第324話 前へ次へ
ドワーフの国──プミリオネスがあった雪山……アルタは何度もレジーナを殺す事によって従順になるまで調教し、自分が受けた仕返しを済ませていた。
結果、泣いて謝るレジーナに嗜虐心を擽られ、アルタはより一層レジーナへの興味を示す事となった。
レジーナ的には勘弁願いたかったが、常人以上に死の恐怖を知っているレジーナはそれを口に出す事はせずに黙って受け入れた。
アルタと出会ったばかりの頃……突如やってきたアルタに組み伏せられた時は何度でも殺せば良い、と思っていたのにも関わらず、一日中殺され続けてしまえば、常人より死に対して怯えるようになってしまった。
……世の中何があるか分からないものだ。
それからレジーナに命令して吹雪を止ませたアルタはレジーナを連れて洞窟を出て、下山したところにある村で現在地を聞き出して、ここが大陸の北部だと知れたのでそこから南下し始めた。
エルサリオンとナルルースとはぐれた場所はミレナリア王国の王都のそばにある村なのだから、合流するためには南下する他ないのである。
アルタの配下であるナルルースやエルサリオン、サリオンとディニエルと協力関係にある、ダイロンやマグロールが通る街道とは別の場所を進み、本人達の知らない場所ですれ違う。
エルサリオンとナルルースと合流する前にサリオンとディニエルの様子も見に行こう、とゲヴァルティア帝国へ戻ってきたアルタは、ちっとも想像しなかった自国の果ての姿を見て吹き出し、嗤う。遠出から帰ってくる度にだんだん壊れていっているじゃないか、と大笑いする。この間は【冒険王】とティオ=マーティの一度目の復讐で帝都が半壊しており、そして今度は帝都どころか国の全土が崩壊している。それが面白かったのだろう。
そんな様子のアルタを目の当たりにしたレジーナは、アルタに言った。何がそれほどに面白いのか、と。
「え? 逆にこれが面白くないの? ほら、あれだよ。前に会った時は健康体そのものだった親戚の子供と久し振りに会ったら、もっと健康体になっていてさらに筋肉ムキムキになっていた時みたいな感じだよ。……あ、そっか。レジーナはこの国が滅ぶ最後の瞬間辺りまでここに居たんだっけ? あー、じゃあ分からないのも無理ないね。筋肉ムキムキになる過程より、結果だけを見た方が面白いからねぇ~」
過程とか結果とか関係なく、そんな例え話を出されたところで微妙に分からないし、分かったところで面白く思う事はない……と言ってやりたかったが、機嫌を損ねたアルタに殺されるのを避けたかったレジーナは口を噤む。
「いやぁ……しかしこの様子じゃあ、サリオンもディニエルも死んじゃったかもね。……そう言えばどっかの国の王族も来てた気がするけど、それも死んじゃったかな? ぷくく……他国へ赴いたけど、自分が連れてる騎士が弱いからとそこに滞在して、そのまま襲撃者の襲撃に巻き込まれて死んだって……とても可哀想で仕方ないね。何のために生まれてきたんだろうって真面目に聞きたくなるよ。ふふっ……無意味な人生……あははは、本当に可哀想で愉快だねぇ」
「…………」
「あー笑った嗤った。さて、じゃあ行こうか。サリオンとディニエルもいないみたいだしね。……あ……そう言えば僕が頑張って集めた配下の魔物はどこに行ったんだろう……しくじったなぁ……レジーナと同じで、帝国から出るな、とかちゃんと命令してなかったから襲撃に怯えて逃げちゃったっぽいなぁ……まぁでも、僕のステータスはそのままだから主従関係が途絶えたわけでもないみたいだね。……僕が管理しなくて済むようになった分、得したとも考えられるよねぇ」
