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第111話 用途があるガラクタ

 裂帛の声と共に、親方──グリンが地面を踏み砕き接近してきた。

 そこからまた怒涛の連撃。

 俺は相変わらず回避に専念する。


「ははは! 生き返っても結局防戦一方じゃねぇかぁ!」


 挑発するグリンを無視して躱し続ける。


「そうだ。お前何で生き返ったんだよ?」



【超再生】


 アルヴィスが持ってたスキルの上位互換だ。

【再生】スキルを持つ魔物を沢山喰っていたらいつの間にか再生が超再生に進化していた。

 スキルの中には進化するモノもあるのだと知ったきっかけでもある。


 超再生はとんでもないスキルだ。MPさえ消費すればどんな傷も超速で回復する。

 しかも脳や心臓などが破壊されたら、勝手にMPを消費して再生し始める。

 MPの消費も俺のMP全体で見ればほんの些細な減少なので実質不死身だろう。


 ちなみに物防が高い俺が簡単に殺られたのには理由がある。

 それは単純に物防の数値を落としていたからだ。

 やっぱりこう言うのは自分の身で破壊力を体験した方がいい結果が感じられるだろうからな。 それに常に最高の物防を保っていても日常に刺激や、楽しみがなくなってしまうからだ。



さて、再生したはいいがグリンの言う通り、相変わらず防戦一方だ。




 ………………あ、そう言えば魔法があるの忘れてた。


 ダメだな。強者との戦いになるとどうにも魔法に意識が向かない。

 多分、スキルしかない遺跡世界と言う空間での連戦のせいでスキルだけでの戦闘が染み付いているんだろうな。


 まぁいいか。活路は見えた。



 俺は木の床下にある土を操作して槍のようにする。そして木の床を貫いた瞬間、縄に変形させてグリンを拘束する。


「なに!? お前魔法使いだったのか!? その身体能力で!?」


 魔法使いが肉弾戦が苦手って認識はなんなんだろう。

 アデルを虐めていたチンピラも俺を魔法使いだからと侮っていたが。

 後でフレイアにでも聞いておこう。


「くそ! ほどけねぇ!」


 魔法の威力は魔攻に依存する。

 魔攻に対抗するには、自分の魔防が相手の魔攻より高くないといけない。

 尤も、魔防が幾ら高くても完全には防げないが。


 現にグリンに絡み付いている土縄は少しゆるんできている。



 縄が解ける前に俺はグリンが死なない程度に殴って昏倒させた。


 ……いや、違う。俺は技術を学びに来たのに昏倒させてどうするんだ。



 目的を見失っていた俺は自分の間抜けさを晒した。



「グリンを倒したか。少々狡い手を使ったようだけどな」


 クロカを抱えた受付の男が感心したように言った後に一言余計な事を付け加えて言う。


「仕方ないだろ。殺さないようにするには、あぁするしか無かった」

「……次はこの俺、ジャンクが相手だ。不甲斐ない教え子の代わりにお前の相手をさせて貰う」


ジャンクがクロカをこちらに投げ渡すと、道場を埋め尽くしていたガラクタが動き出す。


 その様はポルターガイストのようだった。


「それを飛ばして攻撃するのか」


 クロカを後方に横たえた俺はそう呟く。

 ジャンクの攻撃方法を察知した俺は飛来するであろうガラクタを警戒しながらジャンクを見据えた。


「残念。これはこう使うんだ」


 ガラクタは全て、俺ではなくジャンクに襲い掛かった。


 ジャンクに襲い掛かったガラクタが形を変えていく。


 大きく高く。子供が積み上げた積み木のように。

 ガタガタで絶妙な安定感で。


 そしてガラクタは一塊になり、巨大な怪物へと変化を遂げた。






 …………俺は戦闘技術を学びに来たんだけどな……

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