第21話 取り敢えず人間を探そう
いつの間にか寝てしまっていたようだ。俺は目を擦りながら周囲を確認する。
俺の周囲は緑色だった。
しかし、その緑色は草花ではなくゴブリンの緑色だった。
俺は寝ている間に囲まれていた。
それは置いといて、このゴブリン達、俺が遺跡で倒したのと何かが違う気がする。
「ゲギャッギャギャ!」
「グギィギャギィィィイ!」
「ギャギャギュァー!」
喜んでいるのだろうか? 何となくそんな感じがする。
すると、俺の目の前に居たゴブリンが手に持っていた剣で斬りかかってくる。
俺は後ろに転がり、立ち上がる。そして斬りかかってきたゴブリンを、手首から先を刃に変形させて切断する。
俺は手を止めずに他のゴブリンを切り裂く。
やがてゴブリンは誰一人声をあげることなく死んでいった。
こんな雑魚は喰う価値もない。
まずは何処か人が居る場所に行こう。
そう思い、俺は歩きだす。
だけど暫く歩いても道すら見つからない。
しかもモンスターがわんさかでてくる。さっきのゴブリンから今までどれだけ倒したか覚えていない。
で、俺は今空を飛んでいる。理由は簡単。遠くまで見渡せるから。それで分かったのが、ここには人間が住んでいない。街がないし村もない。人間が住んでいた形跡もない。
後、この大陸には、草原があり、砂漠があり、雪原が火山が…………と言ったように、あらゆる環境が詰め込まれている。それと、この大陸には遺跡の中盤~終盤辺りのモンスターがうじゃうじゃ居る。つまりヤバい。
まぁ流石にこの大陸の外には人間が居ると思う。
ので、俺は出来るだけ遠くを見渡せるように、今いる大陸を見失わない程度に海上を飛行する。
暫く同じ事を続けていると、他の大陸が視界に収まった。
この大陸でモンスターを狩ってレベル上げしながら食い繋ぐのも良いけど、一先ず俺は人間に会いたい。
俺は高速で発見した大陸に向かう。
一応認識阻害のスキルを使っておく。普通、人が空を飛ぶなんてあり得ないからな。この世界の常識が分からない以上、人前でスキルは使わない方が良いだろう。
でも、まぁ、使うとしてもバレないようにすれば問題はないだろう。