やったねと喜ぶアルタはすぐに振り返ってミレナリア王国へ向けて街道を歩き出した。情緒不安定なのかと疑いたくなるほどの変わり身の早さにここまでの短い旅で慣れていたレジーナは黙ってそれに付いていく。……ちなみに、主な移動手段は徒歩だが、時々アルタがレジーナが付いてこれるギリギリの速度で走ったりするおかげで、プミリオネスからゲヴァルティアまで全く経過していない。
この世界で主流の移動手段である馬車ならば五日はかかるところを短時間で移動しているのである。そんな速度で走るアルタもだが、それに付いていけるレジーナも相当におかしい身体能力をしている。……氷や雪の塊であるレジーナのそれを身体と表現していいのかは分からないが、なんにせよどちらも異常である事には変わりないだろう。
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ラウラによって学生寮へと運び込まれたアデル。
医療施設ではなく学生寮に運ばれた理由は、そこらの医師よりラウラの聖魔法が強力であるからだ。勇者と神徒の正体を知っている関係者はすんなりとそれを受け入れたが、念のため、と言って寮の部屋の付近に集まっている。
「……ん……んぁ……? ここは……」
「目が覚めましたか、アデルさん。ここは私の部屋ですよ」
「ラウラ……の部屋……どうして……」
ラウラのベッドに横たえられたアデルはその体を起こし、側にいたラウラ見つめる。寝起きであるために思考は纏まっていないようだが、どこか一部の思考だけは澄んでいた。
「……あ! そうだボク、女神様に体を乗っ取られて、それで──からの思考操作に気付いて……! ……ちゃんと思い出せてるって事は、ボクが思考操作を打ち破れたって事だよね……はぁぁぁっ、よかった……」
「えっと……あの、アデルさん? 体を乗っ取られたとか、思考操作とか……何の話ですか? アデルさんが倒れる原因なんでしょうけど、何がなんだかさっぱり分からないんですけど……」
何があったかを思い出したアデルは大城な声を上げてから、状況を確認するように呟き、そして薄い胸を撫でて深く大きい溜め息を吐いて安堵を露にする。そんなアデルの様子を見たラウラは首を傾げてアデルに話しかけた。
「……っ! そうだラウラ聞いて!」
「ひゃっ……は、はい、聞きますから離れてください?」
「あ、ごめん」
ベッドの上で正座し、ベッドの側にある椅子に座っているラウラの両肩を掴んで顔を寄せるアデルに驚き、声を上げるラウラはアデルを引き離しながらそう言う。
「あのね……えーっと……何から話せば良いんだろうね……? じゃあ、順番に何があったかを説明するね──」
引き離され、ハッとした様子でラウラに謝ったアデルは少し何かを考える素振りを見せてから、両手を胸の前で握って興奮した様子で話し出す。
オーデンティウスと対峙していたら突然自分の意思で体が動かせなくなり、自分の知らない技や知識を持っている事を知り、大陸の中心部にあるダンジョンへと潜り、そこで最果ての大陸からやってきたあの二匹の狼とフェンリルと言う恐ろしい狼と自分達がよく知る人物と出会い、自分の体を使っているのが勇気の女神パニエだと知り、そしてそれらの会話の中からよく知る人物が魔王だと知って──と、そこまで話したところでラウラから制止された。
「え、えっと……ちょっと待ってください……理解が追い付かないので少しずつ話を整理しますから。……あの悪魔と戦っていたら勇気の女神様に体を乗っ取られて、知らない技で悪魔を倒して、それからあのジメジメしたダンジョンでこの間逃がした最果ての大陸の狼と、お伽噺に出てくる魔狼──フェンリルとクドウさんと出会って、話の中からクドウさんが……その、魔王だと知った……と言う事ですよね?」
