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第151話 ストレスの矛先

 夕飯を済ませて、フレイアからの着せ替え人形扱いから解放された俺は、部屋で大人しく寛ぐクロカとシロカを横目に課題を進める。


 ……あ、そうだ。 言っておく事があるんだった。


「なぁシロカ」

「なんじゃ?」

「最近、お前を殺したとか言って騒いでる奴がいるんだけど、どうする?」

「そんな阿呆は放っておけ」


 なにやら分厚い本を読んでいるシロカは適当に答える。


「いいのか? 龍種の頂点の一角である白龍が、人間に討伐されたとなれば龍種全体が舐められるぞ?」

「む……! それもそうか……」

「どうする? 丁度俺もストレス溜まってるし、一緒に潰しに行くか?」


 このストレスはさっきの着せ替え人形のせいだ。


「童はともかく、お主は問題があるのではないのかのぅ?」

「なんの為の女装だよ」

「……そうであったな。 ならば童と共に虚言野郎に制裁を加えに行こうぞ!」


 そこでふとクロカに視線を向けると、構って欲しそうな子犬のような目をしていた。


「クロカも行くか?」

「……! 我も良いのか……!?」

「あぁ、勿論だとも。 これは龍種の威厳を保つ為の威圧故、ニグレドが加わっても問題あるまい」



 そう言えば二人の外出用の服が無かったなと思い、俺は服を買いに行った。 流石にメイド服では目立ってしまうからな。


 だは、俺は人の服を選ぶセンスが皆無なので取り敢えず二人のイメージカラーである、黒色の服と白色の服を手に取った。


 その時、気になる物を見つけた。

 派手な吹き出しの中に、異世界人の服! とデカデカと書き出された棚だ。


 それが気になった俺はその棚に近付く。


 そこには、複雑な模様が刻まれた超文明的な全身タイツ? や、糸で人間の型を取ったような意味不明な服(?)などの、奇抜な服が沢山あった。 もちろんまともな服もあるが、それでも殆どが変な服だった。


 ……この異世界人とは、地球があった世界とは別の世界の事なのだろうな。


 俺はそれに興味を示して、その棚の商品を見て回った。


 すると、地球で見慣れた普通の服を見付けた。

 日本語や外国語、アルファベットなどの文字がプリントアウトされたTシャツや、長袖、半袖のパーカー、動きやすそうなスポーツウェア等の普通衣服から、結構前まで話題になっていた童貞を殺すセーターなど様々な品揃えだ。


 俺はそれらに懐かしさを覚え、一通り買って帰った。

 幸いハイ・ミノタウロスやその他の弱い魔物を売って得た分の金と、今まで貯金してた金があるので安心して余裕を持って買えた。


 丁度フレイアへの仕返しもしたかったので、童貞を殺すセーターを筆頭とした他の世界の奇抜な服も買ってプレゼントする事にした。

 ついでに俺が着せ替え人形にされるのを止めもせず傍観していたクロカとシロカにも同じ目にあってもらおう。


 俺を辱しめた罰だ。




「よーし。 着替えた事だし行くか。 クロカ、シロカ」


 今、俺の部屋には黒い服に身を包んだクロカと、白い服に身を包んだシロカがいた。 ちなみに尻尾は自由に出し入れが可能なようで、今は……と言うか普段は尻尾を出していないので、腰の辺りに穴を開けたりする必要はなかった。



 ちなみに今日は以前の女体状態とは全く違った姿をしている。

 灰色の角に尻尾。灰色の長い髪に灰色の瞳。 灰色のパーカーに普通のジーパン。


 そう。 怒り狂った龍種の仕業だと思い込ませる為に、俺も人化した龍種のような見た目をしているのだ。色はクロカとシロカの間をとって灰色だ。


 でも、俺は龍を喰った事が無いので竜をモチーフにして変形している。

 それでもクロカとシロカと全く同じ姿を再現できたと思っているのだが、クロカとシロカ曰く、角が違うし尻尾とかも違うらしい。



「それで、そいつがどこに居るのかは分かっておるのか?」

「あぁ」


 服を買った帰りに、久し振りに【認識阻害】を使ってルイスの執務室に転移して忍び込み、ルイスに【思考読み】を使って頭を覗いたので大丈夫だ。


 だが、思考読みは基本的に相手が今考えている事しか読めないので、ルイスが例の冒険者貴族の事を考えるまで待つのが辛かった。

 ちなみにその考えたタイミングが白龍討伐に関しての報告書を見た時だったので、他の冒険者貴族だと言う可能性は少ない。



「さぁ、みんなで八つ当たりだ」

「それはアキだけだろう……」

「童とニグレドの目的は龍種を貶める不届き者に龍種の威を知らしめる為に、じゃな」

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