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第144話 美少女へ

 そうこうしている内にカイネフール洞窟に辿り着いた。


「さぁ、案内してくれ」

「あぁ。 今更だがちゃんと報酬は寄越せよ」

「……仕方ないな。 タダ働きはよくないからな」



 ルイスを伴い最初の分岐に到着した。


「ん? おかしいな。 こんなところに分岐があったか……?」

「どうした?」

「……俺の記憶が確かならカイネフール洞窟はこんな浅いところに分岐は無かった筈だが……まぁでも暫く赴いて無かったから俺の記憶違いだろう。気にするな。」



 分岐を右に進み、一番左の通路を進む。 すると巨大な鉄扉が立ちはだかる。



「……どうやら記憶違いでは無かったみたいだ。 ……うっし、カイネフール洞窟はダンジョンに変貌したと。 ……いや、でももっと確実な確認を取っておこうか。」


 そう言ってルイスは鉄扉を開く。


 中には昼間倒した筈のコボルトキングが相変わらず配下を侍らせ胡座をかいていた。


「……お前ら昨日も今日もコボルトキングを持ってきてたな。 ……一応聞いておくがここで倒したのか?」

「そうだ」

「……なら確定だ。 この洞窟はダンジョンに呑まれている」


 確認を取ったルイスは身を翻してカイネフール洞窟の入り口へ向かった。

 俺も後を追ったが、ルイスが「また仕事が増える……」とかブツブツ言ってたのが印象的だった。



 冒険者ギルドへ帰ってきた俺はまた後日呼び出すからと帰された。



「おかえりなさいませ」

「おかえりなさいませなのだ」

「おかえりなさいませなのじゃ」


 三人に出迎えられ、ただいま、と言って部屋へ帰る。


 課題をやるが案の定クロカとシロカが喧嘩をするので追い出して夕飯を食べたりした。




 翌日


「あの、クドウさん。 今日は特訓出来そうですか?」


 教室の机に突っ伏している俺にスカーラが話し掛けてくる。 今まででは断っていたが、今日は休みなので出来る。


「あぁ。 今日はいいぞ」

「え! 本当ですか!? ……てっきり私、嫌われてしまったのかと思ってました」

「そう思ってたのにめげずに話し掛けられるって凄いな……」

「嫌われてる相手に断られるのも気もち…… いや、なんでもないです!」


 今気持ち良いって言いかけたか?

 ……こいつ…… 魔物の大群に追われてる時も嬉しそうだったし……もしかして……Mなのか……?