「そう! そう言う事! ……だけど、改めて聞いてみると頭がおかしい人の話を聞いているみたいな感覚になるね……なのに凄いねラウラ。こんな話を聞いて理解できるって」
「あ、あはは……自分でもどうして理解できたのか分からないです……と言うかそれよりも、あのクドウさんは魔王……ですか……どうしましょう。私達も結構強くなったはずですけど、一向に勝てる気がしないんですけど」
話を整理するラウラに感心するアデル。話を整理したラウラはアデルの言う事を疑わずにそれを受け入れ、秋が魔王である事に頭を悩ませ始める。
信用されている事を感じるアデルはそんなラウラを見ながら頬を弛緩させるが、それと同時に、そのラウラの思考は魔王を倒せるか倒せないかのどちらかなのだろうと悟る。
なぜならラウラはアデルと違って、思考操作が解除されていないのだから。……だから魔王討伐の妨げになる仲間意識などを取り除かれ、倒せるか倒せないかの二つしか考えられていないのである。
「話はまだあるんだ」
「あ、すみません」
「いや、いいんだ。……それで続きなんだけど、ボク達……勇者と賢者と神徒は何らかの手段で思考操作されている。恐らく犯人は神様だ」
驚くラウラを余所にアデルはそう考える理由を話し出す。推測に過ぎないが、アデルはこれが限りなく真実に近い考えだと思っている。
思考操作されていたのはあの時の濁流のように押し寄せる思考で明らかだが、念のためだ。思考操作が為される瞬間を見て、より強く確信を抱きたかったのである。そのついでにラウラに真実を話して思考操作を断ち切れるように真実に近い推測を叩き付けるのだ。……まぁ、その推測を経て思考操作されている事に思い至ったアデルの思考が制限されようとしていた時点で真実に違いないのだが。
「ぅぐっ……な、なんですか……これっ……あ、あ、頭が痛い……頭がボーッとして……っ!」
「間違いない、ボクらは思考操作されてたんだっ! ラウラ! 今からボクが言う事を強く頭に思い浮かべて! そして考えて!」
確信を抱いたアデルはラウラの肩を掴み、真っ直ぐに目を見つめて言った。頭を押さえようとするラウラの腕は肩を掴まれているせいで上がらない様子だ。
「どうしてボク達は悪い事をしていない魔王を討伐しないといけない? どうしてボク達は善悪を考えずにひたすら悪い事をしていない魔王を倒そうとしていた? 勇者なのに賢者なのに神徒なのに、そんな模範となるべき存在なのにどうして考えなしにそんな事を? ボク達の思考を操作して、魔王討伐をさせようとしていたのは誰だと思う? ……ラウラなら分かるはずだ。前までのボクと同じで、臆病で、危険に飛び込みたくないって考えていたラウラなら、さっきの話と照らし合わせて考えれば分かるはずだよ! 圧倒的強者である魔王の討伐なんかしたくないって思っていたラウラなら、魔王を倒せるか倒せないかを考えちゃってたラウラならっ! 今の自分の思考が前までものと全く違う事に気付けるはずだよ! しっかり思い浮かべて、考えて!」
アデルに言われてラウラは考える。
確かにそうだ。魔王などと言う、何よりも目立つ存在が悪行を働いたもならばとっくに悪評が広まっていてもいいものだが、そう言った話は聞かない……つまり、今代の魔王は何も悪事を働いていないわけで……どうして自分はそんな悪でもない存在を討伐しようと……裁こうとしていたのだろうか。
臆病だった普段の自分であればあり得ない行動だ。いくらこの旅で心が成長したとは言え、悪でもない存在を裁こうとは思わないはず。つまり他者の意思が……思考が入り込んでいる……いや、思考を操作されている?
