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第166話 クラエルの容姿

 今日はクロカとシロカは帰ってこなさそうだ。 いつもなら一時間ぐらいで帰ってくるのに今日は全然帰ってこない。


 そんな事より、クラエルの服だ。 いつまでもダボダボな服装ってのも可哀想だしちゃんとした服を作ってやろうと思う。

 俺の所有物な以上、情けなくみっともない姿で周囲に恥を晒したくないからな。


 とは言え、こいつの性別が分からない以上どう言う方向性の服を作れば良いか分からない。


 どうしたものか。

 男女兼用の中性的な服装で、こいつのイメージにピッタリな服装……


 …………はっ!


 ズバリ、それは……ピエロ服だ。


 ピエロ服のような派手で奇抜な印象を与える服は、着ている人間の情報を正確に分からなくできる。

 中身に関してはクラエルが適当に変身してくれればいいし、なんなら仮面でもつけるか?


 ……と言うのは俺がクラエルにピエロ服を着せる為の建前でしかない。

 こんな理由がなくとも俺はクラエルにはピエロ服を着せるつもりだった。


 ……と言う事で俺はピエロ服の作成を始めた。


『アキー何してるの?』

「お前の服を作ってるんだ」

『服? ……って私が今着てるこれ?』

「そうだ」

『なんで別のを作ってるのかよく分からないけどありがとー』




 数時間後


 もう完全に夜中だ。

 ミシンもないこの世界ではかなり時間がかかってしまう。 それだと言うのにこの作業速度は軽く自慢してもいいだろう。


 外は真っ暗。 結局、今日は本当にクロカもシロカも帰ってこなかった。


「できたぞ」

『おぉー』


 服を作る事の大変さが分からないクラエルが全く感情の籠ってない声色で言い、拍手をする。


「着てみろ」

『はーい』


 着方が分からないようなので手伝う。

 そうだよな。 ちなみに作ってた俺でも、作るまではなんにも分からなかった。


「見た感じサイズはピッタリだな。 キツくないか?」

『平気!』

「そうか。 ならよかった。 ……で……後は容姿だよな。 何か適当に【変身】してくれ。 パーツを継ぎ接ぎする感じで」


 クラエルの【変身】は見たもの、想像したものにしか効果を発揮しない。

 しかしクラエルの想像力が乏しいのか、一から想像して変身ができないようだ。


 なので、見た事があるもので変身するしかない。

 だが、見た事のあるものにそのまま変身したらそのモデルに迷惑をかけてしまうだろうから継ぎ接ぎにしろと言ったのだ。


 ……勘違いしないで欲しいのが、迷惑かける事に抵抗があるのではなくて、それによって生じる諍いに抵抗があるのだ。 いや、どっちも変わらないか。



 クラエルは暫し逡巡した後に【変身】を使ったのか発光しだした。

 大丈夫か……? カーテンから光が漏れてないか……?


 光が収まると、そこには服を弾き飛ばしそうな程筋肉が発達した筋肉ダルマが居た。 しかも顔面も皺まみれで厳つい。 それはそうか。筋肉は自慢の冒険者ばかり見てきたのだから。

 このままでは折角作ったピエロ服が破けてしまうし、なによりこんな見た目をした奴の側に居たくない。

 と言う理由で別の見た目に変身させた。ムキムキな奴以外も冒険者にはいるのでそれを期待する。


 今度はヒョロヒョロな外見の骨としか思えないほどガリガリの骸骨人間が居た。 一応皮はある。

 そして服がダボダボで肩からずり落ちている。

 こんなお化け屋敷の運営が喜んで飛び付きそうな見た目の奴と一緒に居たくない。と言うかこんなヒョロヒョロな冒険者いたんだな。

 別の見た目に変身させた。



 収まる発光から姿を表したのは、セミロングの桃色の髪で、そして右が金色の目、左が赤の目と言ったオッドアイになっているクラエルだ。

 目の色と髪型が、顔、体型、それらが絶妙に噛み合って、継ぎ接ぎだと言うのに違和感が一切感じられない。


「それだ。 それがいい。 だからもう余計な改変はするなよ、筋肉量を増減させたりな」

『これからはこの姿で生活すればいいの?』

「そうだ。 戦う時とかは変えてもいいけど、終わったらちゃんとこの状態に戻れよ」

『はーい!』


 さて、クラエルの件は片付いたしそろそろ寝るか。


『何してるの?』

「寝るんだよ」

『じゃあボクも寝るー』

「……お前一人称が定まってないけどなんでだ?」


 私って言ったり今みたいにボクって言ったり。


『統一した方がいいの?』

「できれば」

『うーん……じゃあ……ボクにする!』

「おう、そうか」


 にへへと笑うクラエルを横目に俺はベッドに寝転がった。 眠気が限界で、一々相手にしてる余裕が無かったのだ。


『とー!』

「ぐおぉっ……!」


 ベッドにダイブしてきたクラエルの肘が横向きで寝てた俺の脇腹に突き刺さる。


「ぉ……お前……ぇ……っ」

『あれ……アキ? ……もう寝ちゃったの?』


 俺は眠気も相まってそのまま死んだように意識を手放した。

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