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第18話 邪神

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誤字の修正や物語、邪神の名前の表記を変更しました。

「これは……なぁテントラ」

「なに?」

「ドアノブの上には白の世界に通じてるってあったんだけど?」

「その黒いのについても僕に勝てたら教えてあげるよ」

「そうか。じゃあ行くぞ」






 その戦いは熾烈を極めた。


 戦いの舞台が白の世界でなければ、とっくに二人の周囲は荒野と化していただろう。

 それほどまでに激しい戦いだった。



 秋は本気で戦っていた。

 しかし

 テントラは何かに苦しみ、戦いに集中できないでいた。

 それなのにも関わらず実力は拮抗していた。

 力量に差があった。


 その事実が悔しかったのだろう。

 秋はテントラに負けじと必死に攻撃を始める。

 防御を疎かにして。


 テントラはそれに気付いていたが、その隙を狙わなかった。

 何故なら、これはテントラが勝利するための戦いではない。テントラが秋に殺される為の戦いだから。


 テントラは秋の鬼神の如き猛攻に耐えられず態勢を崩す。

 秋は攻撃の手を緩めず、殺すつもりでテントラを攻撃する。拳で。拳から生やした刃で。背中から無数に伸びる触手のようなもので。


 やがてテントラは地面に倒れ伏す。

 この戦いは地上の時間で三日間に渡る戦いだった。





「ははは……負けちゃった」


「フンッ……手を抜いてた癖に何を言うんだ」


 秋は鼻を鳴らし、文句を言う。


「バレてたんだ。それで、僕が死にたがっている理由だけど……」


 テントラはポツリポツリと話す。


「実は僕、普通の日本人だったんだ。でも死んじゃって、転生して、チート能力貰って、異世界で無双して、王様になって……って具合に普通とは言えない生活をしていたんだ。でも……」


「でも?」


「そんな生活にはすぐ飽きちゃった。 だから暇潰しに僕を転生させてくれた神様を殺したんだ。 神殺しには暫くは飽きなかった。 すぐに神様は補充されるからね。 そんな事を続けていたんだ。 そしたら、僕が暇潰しに神様を殺しているのを知った転生の神の上司みたいなのが、そんなに暇なら仕事を受けてくれないかって」


「なんでお前に? 敵扱いされなかったのか?」


「神を殺しまくって強くなりすぎたんだろうね。敵対するより、僕と友好的にするほうがメリットがあると思ったんじゃない?」


「そんなもんなのか」


「うん。で、その仕事って言うのが、邪神に成り下がった転生の神の討伐だったんだ。 そいつが結構強くてね……なんせ僕と同じような戦い方をするんだ。 あのままじゃ相討ちだったよ。 でも、僕としてはもっと生きたかったから、その邪神を封印したんだ。 僕の体に。 周りに邪神を封印できそうな器がなかったから、仕方なく僕の体に封印したんだ」


「はぁ……」


「その後は最悪だったね。 邪神を討伐出来なかった罰として、お前が殺しまくった転生の神の代わりをしろって。 でもこれには問題があった。 僕の体に封印した邪神は、封印の中で自分の傷を癒していたんだ。 このままじゃ封印を破られると思った僕は、手っ取り早く強くなれるスキルを秘めた人間を探していたんだ。 それが秋君だね」


「そうか」


「強奪なんて言う、()()()()通りのスキルを持った君は僕の希望だった。 君が早く強くなるにはきっかけが必要だった。 そこで僕は天使に人間の子供になるよう命じた」


「……は? ……おい……それって……」


「そう、君が助けた子供だよ」


「マジかよ」


「周りに溶け込むため普通であろうとした君が飛び出したのも、天使が君の意識を誘導したからだね。あぁ、ちなみにその天使が痛がってたのも演技ね」


「俺はお前の思い通りに動いてたわけだ」


「そう。それでも君の心が折れて自棄になって自己中心的になる気配が無かったから追憶の宝玉を使って……って事だね。自分が一番で自分の為なら容赦しない。そんな君の性格は本当にありがたかったよ。 ……まぁこれからもそうかは分からないけど」


「…………」


「以上かな。さぁ早く僕を邪神の封印ごと喰らってくれないかな。この世界が邪神に完全に呑まれる前に」


「いや、手遅れっぽいけど……ほら」


 秋はそう言いテントラの腹部を指差す。

 テントラの腹部は不気味に蠢いていた。寄生虫が宿主を喰い破るかのようだった。


「はは……ほんとだね……あぁ……のんびりお喋りなんかするんじゃなかったよ……」


 テントラの腹部からは夜空と見紛うほど真っ黒な腕が這い出てきた。


 全身をテントラの体外に出した邪神の姿を表すのなら、生きた闇だろう。


「……あれ? こいつどっかで見たような」


 秋は邪神に既視感を覚えていた。


 人の形をした漆黒は何をするでもなく佇んでいた。


「あ、秋君……今のうちに……僕を……喰ってくれ……!」


 テントラは今の君じゃ勝てないと、秋に自分を食べるよう言う。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

名前:■■ ■(■■■ ■■)

種族:神

Lv1890

MP :8,910,010

物攻 :8,899,925

物防 :8,899,977

魔攻 :8,902,100

魔防 :8,900,963

敏捷 :8,901,975


固有能力

【傲慢】 【強欲】 【暴食】 【憤怒】 【怠惰】 【嫉妬】 【色欲】


能力

無し


称号

邪神

__________________________


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