誰に? 魔王を討伐させたい人物。それは誰だ? 教会関係者……それか、神。
自分はどうして仲間だと判明した魔王を倒そうとしていたのだろうか……それも、異常な強さをよく知っているあの男だと判明した上で、倒せるか倒せないかと考えてしまうほどに魔王への戦意があった。
そうして思い出すのは、運命の女神ベールに神徒として夢のような白い世界に全裸で招かれた時の事だ。あの時、確かにラウラは神徒として魔王を倒すのを拒んでいた。……アデルとクルトと共に再びそこに招かれた際は、明確な拒絶の意思を持っておらず、冷静にアデルとクルトに現状の説明までしていた。
……一度目と二度目の間に心変わりしたか? いや、あり得ない。何年も臆病に生き、他力本願で運に縋るように生きてきた自分が、あんな短時間で変われるわけがない。死ぬまで変わらないとまで思えるほどに強くそう生きてきたはずだ。……つまりそれは思考操作が為されていたと言う事に他ならない。
その頃は教会関係者と出会っていなかったはずなので、必然的に先ほどの、思考操作を行っている魔王を討伐させたい人物は教会関係者か神か、と言う疑問の答えは神となる。
ここまで来ればもう理解した。
自分は神に思考を操作されていた、と。
それに気付けば、酷く濁った思考の濁流は、全てを押し流し、かき消して、自分で満たそうとラウラを襲う。
「ラウラ!」
アデルの呼び掛ける声が、濁流の中で鮮明に聞こえる。
これはある種の共鳴のようなものだった。
友人であり仲間であるアデルと言う『強制の称号』を打ち破り、『強制の称号』の影響を一切受けなくなった者が濁流のような思考の中で、発光するように可視化され、『強制の称号』を打ち破ろうとするラウラに手を差し伸べて、強制を振り払おうと共に鳴く。……そんな状態であった。
そうして際限なく繰り返される思考操作。とうとうおかしくなってしまったのは『強制の称号』である『神徒』と言う称号だった。何度やっても呑み込めないその思考に、組み込まれていたシステムが異常を起こしてその活動を停止させてしまった。言ってしまえば機械が起こしたフリーズのようなものだ。
椅子から崩れ落ちそうになったラウラをアデルが抱き止め、自分と入れ替わるようにラウラをベッドに寝かせ、今度はアデルが椅子に座った。
何とか上手くいったみたい、と安堵し、達成感に浸るアデルは、背凭れに体重を預けて天井を仰いだ。
神からの思考操作を、口出しできない強制を、無理矢理な干渉を振り切ったせいか、雲の上にいるとされている神と自分を隔てるその天井が凄く分厚いもののように思えてくる。
「えへへ……」
ラウラが眠るラウラの部屋で、椅子の背凭れに体重を預けてラウラを寝顔を見ながら、アデルは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて小さく笑った。
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一方、ラウラに『強制の称号』を無効化されたのを感じていた運命の女神ベールはしかし微動だにしていなかった。……他の神々はそうでもなかったのだが、ベールだけは微動だにしていなかった。
それは、魔王を殺すための本命が勇者や賢者、神徒でなく邪神だからだ……と言うわけでもなく、もう殺す事自体を諦めていたからだ。
神々や世界でさえも予想しなかった異常生物である魂の集合体を殺して喰って、数億を越えるステータスをそのまま受け継いでいる魔王など、いくら邪神言えど手に負えるわけがないのだから。……だから今のベールにとっては勇者や賢者や神徒だけでなく、邪神ですらどうでもいい取り敢えずの存在と化していた。
そんなベールがやってきていたのは人々が暮らす現世……地上にある、ミレナリア王国の王都ソルスミードだ。主神ブライダルの許可を得てこうして地上を歩くベールが依り代として構築した肉体の見た目は、いつもと変わらないものであり、それに吹き込まれた力は並大抵の相手から危害を加えられないほど……自身が生み出した神徒と言う役割を持つラウラより少し劣る程度だ。
