第107話 大声で騒げば静まり返る
「よし、終わり」
「む。終わったか」
「あぁ」
さて、やることも無いし風呂入って歯を磨いて寝るか。
そう思い、俺は着替えを持って風呂場へ向かう。
「…………」
「…………」
脱衣所前まで着いた俺は扉を開き中へ入る。
そしてクロカも入ろうとする。
「おい。なにしてんだクロカ」
「なにって、アキの世話に決まっておるだろう」
「体を洗うのまで手伝わなくて良い」
「む。そうなのか」
クロカは納得して去っていった。
いや、ビックリした。扉の前で待機はまだ分かるけどまさか入ってこようとするなんて。
俺は服を脱がず、【探知】を使い、誰も入っていないのを確認してから服を脱ぐ。
俺は学ぶのだ。
風呂も入り、歯も磨いた俺は自分の部屋に戻り、クロカを帰らせてから寝た。
いや、それにしてもクロカは部屋の中に入ってくる系なんだな。前までのメイドさんは俺が部屋にいる時に部屋には入って来なかったのに。
などと考えながら俺は夢の世界へ旅立った。
翌朝
クロカに起こされた俺はいつもと同じように朝食を食い、歯を磨き、着替えて、鞄に荷物を詰めて、フレイアと登校する。
「あ、クドウさんだ」
「おはようございますクドウさん」
「おぉアデルとクルトか。おはよう」
「二人ともおはよう」
挨拶して平和に四人で登校する。
……退屈だなぁ。
俺は昨日あんな事があったのにも関わらず平和に飽きていた。
いつも通り平和に授業を寝て過ごし、休み時間も寝て過ごす。それがなんだか久しぶりのような、懐かしく感じていた。
「クドウさんはいますか?」
その声を聞いた俺は顔を上げて声がした方を見る。そこには俺を退学にさせようとしていた男子生徒がいた。
「どうした?」
そう言いながら俺は男子生徒に近付く。
「貴方が王都テイネブリス教団を壊滅させたって本当ですか!?」
「王都のだけな。他の街や国のは知らないぞ」
「ほ、本当にやったんですね?」
「あぁ」
「そうですか……では、貴方が退学する必要はないですね。 ……これまではすみませんでした。では」
こいつはそれだけの事を言う為に態々来たのか。まぁこれでこれ以上こいつに煩わされる事は無くなった訳だ。
俺は清々しい気持ちで自分の席へ戻り、再び机に突っ伏した。
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この時。秋は気付いていなかったが、教室にやってきた男子生徒が大声で騒いでいた為、教室は静まり返り、秋と男子生徒の会話は全て2-2のクラスメイトの耳に入っていた。
2-2のクラスメイト達は驚き、怯え、困惑していた。
そんな中、一人だけは嬉しそうに恍惚とした視線で席へ戻り突っ伏した秋を見つめ、ニヤリと笑っていた。




