかが容易に想像できてしまうからだろう。





 それからオリヴィア連れられて応接室へと案内される季弥と夏蓮は使用人が引いてくれた椅子に腰をかける。すると、礼を伝える間も無く、そそくさと逃げるように使用人が部屋を出ていった事に小さな疑問を抱きながらもオリヴィアへ向き直る。


「ふふ、ごめんなさいね。クドウ様……アキさんのご両親が相手だと考えれば緊張してしまうのも無理はないですから、大目に見てやってください」

「……?」

「ああいえ、この話はまだ確定ではないのでしたね。忘れてください。……では本題に移りましょうか。えぇと、ミアからは私に尋ねたい事があるとのだうかがっていますが、なんでしょうか? ……大体見当は付きますけど」


 何かを誤魔化した様子のオリヴィアは季弥ではなく、夏蓮だけを見つめて言った。自分に用があるのが夏蓮だと見抜いての行為……つまり季弥は居るだけの置物だと察してもいるわけである。


「私が聞きたいのは、この間オリヴィアさんと秋ちゃんが話した話の内容についてです」


 季弥には敬語、オリヴィアにも敬語、ミアにはタメ口……基本的にはそうであるが、たまに普段とは違う言葉遣いで接する事もある。

 別に、これには夏蓮の中で線引きがあるわけではない。

 ただ、この人相手にはこれの方が接しやすい……今の状況ならば、仲の良さならば……と思った通りに接するだけだ。つまりは口調などはその相手と今の気分で変わる……変えるのである。……どこかの誰かさんも似たような事を考えていたが、流石親子と言うべきだろう。


「大体見当は付いていましたが、やはりその事ですか……そうですね……何から話して、何を話せばいいのか…………いえ、全部話しましょう。クドウ様のご両親であるお二人には全てを話さなければならないでしょうから──」


 そうしてオリヴィアは話だした。失踪していた秋が突然戻ってきたと思えば、自分が魔王だと明かしたこと。魔王らしく王女であるフレイアを攫ったこと。失踪している最中は同行者の故郷巡りをしていたこと。突然戻ってきた理由が勇者だ魔王だと騒がれていなかったからだと言う事。……娘を殺して喰ったなどと宣ったこと。


 事細かにそこまで話したところで一旦話を区切る。

 今話した事だけでも相当な情報量なので、一度頭の整理をさせた方がいいとの判断による話の区切りだが、しかしまだ話には続きがあるんだぞ、と言う事をここで区切って理解させる。


「えぇっと……秋ちゃんが魔王で、それでその役割を全うするために王女言う立場もフレイアちゃんを攫うようにしてニグレドちゃん達と一緒に旅に出た……そして、魔王の旅路に同行する以上、これからは迂闊に故郷に帰れなくなるだろうからと、魔王として無名のうちに他の子達の故郷巡りをしていた……でもいくら経っても自分の話が上がらないから名前を広めるために一度帰って来て……そこで……秋ちゃんが……その……フレイアちゃんを殺して……喰った……?」

「そう言う事ですね。……流石クドウ様……アキさんと言うべきでしょうか。何を聞いても常識はずれな行動しかないです。立場が立場なので仕方ないのでしょうけどね」


 予想通り、夏蓮は最後の一つを聞いて、それまでの楽しそうな表情を消して思い詰めたような表情になった。


 行方不明だった息子の軌跡の話を聞くのは嬉しさなどでさぞ心が温まるものだったのだろうが、だが、最後の話が話なのでどうしてもそんな気分ではいられなかった。温かくなっていた心は真冬の氷水に全身を浸したかのように冷たくなっていることだろう。


「あの……秋……ちゃんがフレイアちゃんを……っていったいどう言う……?」

「言葉のままです。アキさんはフレイアを殺して、そしてそれを喰べたそうです。……ですが、それは不仲や関係の縺れなどではなく、お互いのための行動だったらしいんですよ」

「……?」


 疑問に思うのも当然だと苦笑いを浮かべて小さく頷いたオリヴィアは、どうして秋がフレイアを殺して喰ったのかを話す。


「…………な、なるほど……理解に苦しむ話ではありますけど、だいたいの事情は分かりました。……あのオリヴィアさん」

「はい?」

「「申し訳ありませんでした!」」

「……え?」


 机に頭を叩き付ける勢いで……と言うか叩き付けて謝罪する季弥と夏蓮に呆けた声を上げるオリヴィア。最初は謝られる意味が分からない様子だったが、少し考えれば謝られた理由が理解できたのか、フッと笑って言葉を発した。