……こうして力を抑制しておかなければ、その身から溢れ出る神威によって周囲の生物全てに何らかの影響を与えてしまう。例えばステータスを向上させたりレベルアップさせたり、新しいスキルを与えてしまったり、オドやマナに影響を与えて異常な威力を誇る魔法が放てるようになったり……と周囲の力関係を容赦なく破壊してしまうので、ラウラより少し劣る程度の力が、ベールが周囲の力関係を崩さないギリギリのラインだった。
地上を歩くベールは、いつも見守ってばかりだった地上に立っている感覚を不思議に思い、おのぼりさんと言うべき仕草で街中を歩き回る。そのせいで何度も良からぬ事を企む輩に絡まれそうになったが、悪意に敏感なベールはその全てを見抜いて対処した。スリやひったくりであれば転ばせて周囲の目に触れさせたり、ナンパであれば思い切り無視して、誘拐目的の者であれば人混みに紛れて逃げて……絡まれるという心構えができていれば、そうして簡単に対処する事ができた。
そうして一般人に紛れる女神の目的である秋は姿を偽って、冒険者ギルドと言うところにいるらしい事を知るベール。あれだけ警戒して傍観して観察していた神ならば、一人や二人の気配を覚える事ぐらい容易なのである。
ベールは秋の元へと一直線に向かう。
おのぼりさんのようにキョロキョロしているベールだが、その癖に足取りは確かだった。そんな不安定な姿と、人間離れした美貌には誰もが振り返っているのだが、当のベール気付いているのかいないのか、変わらない姿でキョロキョロと真っ直ぐに進む。
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学生寮にアデルを運び込むラウラと別れたフレデリカ達。その道中でナタリアとモニカ、アンドリューが目覚めたおかげでフレデリカとスカーラ、シュレヒトは人一人分の重さを運ばずに済んでいた。
「あの……ごめんなさいね、フレデリカさん。重かったでしょう……?」
「いえ、そんな事なかったですよ。普段から運動しない私ですけど、明日筋肉痛になることはなさそうですので、大丈夫です。気にしないでいいですよナタリア先生」
フレデリカに謝るナタリアに、筋肉痛にはならなそうだから大丈夫だと伝えるフレデリカ。言外に重くなかったと伝えているのは流石生徒会長、気が利くなと言うところだ。
モニカとスカーラに同じようなやり取りをしていたが、シュレヒトとアンドリューだけはそうでもなかった。アンドリューがシュレヒトに謝罪してから礼を言ったまでは同じだが、シュレヒトは「重かった」だの「ナタリア先生を運びたかった」などと言うので、アンドリューは困ったように頭を掻いていた。
そんなやり取りを冷めた目で見る女性陣とアーク。そうしてアブレンクング王国の王都シックサールを進む七人の耳に頻繁に入ってくる話があった。
それらを纏めると……
曰く、最近は誰かに召喚されるでもなく、ある日突然どこかに異世界人が現れたりしているらしい。
さらに、どこからともなく現れた異世界人の大半は、異世界人なら誰しもが得ると言われている逸脱した力を持っておらず、持っているのは【家事】などの一般的なスキルばかりだと言う。
……そのどこからともなく現れた異世界人の中には、強力なスキルを持っている者もいるにはいるのだが、見知らぬ地に何も持たずに放り出されてしまい、どう生きれば良いかが分からないがために、盗賊などに唆されて盗賊に身を堕としたり、奴隷商人に騙されて奴隷契約を結ばされて売られたりしているらしい。……もちろん、そうはならずに上手くやってこの世界の人々に紛れて暮らしている者もいる。
曰く、最近は突如行方不明になる者が多発しているらしく、前を歩いていた人間が水の膜を潜ったみたいに姿を消してそれ以降一切の消息を絶っているのだとか。
そうして消息を絶った人物に全てに共通点などはなく、大人も子供も、赤子も老人も、男も女も、人間も亜人も魔人も、果てには魔物さえもが何の前触れもなく跡形もなく消えてしまうのだ。
それらの話を耳にしたフレデリカ達はそれを他人事だと考えて、特に考えもせずにそれらの噂話を聞き流していた。




