第17話 脱・遺跡
998……
俺が突破した部屋の数でもあり、魔物を喰った数でもある。
…………ちなみにここに来るまでの道中、通過した部屋に居た魔物は、基本は一体だけで完全な一対一だったが、たまに一つの部屋に複数体が居てその分喰う数が増えたが、そこは喰えないような魔物──炎や水などで形成された魔物が現れることにより、突破した部屋の数と喰った魔物の数が一緒になるように調整されていた。
そして今俺の目の前にあるのが999番目の部屋……
頭がおかしくなりそうだ。なんせこんな薄暗い場所にずっといるんだ。気分も暗くなるというものだ。
結局ここに来るまでずっと分岐点などはなかった。
つまり一本道。これじゃ遺跡なんかじゃないな。
入ったらクリアするまで出られない激ムズのダンジョンだ。
まぁとりあえず行くか。
そこに居たのは人の形をした肉塊だった。
人の型にあらゆる生物の様々な部位を詰め込んだような醜いモノだった。
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名前:■■の卵
種族:無し
Lv0
MP :0
物攻 :0
物防 :0
魔攻 :0
魔防 :0
敏捷 :0
固有能力
【】【】【】【】【】【】【】
能力
無し
称号
無し
__________________________
……は……? 卵……? どういう事なんだ……
と言うより殺していい奴なのかこいつは…?
怪しすぎるんだけど……殺したら呪われたりする奴じゃないのか? なんの卵かも分からないし。
……だが……殺さないと進めないからな……
ま、まぁ……何が起こっても今の俺ならなんとかできるだろ。多分。
恐る恐る人型の卵に近付く。
人型の卵の前まで来ると、俺は卵を貫く。
"レベルアップしました"
どうやらちゃんと死んだらしい。
本当になんだったんだろうか。
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名前:久遠秋
種族:異質同体人間
Lv910
MP :2,891,010
物攻 :2,892,960
物防 :2,892,270
魔攻 :2,892,020
魔防 :2,891,930
敏捷 :2,892,900
固有能力
【強奪Lv3】 【悪食】 【化け者×998】
能力
無し
称号
異質同体人間
__________________________
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【強奪Lv3】
身体強奪
スキル強奪
ステータス強奪
発動条件:自分が殺した相手を喰う
__________________
ステータス強奪は、文字通り喰った相手のステータスの数値を、そのまま自分のステータスにプラスする能力。
だが、喰った量により得られるステータスの数値は変動する。
……分かりやすく説明すると、腕だけを喰えば『1』を得られるが、全身を喰えば『10』を得られる……と、このように喰った量によってステータスの数値が変動する。
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【化け者×998】
統合スキル
強奪したモンスターの情報が全て詰め込まれている
________________
これがないと魔物から強奪したスキルなどが使えない。
×998って言うのは俺が強奪したモンスターの数だ。
あと、これでは固有能力は纏められないらしい。
さて、ステータスの確認も終わったし喰うか……
いくら醜悪な見た目でも、カス見たいなステータスでも一応喰っておく。
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名前:久遠秋
種族:異質同体人間
Lv910
MP :2,891,010
物攻 :2,892,960
物防 :2,892,270
魔攻 :2,892,020
魔防 :2,891,930
敏捷 :2,892,900
固有能力
【強奪Lv3】 【悪食】 【化け者×999】 【】 【】 【】 【】 【】 【】 【】
能力
無し
称号
異質同体人間
__________________________
あー……
よくわからない固有能力が……
まぁ……悪性スキルじゃないことを願っておくしかないな。
気を取り直して、希望の1000番目の部屋。
見た感じは普段の扉と何も変わらない。
いや、待てドアノブの上に何か書いてある。
『おめでとう秋君。アルヴィス戦以降死なずに、無事にここまで辿り着いたみたいだね。この扉の先は僕の居る白の世界だよ。秋君には白の世界で僕を殺してもらうよ。勿論、僕も只で殺られるつもりはないから、楽しい死闘を楽しもうね』
そうか。テントラを殺す機会か。これは僥倖だ。白の世界への行き方なんか分からなかったからな。あいつが俺を招き入れてくれるなら素直に従おう。
『僕が何故死にたがっているか、それは僕に勝てたら教えるよ』
ドアノブに手を掛け、ドアノブを捻る。
その先は、黒に侵食される白の世界だった。