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第12話 また失敗した

 まぁ取り敢えず僕にできる事を一通り試してみよう。


 まず腕をスライム化させ、鞭のように叩き付ける。

 移動に四苦八苦しているアルヴィスは隙まみれで、当然避けることができず、もろに食らう。

 しかし効いている様子はない。


 それどころかアルヴィスは自分に有効打を与えられない僕を完全に格下だと認識したのだろう。

 僕を見て笑っている。


 僕は背中から水怪鳥の翼を生やして飛び上がり、掌から毒蛇の【毒液】をアルヴィスに放つ。


 するとどうだろう。


「グギャアァアアァアァ!!」


 アルヴィスは叫んで暴れだす。

【再生】が追い付いていないのか、落ち着く気配が無い。


 アルヴィスの全身の口から薄く淀んだ緑色の液体が撒き散らされる。

 その液体が触れた場所がジュワジュワと音をたてて溶けていく。

 もしあれが僕の体に触れでもしたら、僕は一瞬で溶けて死んでしまうだろう。


──やばいやばいやばい!


 僕は焦りながら必死に逃げ回る。

 水怪鳥の翼が【溶解液】に触れて溶ける。


「ぐぅっ……!」


 僕は翼が溶ける痛みで呻く。

 水怪鳥の翼が無くなり、地面に叩き付けられた僕は死にもの狂いで走り出す。落下の衝撃でフラフラしている頭で、視界が定まらないまま、左右にブレながらひたすら走り続ける。 止まればただの的にしかならないから。





数分後


「オオオォォオォ……」


 アルヴィスは僕を睨み付け、怒りを堪えるように唸る。


「はぁ……はぁ……はぁ……」

 対する僕は全力で走り回ってもう体力が無くなり、息切れしていた。

 僕は未だに残っている片方の翼をしまい、弱々しくアルヴィスを見つめる。



 アルヴィスは胴体についている無数の口から、尻尾の蛇と同じ物を舌のように生やした。


 それは一斉に僕を絞め殺そうと僕に向かって伸びる。

 逃げる体力が残っていない僕は、背中から大百足の足を生やして対抗する。


「はは……このままずっと拮抗していてくれれば体力を回復させられる……だけど……」


 しかしアルヴィスは待ってはくれないようだ


 アルヴィスは体から蛇を生やしたまま翼をはためかせ、【飛行】しながら、僕に襲いかかってくる。



 殺られる!



 そう思った僕は大百足の足を消して適当に、取り敢えず横に回避する。

 僕はアルヴィスの追撃に備えるため振り向いた。


 すると、そこにいたアルヴィスは黒い霧を吐き出す。


 回避が間に合わない!

 そう思った僕はせめてもの抵抗として、腕をクロスして頭を守る姿勢をとった。



 …………あれ?



 暫く待っても何も起こらない事を不信に思った僕は、いつのまにか瞑っていた瞼を開き、自分の体を確認する。


 すると僕の体には半透明なネバネバした液体が付着していた。







 また油断した。






 ……僕はまんまとアルヴィスの目眩ましである【黒霧】に引っ掛かり、【粘液】を浴びせられ行動を封じられたのだ。


 もがいても、もがいても抜け出せない粘液に焦った僕はまともな思考が出来ず一心不乱にもがいていた。


 冷静なれていたら、全身をスライムにすれば粘液から抜け出せるかも知れない事に気付けていただろう。









そんな無様に取り乱している僕の頭を────












────アルヴィスは喰い千切った。

主人公また死んじゃいました。

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