「顔を上げてください。……あの、フレイアの事を謝っているのなら、別に構いませんよ。……アキさんは、絶対にフレイアを完全な状態で蘇生させると、フレイアと一緒に大切で幸せな話をしてくれると約束をしてくれました。そこに一切の嘘がなかったのは、人の本質を見抜ける【看破】のスキルを持つ私が何よりも理解しています。……だから、私達にできるのは信じて待つことだけです。秋さんの親であるお二人は私になんか謝らずに、秋さんを信じて待っていてあげてください。……今のうちに二人で帰って来た秋さんとフレイアを祝う心構えをしておきましょう?」


 温厚で柔和で人の好さそうな笑みを浮かべながら小さく首を傾けるオリヴィア。燃えるような赤髪と赤い瞳をしていながらそんな淑やかで美しく儚い、芸術品のような仕草をされてしまえば、季弥はもちろん夏蓮でさえも思わず見惚れて息を飲んでしまう。


「……ね?」

「「は、はい……」」


 圧力をかけたかのように魅了され、否定するべきところで否定できなかった。亡国とは言え、一国の王女を……それ以前に一人の人間を殺めておいて、筋も通さず相手の好意に甘えてしまうのはどうなのかと良心が痛むが、一度頷いてしまった以上それを覆す事もできない。

 完全に不可能なわけではないが、しかしこちらは加害者の親である。相手の親に何かを言える立場にあるわけがない。


 家族を……人の大切な存在を奪っておきながら簡単に赦されてしまった。

 家族を失う苦しみを痛いほどに……死んでしまうほどに知っていながら、簡単に赦されてしまった。


 その優しさが今は痛いほどに苦しい。きっと娘が殺され喰われたと知ったオリヴィアの失意はこんなものではなかっただろう。オリヴィアと同じで一度は家族を失ってしまった立場にあるが、季弥と夏蓮は真にその失意を知らなかった。

 ……なぜなら、死んだ先ですぐに再会できたからだ。赤子の春暁とも、幼い冬音とも……白い世界でテントラと名乗る男によって再会させられたのである。そして自分の都合で死なせてしまった事を謝罪され、秋を除いた家族全員でまた同じ家族として暮らし始める事ができた。……こんな恵まれた環境にある自分達にオリヴィアの気持ちを真に理解できるわけがなかった。


 いつか完全な状態で蘇生させると宣言されていて、スキルによってそれが嘘じゃないと理解していても、きっと不安で仕方がないはずだ。


 それなのに……それなのに……信じて待つしかない、と不安を圧し殺して強かに言い放って、自分達を赦してくれた。


 ……尊敬するべきだ。敬い崇めるべきだ。一生付き従って奴隷のようになるべきだ。……と、子供達がいなければ真剣にそう思ってしまうほどにオリヴィアは煌々と輝いていて、二人はその美しさに感動を覚えて感動に胸を撃ち抜かれたのだ。


 胸を撃ち抜かれた自分達にできる事はなにか。

 謝る? 嘆く? 悔やむ? 痛みに押し潰される? 尊敬する? 奴隷になる? 全てを擲ってしまう?


 ……どれでもない。始めから季弥と夏蓮に行動や思考の余地などなかった。

 つまりはオリヴィアの言う通り、信じて待つしかないのである。オリヴィアに赦された事を受け入れるしかないのだ。

 この赦された優しさを享受するのは、意図して与えられたオリヴィアからの罰なのだから。


 オリヴィアは季弥と夏蓮を赦しはしたが、赦してはいなかった。


 加害者が罪を清算して楽になるなど加害者に都合が良すぎる。だから罪の意識を……良心を持ち合わせている加害者はこの優しさによる痛みを感じてしまう。

 ……そう、罪を犯したのに罰も受けずに赦されてしまえば、良心を……罪の意識を持っている者であればどうしても辛くなってしまうものである。

 これは一種のテストだったのだろう。季弥と夏蓮がまともな人間かを確かめるテストだったのだろう。そしてテストであると同時に罰でもあったのだろう。



 オリヴィア・アイドラークの普段の優しさは普通の優しさであるが、時にその優しさは意図して厳しさを孕む。……死んでしまうほどに強かで、生きてしまうほどに強か。


 こんなに素晴らしい人間がいるのか、存在していたのかと、感動と感激で、季弥と夏蓮の身も心も打ち震わせてしまうほどに。


 これが王族の威なのか。それともオリヴィア・アイドラークと言う人間が生まれ持った性質なのか。それらは定かではないが、唯一言える事はこの人は人間として完成されすぎている。

 他人を惹き付けて崇拝されるが如く熱心に慕われるような人格者で、飴と鞭の使い分けが上手く指導者としての素質もあって、寛容さと厳しさを兼ね備えている。精神面だけでなく、全てに愛されたとしか思えない優れた容姿も持ち合わせているのだから、まさに最高傑作と言える。


