第119話 またかよ
「クドウさん! 連れてきたわよ! ……って……えぇぇ!?」
素っ頓狂な声をあげるフレイア。
「ぬ? 貴様は白龍ではないか」
「おぉ! 無事じゃったか黒龍! して、その姿は一体……?」
メイド服姿で走ってくるクロカに白龍が浮遊しながら近付く。
あまりその姿で地上付近をウロウロしないで欲しい。物凄い砂煙が…
「白龍よ。我はもう黒龍ではないのだ! 我にはもう、ニグレドと言う名があるのだ!」
「な、なんじゃと!? な、なにゆえ!?」
「それはだな──」
クロカが名付けの経緯と、俺に服従している事を説明する。
「うぬぬ……善良な人間だと思っておったのじゃがな……童の友を痛め付けた挙げ句、召し使いとしてこき使う等と……到底赦される事では無いぞ。人間!」
「はぁ……」
またこのパターンかよ。
思わず溜め息をついてしまう。
「やめておくのだ白龍よ。 我と同等の貴様程度ではアキには敵わぬ。 ……それに、アキには負かした希少な存在を服従させると言う習性があるのでな、貴様も我のようになりたくなければ大人しくしておけ」
習性って……
まぁ面白い存在を側に置いていたい節はあるが、俺が側に置いておくのは、ちゃんとした自我があるものだけだ。と付け加えておこう。
つまりクロカの言う通りこの白龍も服従させる対象だ。
「もしそうであっても、お主も加われば勝てるじゃろう?」
「無理なのだ。 もし勝機があったとしても我はアキと争うつもりはとっくに失せておる。 それに意外と良いものだぞ? 召し使いというのは。 少なくとも里にいた頃や、前の寝床に棲んでいた頃よりは充実しておるわ」
諦めの悪い白龍の誘いを迷いなくすっぱり断るクロカ。お前らそれでも友達同士だったのか?
「なんと……! 黒龍……お主……もうそこまで懐柔されてしもうたのか……! 待っておれ、童が何度でも死んで……そしてこの人間を倒して解放してやるからのぅ!」
頭に血がのぼって話が通じなくなっているようだ。
何度でも死んで、ってのがよく分からないな。
と言うかクロカが現状に満足しているだからそれで良いだろうに。
「覚悟するのじゃ人間! 我の友に対して好き放題した報いじゃ!」
「…………」
取り敢えずステータスを覗いておこう。
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名前:
種族:龍
Lv77
MP :18,167(7,783)
物攻 :18,231(7,794)
物防 :18,228(7,789)
魔攻 :18,232(7,796)
魔防 :18,227(7,787)
敏捷 :18,246(7,800)
固有能力
【】【復活】【再生】【】
能力
爪撃Lv4 牙撃Lv4 竜の息吹Lv4 威圧Lv1 飛行Lv2 咆哮Lv3 人化/龍化
魔法
火魔法Lv4
水魔法Lv3
土魔法Lv1
風魔法Lv2
氷魔法Lv2
雷魔法Lv4
光魔法Lv3
闇魔法Lv1
無魔法Lv2
聖魔法Lv2
時空間魔法Lv1
称号
白龍の姫
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名無しで白龍の姫。
最初に出会った頃のクロカよりはほんの少し弱いか?
【復活】
なるほど。 これが何度でも死んで、の答えか。
【再生】
これは【超再生】の下位互換だな。
さて、何回死んだら心が折れてくれるだろうか。
これなら俺は出来るだけ無傷でいた方が白龍の心を折りやすそうだな。
自分が何度死んでも相手に全く手傷を負わせられない、と思ってくれれば良いが。




