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第115話 騎士団への勧誘

「断る」

「おや、そうかい? 前までの君の様子じゃあ引き受けてくれると思っていたんだがねぇ?」


 お前は一体俺の何を見ていたんだ。と言いたいがところさが、、そろそろナタリアの肘が脇腹に突き刺さりそうなのでやめておく。


「ガハハ! 言っただろう、リサンドラの婆さん。 こいつはそんなタマじゃ無いって」

「……そうみたいだねぇ。 じゃあ断っておくよ」

「頼む」


 そこからはなぜかリサンドラとリベルトとレイモンドの談笑が始まり、チャイムが鳴るまで俺とナタリアは蚊帳の外だった。



 昼休み明けの授業は体育だ。

 休み時間の間に着替えられなかった俺は、盗賊が持ってたと思われるスキル【早着替え】で、アイテムボックスに入れてた体操服に着替えてグラウンドへ出た。


「遅いぞクドウ!」

「すんません」


 俺は体育教師のライリーに一喝されてから、ランニング前の準備運動をしていたクラスメイトに混ざりながら途中から準備運動をする。


 ライリーは金髪のポニーテールで紫色の目をしたスレンダーな美女だ。ちなみに第二騎士団団長だ。

 なんでそんな立派な役職の人がここで教師なんかをしているかを簡潔に言うと、『魔法使いは軟弱だから心身共に鍛える必要があるから』だそうだ。

 立案者は他でもないライリーだ。


 お陰で体育の時間が剣術や体術などの訓練をすることになってしまっている。


 前にスカーラに、この授業で習った事を教えようかとも思ったが、スカーラもやっている事なので教える意味はないだろう。


「クドウ! 遅れてきた罰だ、お前は五周走れ!」

「えー」

「えー、じゃない!」


 普通は三周だ。


 周りからは御愁傷様とでも言いたそうな雰囲気が犇々と伝わってくる。


 




 五周走り終えた俺は疲れてはいないけど一応呼吸を乱れさせておく。


「……ん? クドウお前……まぁ良い」


 ライリーが何か言いかけたが、途中ので口を噤んだ。不正はしてない。ちゃんと五周走った。



 その後は日本にいた頃なら虐待だと騒がれそうな程スパルタな筋トレをしてから、やっと授業に移る。


 授業に移る前に殆どの生徒の全身はプルプルしてしまっていた。



「ではまず、剣術の訓練だ」


 無慈悲なライリーはアイテムボックスから、太い藁の棒を人数分取り出した。これは剣を振るう的だ。

 でも、ただの的じゃない、魔道具だ。斬っても斬っても延々と修復される的だ。一撃で粉々ならない限り。


「よし。行き渡ったな。 では、私の動き真似してその藁に繰り返し斬り掛かってくれ」


 ライリーは縦に藁を斬りつけて生徒に動きを真似させる。そして、ライリーは一人一人の体勢や振り方を指導していった。


 まぁ生徒の大半がプルプル震えて何も身に付いていなかったが。


 俺は呼吸を乱れさせる演技はできたが、全身を小刻みにプルプルさせる演技は中々に難しかったのでとっくに諦めて普通にやっている。


「ほう! お前はあの筋トレをして平気なんだな!」

「あはは……」


 ライリーがプルプルしてない事に感心したように腕を組んで何度も頷く。


「クドウ。お前には騎士になる素質があるぞ。どうだ?入団してみるか?」

「嫌だ」

「……むぅ。残念だ」


 ライリーはササっと俺の剣筋とフォームを修正してから他の生徒を教えに行った。


 一日に二度も勧誘されるとは…

 まぁ何度されようが引き受けたりはしないが。




 次は体術の訓練をした。

 その頃にはクラスメイト達は震えが治まってきていた。


 この体術では基本的な体運びと体捌き。メジャーな流派の武術や、その流派の対となる……対抗できる流派の武術などの事を教えられる。

 勿論日によって教えられる事は変わるが、概ねこんな感じだ。


 技の型を何度も繰り返してある程度覚えてから、止まってる相手に向かって技をかける。

 それが終われば、実戦訓練だ。 勿論、ジャンクの時のように殺し合いではない。


 安全を考慮して、ライリーがアイテムボックスから、大きめのマットを取り出す。

 マットと言っても、柔道や空手などで使われる畳ようなものが近いな。


「では始め!」


 ライリーの合図と共に、マット上を踏み歩く音が聞こえ出す。

 暫くするとそれに加え、ボフンッ! と言う音と共に小さな呻き声……と言うか空気を吐く音が所々から聞こえ始めた。

 全員ちゃんと事前に習っていた受け身で衝撃を受け流せているようだ。




「……よし、今日はこれで終わりだ。解散!」


 クラスメイトを集合させたライリーは授業の感想などを述べてから授業を締め括った。

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