 そんな人物の娘であるフレイアの将来が楽しみに思えてくるが、しかしそのフレイアは自分達の息子の手によって殺され喰われている。

 フレイアの将来を知るためには、やはり秋を信じて待つしかないのだと分からされてしまう……と同時に、もしかすれば自分達がここまでの考えに至ると想定した上での話の数々だったのではないかと勘繰ってしまうほどにオリヴィアは得体が知れない存在だと認識させられていた。


 素晴らしい人間ではあるが、あまりにも完成されすぎているせいで恐ろしくも感じてしまうのは仕方ないことだろう。


 考えて、考えて、そして薄ら寒い感覚を覚えた季弥と夏蓮は気分転換にと王都へ繰り出そうとする。少しでも体を動かして温まろうとするのと同時に、先ほどの話し合いの内容の整理や、オリヴィアに対しての対応は本当にあれでよかったのかと考え直すためだ。

 ……あれが人間性のテスト、娘殺しへの罰だとは理解していても、罪の重荷から逃れたいとか言う動機ではなく、誠意や筋を通すためにきちんと謝罪しておくべきなのではないかと言う考えが捨てきれなかったから、考え直す時間が欲しかったのである。


 玄関まで向かったところでミアと遭遇する。何やら満足そうなスッキリした顔をしている。……こめかみに浮かんでいた青筋が消えているのは、自然と怒りが冷めたからか、それとも……


「あら、もう話は終わったの?」

「えぇ、まぁ……ね。ちょっとまだ戸惑ってるから気分転換に散歩でもしようかなって思って……」

「そうなるわよね~……あんな話を聞かせられたらそうでもしないと頭が破裂しちゃうものね。あ、ね、夫婦仲良くお散歩に向かうところ悪いんだけど、私も付いていっていいかしら?」

「もちろんよ。……でも、今はあんまり人と話したい気分じゃないから、会話には期待しないでね?」

「分かった、返答には期待せず喋ってるわね。ささっ、行きましょう、季弥さん夏蓮さん」


 友人の元気がない事を悟らずとも理解できたミアは、フレイアと秋の重荷を背負う季弥と夏蓮だけで散歩に向かわせても何も解決しないだろうと考え、同行を申し出た。

 何ができるのか分からないが、重荷を背負っていない自分がいるだけでも大分違うだろうから、ただ付いていく事に問題はなかった。


 そうして屋敷を出た三人は特に目的もなく王都をブラブラ彷徨き、道中はずっとミアが独り言を言うかのように喋り続けている。季弥も夏蓮も時々ミアの言葉に言葉を返すが、考え事をしている二人はどこか上の空だった。

 ダメだ全然相手にしてくれない、元気付けられない。……そう考えるミアだったが、それでも諦めずに話しかけ続けていたせいで前方への注意が疎かになってしまい、何かに……誰かにぶつかってしまった。


「すみま──」


 ぶつかった衝撃で尻餅をついてしまったミアが腰を擦り、顔を上げて謝罪の言葉を紡ぐが、その言葉は途中で途切れた。呆然とした表情ぶつかってしまった相手を見つめ、痛む腰を擦る手も止まっている。


 そんな様子のミアが見つめる先に目を向ければ、そこにはミアを見下ろしながら、ミアと同じ様子で呆然としている男がいた。

 男の髪はミア同じ赤色。男の瞳もミアと同じ赤色。肌の質感的にまだまだ若いのだろうが、残念な事に物凄い老け顔だ。そのせいで、二十代前半であろう男は三十代前半のように見えてしまう。

 ……ボロボロの衣服や剃り残した髭などのせいで、身嗜みを気にする余裕がない多忙な社会人のような雰囲気を醸し出していて、男の致命的な老け顔に重なり、『おっさん』というような印象をより強くしている。さらに言えば、おっさんの隣で戸惑っている金髪碧眼で、どこかナルシストと言うイメージを抱かせる青年が、より赤髪赤目のおっさんをおっさんたらしめている要因であった。


 様々な要因が絡み合って、絶望的な老け顔の赤髪赤目の老け顔の男は、呆然するミアより早く立ち直ってミアへと言葉をかけた。


「お、お前……ミアじゃねぇか……っ!」

「……お兄……様……? ……あなた……ほ、本当にお兄様なの……っ!?」


 乱暴で荒々しい言葉遣いでミアの名を呼ぶ男と、その男を兄と呼ぶミア。


 重い考え事と衝撃的なやり取りを目の当たりにした季弥と夏蓮はもちろん、男の隣に立つナルシストっぽい青年は一言も口から音を発する事なく、ただ立ち尽くして困惑するしかなかった。

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