第23話 探知は素晴らしい
俺は感動していた。
「おぉ……分かる……! 分かるぞ……!」
俺は遺跡でてにいれたスキル【探知】で辺りの状況が手に取るように把握できた。
一本道の遺跡では使いどころがなく、使ったことが無かったから感動している。
「いや~凄いなこのスキル」
三人一組で行動している者が七組、一人は街道を走っている。この人達はさっきの騎士達だろう。
じゃあ森の前で一人でいるのは?恐らく騎士達を雇っている偉い人だろう。何で一人? 危ないんじゃないか?
取り敢えずこの人は注意深く見守っておいてあげよう。
俺は既に見つけてある誘拐犯に向かって移動する。
ちなみに騎士はどの組も誘拐犯に向かえていない。
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「はっはっは。簡単な仕事だったぜ」
「全くだ」
「王族の娘を拐って来いなんて無理だと思ったが案外イケるモンだなぁ」
森の奥で話すのは盗賊だ。
強くはないとは言えモンスターが蔓延るこの森で余裕そうに会話をしていることから中々の手練れであることが窺える。
「ここまで来れば暫くは大丈夫だろ」
「あんなザルな警備してる奴らだからなぁ。どうせ此処までこれねぇよ」
「とは言え援軍を呼ばれちゃ為す術がねぇよ。用心するに越したことはねぇさ」
「それにしてもそろそろ腕が疲れてきたな。どっちか変わってくれよ」
「うーん……じゃぁちょうど良いしここらで休もうか」
「そうだな」
そう言い盗賊達は大きな袋を下ろす。ドサッと乱雑に地面に落とされた袋の中からは小さく呻き声がする。
「やっぱ意識のない人間は重いぜ」
痛みで意識を取り戻し、その言葉に反応したのだろうか。
袋の中からはくぐもった声がする。しかし、口枷がされているのか、言葉として耳に入らない。
「あらま、目が覚めちゃったみたいだ」
「お前が適当に下ろしたせいだろ」
「いやーすまんすまん。ま、もう一回気を失わせれば済む話だろ?」
そう言い袋を担いでいた男は袋のくちを結んでいた紐を解く。
「おい! 何してんだ!」
「何って袋開けてんだよ。折角目覚めたんだし休憩がてらお話でもしようかなってな」
「逃げられたらどうすんだよ!」
「あほか、何の為に手足を縛ってんだよ」
袋から頭を覗かせたのは赤髪で、キッとした赤目の強気そうな美少女だった。
「んー!? んー! んんんー!」
「まてまて、今口枷を外してやるからなぁ」
そう言い、少女の口を塞いでいる布を取る。
口枷が外された少女は見た目通りの強気な態度で盗賊に向かって怒鳴る。
「ちょっと! 何なのよあんた達! こんなことをして只で済むと思ってるの?」
「へぇ……? 俺達ゃあどうなんだよ?」
「そ、それは……そう、処刑されちゃうわよ!」
「そうか……処刑されちゃうのか俺達は。ふーん?」
「な、何よ……」
「いや、別に? あんなに兵士が居たのにみすみす誘拐された無能な兵士達に俺達が捕らえられるのかなって思っただけさ?」
「……っ!」
少女は悔しげに眉を顰めさせる。
その様子を見た盗賊は気分を良くしたのか、笑みを浮かべた。