第131話 アイドラークの英雄王
かつて、ミレナリア王国は隣国の小国に戦争を仕掛けられていた。
しかしそれは圧倒的に劣勢だった。 相手は小国だと言うのに。
決してミレナリアが弱かったのではない。
小国の文明などが進んでいたのだ。剣の製作技術も上、魔法の技術も上と、圧倒的な開きがあったのだ。
だが、突如そこに一人の人間が現れた。
その戦士は鬼神の如く戦場を駆け回り、あっという間に戦況をひっくり返した。
その男の名はクオンと言った。
この世界ではかなり珍しいが、居ない事は無いマイナーな名前だ。
前国王はクオンに問うた。
なぜ劣勢だった我々の味方をしてくれるのか? と。
クオンは答えた。
──暇だったし面白そうだったから。と。
その後もクオンの蹂躙は止まらず、圧倒的優勢だった小国は三日と経たず壊滅した。
前国王はクオンの武勲を称えて小国の土地を丸々譲り、クオンを導いた。
そして前国王はクオンの国──アイドラーク公国を、自らの国の属国とし、各国へ威圧をした。
それからクオンはオリヴィアと言う女性と結婚し、三人の子供を授かった。
長男がステイル。
長女がミア。
次女がフレイア。
そんな三人はスクスク育って行った。
そして暫くして──
──前国王が行方不明になった。
ミレナリアが混乱に陥っているのを好機と見たゲヴァルティア帝国は脅威であるクオンの身内を拐い『解放して欲しければクオンの命を差し出せ』と人質に取り、そうして確実にクオンを殺害した。 ……当然、混乱に陥っているミレナリアから援軍は来なかった。
それによりゲヴァルティア帝国から解放されたクオンの妻や子供、使用人はミレナリアへと逃亡した。
クオンが死に、クオンの身内が解放された事により約束は果たされた。 だが、その約束の中には『解放した後に再び関わってはいけない』と言う条件は含まれていなかったので、フレイア達は再び狙われる事になっている。
クオンの間抜けさが招いたミスだ。
「ミレナリアとアイドラークの関係はこうだ。 英雄クオンには申し訳が立たないな。 他国への牽制として都合よく利用し、我が国の混乱で死なせてしまった。 ……貴殿はこれを知って、まだアイドラークの王族を追放しろと?」
「いえ……ではゲヴァルティア帝国はどう致すのですか?」
「さぁ……?」
私が貴族になる少し前に国王になった新米国王。
あの国王はダメだ。
スナッチは自らの主である国王にまで心の中で悪態を吐く。
──こうなれば自分であの王族を始末するしかない。
そう思ったスナッチは自分の部下──暗殺部隊などを招集しアイドラーク家襲撃の作戦を練る。
決行は今夜だ。
色々適当ですので、突然ストーリーを変更する場合があります。