 まぁ……こいつがMだろうとなんだろうとなんでもいいか。



 放課後


 俺とスカーラは王都の外にある街道を歩いていた。

 今はティアネーの森の反対側にある草原に向かっている。

 そこなら障害物も少ないし天然の草花が衝撃を吸収してくれるだろうと考えてだ。



 そして人目に付かなそうな草原に着いた。


 一応言っておくが、俺は戦い方─近接戦闘を教えるのであってジャンクに習った武術を教えるのではない。


 ならなぜ習ったと思うだろうが、そうでもしないと近接戦闘の技術を教えられそうになかったからだ。 俺の戦闘スタイルは物攻と敏捷に任せたゴリ押しだ。

 こんなのはとても人に教えられる物ではない。

 だから武術を習い、戦いの基礎を学ぶ必要があった。 相手の隙の作り方や、足運び、攻撃の誘い方やフェイントなどを。 



「よし、じゃあ始めるぞ」

「はい! お、お願いします!」





 特訓をしていてやっぱりと言うかなんと言うか。こいつはやられる度に一々嬉しそうな声をあげる。 やはりMなのだろう。

 さっき学校で、何でも無い、と言って誤魔化した事から触れられたくない事なんだろう。




 ……さて、そろそろスカーラがしんどそうだし休憩しようか。


「スカーラ。 休憩だ」

「は……はい……!」


 言うが早いかスカーラは速攻で水分を補給する。

 これはもっと休憩の頻度を増やした方が良さそうだ。


「どうだ? 分かり難い事とか無いか?」

「ぷはぁっ! はい、無いです」

「そうか。 ならいい」


 スカーラは快感を感じながらもしっかり学んでいるようで、最初に比べれば機敏な動きが出来ていた。

 どうやらただのMじゃないようだ。



 その後はこまめに休憩を挟みながら、夕方まで特訓をしていたが、そのときにはもうスカーラは地面に倒れる事が少なくなっていた。

 これは次の特訓辺りで終わりかも知れない。


「よし、じゃあ今日はもう終わりだ」

「……あ、はい。 ありがとうございましたクドウさん」


 そう言うスカーラと共に王都まで歩く。 疲労からか、スカーラの膝はガクガク震えていた。

 それにあわせて歩いているので王都に着くまでに日は落ちきっていた。



「ごめんなさいクドウさん。 私のせいで遅くなっちゃいました……」

「構わない。 どうせこの後暇なんだし」

「あはは…… そう言って貰えると嬉しいです。 ではまた明日」

「またな」


 そう言ってスカーラと別れた。

 街灯などの夜間の灯りが全くないこの世界で、こんな時間に一人で帰すのは心配だが、そうそう不審者に出会う事などないだろう。



 …………こっそり付いていこうか。


 ……これは別にスカーラの為じゃない。 今日一緒に行動していた人間が明日はいないなんて俺の寝覚めが悪いからだ。 決してスカーラが心配だからとかではない。



 俺は闇夜に紛れてスカーラを監視する。 端から見れば完全に不審者だ。

 膝がガクガクで歩くのが遅いスカーラを追跡するのは容易かった。 ……と同時にそんなモタモタ歩いていると不審者の餌食にもなりやすかった。



 現在スカーラは四方をチャラチャラした男達に囲まれている。

 会話の内容は距離があるので聞こえないが、スカーラは嫌がっているようなので、不審者ではないにしろ危ない奴らだ。


 さっきスカーラと別れた手前、姿を現し難いから変形していくか。


 できるだけ俺とはかけはなれた姿が良い。


 …………じゃあいっそ大胆に性別も変えてしまおう。俺が喰った人間の中には女もいるから可能だろう。顔付きなどは多少融通が聞くし、喰ったやつの生前の知り合いに出会っても問題は無い。 まぁ、そんな長い間変形する訳じゃないから大丈夫だろう。


 あ、でも服はどうしよう。 複製制服は俺以外持ってないからそれでバレてしまう。 マーガレットとかは例外だ。



 さて服だ。 どうするか……

 ……そうだ確かテイネブリス教団の修道服があった筈だ。 それを【思考加速】などのスキルを使って簡単に改良して女性服っぽくしよう。



 結果

 清楚な顔付きで金髪赤目の美少女に変形した。 体付きも、バランスが取れていて、とても良い。


 鏡を見ないで福笑いのような要領で変形したのにも関わらず、だ。

 まぁ…感覚がある分、福笑いよりは圧倒的に簡単だから当然かも知れない。


 服装は白がメインのドレスのような感じだ。 服飾素人のセンスだからとてもシンプルな出来だ。 本当に簡単な改良だ。


 俺の喰った中にこんな美少女はいなかったが、上手い具合にパーツを継ぎ接ぎしてこうなった。

 美少女にしたのは、どうせ女になるなら可愛くなりたいと言うつまらない動機からだ。


 正直チャラ男に舐められそうな、か弱い女性のような雰囲気が出ているが、お前達は今からこの美少女にボコられるのだ。

 チャラ男達の反応を想像するだけで笑えてくる。


 女装に目覚めそう。 ……いや、ないな。



 さて、そろそろスカーラが連れていかれそうだし乱入するか。

 あ、言葉遣い気を付けないとな。

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