第27話 馬車の中で
暫く馬車で移動していると街が見えてきた。
結局フレイアは俯いたままずっと喋らなかった。
「そういえば僕この辺りの事全くわからないんですよね。あれが何て言う街なのか分かりませんし、そもそもここが何て言う国なのかすら知らないです」
「え!? ほ、本当ですか?」
「……はい。田舎者なもので……」
まぁそうなるよな。
街の名前ならまだともかく国名すら知らないのはヤバすぎる。いくら田舎者でもこれは苦しすぎる。
「コホン、ここはミレナリア王国と言いまして、今見えている街はフィドルマイアと言います」
「なるほど」
「ミレナリア王国は近くに魔物が沢山生息している、ミスラの森や、王国の近隣には海もあるので水棲の魔物達に日々脅かされています。それにミレナリア王国にはダンジョンがありまして、そのダンジョンは三ヶ所あります」
「ダンジョンですか?」
「はい。ダンジョンはそれぞれ初級、中級、上級と分けられています。上級に至ってはまだ誰も踏破できていないそうです。世界各地から腕に自信のある方々が挙って上級ダンジョンを攻略するためにやってきます。それ以外にも 、王国周辺の環境が危険な事もあり、冒険者が沢山いますね」
「なるほど。それでその冒険者と言うのは何ですか?」
「あら、クドウ様は冒険者では無かったんですね。えー冒険者と言うのは簡単に言うと、魔物を討伐してその素材を売ったりしている人達の事です。私も詳しい事は知らないので興味があるのでしたら、後で冒険者ギルドへ行ってみてはどうですか?」
「分かりました。街に着いたら行ってみます」
冒険者か……面白そうだな。
この世界のモンスターと、遺跡のモンスターはなにか違うみたいだから喰ってみたい。
もしかしたら魔法なるものを奪えるかも知れない。
楽しみだ。
「それなのですが……クドウ様は街に着いたら私達の屋敷でお礼も兼ねたおもてなしをさせて頂きたいのです。勿論お食事も出しますし、お礼の品もその場でお渡しします」
えー……早く色んな魔物からステータスを奪いたいんだけどなぁ。
……まぁお腹も空いたし御馳走になろう。それでお礼の品はお金にしよう。流石に無一文は不味い。
「分かりました。丁度お腹も空いてましたし」
街の門の前には数人の兵士が検問をしていた。
他の人達は身分証を提示させられているようだが、俺達は素通りできた。
そう言えば俺身分証持ってねぇ……素通りして良かったのか……? いや駄目だろ……
「あの、僕身分証持って無いんですけど通って良かったんですかね」
「あら……まぁ大丈夫ですよ。冒険者ギルドで冒険者登録をすれば、ギルドカードが貰えます。それを身分証として使うことができます」
「冒険者ギルドって便利なんですね」