第22話 上陸早々に問題発生
発見した大陸の上空を飛びながら俺は人を探す。
人でなくても街や街道等があればそれに向かって移動しよう。何でも良いからこの世界に受け入れられたいんだ。
やがて俺は街道を発見した。
そこそこ人通りがあるようで、今も目の前を馬車が通っている。馬車の向かい側からは、身軽そうな革の装備に身を包んだ冒険者のような人達が走っている。その人達は、大きな袋を担ぎ、街道沿いにある森へ入って行く。
俺は冒険者のような人達が入って行った場所とは少し離れた森から街道に出る。
そして、冒険者のような人達が歩いて来た方向へ歩きだす。
しばらくすると、前方から一台の馬車が沢山の騎兵を伴いながらやって来た。
俺は馬車に道を譲るため、道をあける。
馬車は俺の前を通過し、俺が歩いて来た方へ向かう。
しかし、何故か騎兵の一人が馬に乗ったまま話し掛けてくる。
「大きな袋を担いだ革の装備をした者達を見かけませんでしたか!?」
騎兵は焦った様子で聞く。
「森の中に入って行くのを見ましたけど…なにかあったんですか?」
「申し訳ないのですがそれは教えられません。情報ありがとうございました!」
そう言い、馬で駆けていく。
良かった。会話はできるみたいだ。
とは言え、気になるな。
十中八九誘拐だろうけど、それでも俺の野次馬根性……いや、好奇心が騒いでいる。
追いかけよう。
俺は森の中に入り、認識阻害のスキルを使い走り出す。
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「行方は分かったのですか!?」
馬車の中から立派なドレスに身を包んだ女性が騎士に問いかける。
「ハッ!通行人の話しでは、森の中に入って行ったとの事です」
「盗賊の仲間の可能性は無いのですか?」
「無いとは言い切れませんが、見慣れない、それも目立つ格好をしていましたからありえないと思います」
「むむむ。怪しいですけど今はそれ以外に手掛かりはありません」
仕方がない、と言い女性は森沿いに馬車を停めさせる。
「皆さん聞いてください。今は『森の中に入って行った』という事しか手掛かりはありません。なので、今から『ミスラの森』の捜索を始めます。まず───」
女性は指揮を執る。
その内容は三人一組の、計七組で捜索すると言うもの。
しかしこの森は広く、とてもこの人数では探しきれないので、余った一人は街に応援を呼びに行く事になった。
騎士は馬から降り、歩いて組毎に別れて捜索する。
あるものは足跡を探し、あるものは限定的ではある物の、探索魔法で誘拐犯を探し始める。