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第133話 夜襲

 フレイアと屋敷に帰っていつものメイドさんとクロカに出迎えられる。


 そしてクロカを側に侍らせて課題を終わらせる。

 そのあとは暇なのでクロカとくっちゃべっていた。

 外はとっくに夜だ。


「クロカ。 シロカはどうだ?」

「シロカ……? ……あぁ、アルベドか。 アルベドは飲み込みが早いぞ。 我ほどではないがな!」


 クロカはどや顔で両手を腰に当てて威張る。

 最後の一言が本当かどうかは知らないけど、飲み込みは早いらしい。


「そうか。 メイドは楽しいか?」

「うむ。 楽しいぞ。 前にも言ったと思うが、龍の里や、寝床でぐーたらしてた頃よりは変化が多くて楽しいのだ」

「はは。 それはよかったな」


 そう言って俺はクロカの頭を撫でる。

 嬉しそうに目を細めて喜んでいる。 やっぱりペットみたいだなこいつ。



 暫くそうしてゆっくりしていると、屋敷の門の方が騒がしくなった。


「なんだ? 取り敢えず行ってみるか。 なぁクロカ」

「うむ」


 俺は夕飯の食欲をそそるいい香りがする廊下を歩いて玄関へ向かう。

 外からは剣戟の音が聞こえてくる。


 門の付近では黒尽くめの人間達が、屋敷の二人の門番に行く手を阻まれていた。

 見た感じ暗殺者だ。


 この屋敷は暗殺者などの敵への対策として、特別な結界が張ってあるらしいので仕方なく正面突破しているようだ。


 所詮暗殺者だ。 近接戦闘が本職の凄腕門番には敵わず苦戦している。


 俺は【探知】で他にも暗殺者がいないか探す。




 ……いた。 正面の暗殺者を含め、屋敷の四方から侵入を試みているようだ。


 さっきも行ったがこの屋敷には結界が張られていて、その結界は出入口以外から侵入できないような効果を持っている。 その上、時空間魔法の一つである転移魔法や【転移】のスキルなどでも侵入できないようになっている。

 つまり、この二人の門番の間の通路しか通れないのだ。

 それ以外の場所は見えない壁に阻まれて侵入出来ない。


 ちなみに緊急時は結界の範囲外である地下通路から逃走できるようにしっかり調節されている。



 じゃあ俺は見えない壁と格闘している暗殺者を始末しに行こう。 お腹も空いてきたし、夕飯に支障が出ては困るからな。





 そいつらは屋敷を囲う高い柵をよじ登っていたが、そこから先には進めていなかった。


 俺は柵の内側から氷魔法を放って、柵から飛び出している頭を撃ち抜く。 暗殺者は頭に穴を空けて血飛沫を撒き散らしながら後ろ倒れていく。


 すると、柵の向こうから暗殺者達の怒号が聞こえてくる。

 ……何をやっているんだ。 暗殺者の癖に大声で叫ぶなんて。



 追い討ちを仕掛けたいが出入口はあの門だけなので、俺はこの柵を登って突撃できない。

 しかもこの結界には転移魔法への対策も施されているので俺も使えなくなっている。 だからこの壁の向こう居るやつらに追い討ちを仕掛けられない。


 失敗したな。 暗殺者は警戒して壁を登るのを諦めてしまったから、打つ手なしだ。



 俺は正面の入口へ向かう。


「手伝いますよ」

「!? く、クドウ様! 危ないのでお下がりください!!」


 俺の申し出を危ないからと断る門番。


 ……格好いいな。 どんな時も護衛対象を守ろうとするなんて。 俺とは大違いだ。見習わないといけない。


 じゃあ、お言葉に甘えて後ろに下がって人を守る様を見学しよう。

 俺は玄関の手前にある三、四段の階段に座り込んで門番と暗殺者攻防を見守る。


 暗殺者Aの刺突を躱した、俺から見て右側の門番は槍を薙いで暗殺者Aの腹を引き裂く。


 凄いな。 相手は短剣なのにそれ以上速度で槍を振るうとは。


 暗殺者Bは両手に持った短剣を俺から見て左側の門番に投擲して、懐からもう二本取り出し、投擲する。

 左側の門番は右側の門番に劣らない程の槍捌きで短剣を打ち落とし、一気に距離を詰めて暗殺者Bの喉を貫いた。


 なんかのスキルだろうか。

 俺には一瞬で移動したようにしか見えなかった。





 やがて、20人以上いた暗殺者は屋敷から続々とやってきた騎士が現れると、次々人数を減らしていき、次々死体を増やしていった。


 屋敷にいた騎士は屋敷の柵の周りを見回りに行った。

 【探知】で様子を窺っていたが、一人も欠ける事なく暗殺者を一掃した。


 相手は暗殺者とは言え、誰かに雇われこの人数で襲い掛かって来れる程の規模だ。

 手練れの集団なのは間違いない。


 それを近接戦がメインとは言え、一人も欠けずに片付けるこの屋敷の騎士。


 俺にはどっちが強いとか、どっちが弱いとかの判断がつかなかった。

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