第三章 アマツォルシップ上昇
戦闘の勝利帰還時に一旦帰宅したクウトとその仲間たち。
リュウヘイはギア車輌を未成年たちで稼働させた事がバレて両親からこぴっとく叱咤やDVを喰らわれた。
アサミは両親がお互い愛人作って帰って来ない空き家状態の家に戻り荷造りして女友達の家で世話になろうと企んでいた。
クウトは、ギア車輌を製造してる業者の知人の家にたむろしていた。帰宅しても、母親が軍属志願した夫を気になってかノイローゼ気味。それなら、気遣いしないでギアのメカイジリした方がいいと家を空けていた。
それぞれ、家出したがる要素がありそうな環境下からギア車輌で社会から疾走を企んだのだった。
「家帰れよ。クウトのお袋さん可哀相だろ」
「俺はあんな葬儀場に行けねぇ。母さんがあんなノイローゼになってさ、おまけに父さんが戦死。その事実はこっちにも送られたら母さんに知らされる。そんで、母さんの脳は壊れる。イヤだよ、あんな姿見たくないさ」
「お前が病院へ連れて行け。お袋さんなら治るさ、直にな」
「シンタロー兄貴、気休めはよしてくれよ。あ、俺ちょっと出掛ける」
「……なんでぃ、あいつ、下手に出てやりゃツンケンしやがってからに」
アサミの自宅。
両親が同時に帰宅し、お互いが素知らぬ顔でそっぽ向いて暮らしている。喧嘩状態になるなら離婚した方がマシかと思えるくらいに。
一方のアサミは、友人宅に泊まり込み、発散していた。
クレカは未成年だから使えないけど、キャッシングはできるので、親が隠していた額縁裏貯金をくすねてチャージしてのんびりしていた。
「リホ、いつも泊めさせて悪いわね」
「腐れ縁の仲の関係で……そんな言葉水臭いじゃん」
「いつか出るから。その時に借りは返すわ」
「泊めるだけなら借りじゃないよ」
「ご飯とかシャワーに寝床までいろいろと世話して……借りたものに変わりないわ」
「気にするだけ損だって。アーちゃん、泣いたら美しい顔が台無しよ」
「う……ん……いつもありがと、リホ」
一方、リュウヘイの方では……。
DVの延長線か、折檻後に納戸へと鍵かけられては軟禁状態のリュウヘイだった。
両親の目を盗んでか、2歳下の弟が納戸に現れ、差し入れしてくる。兄思いの弟で感謝していた。
「タケオ、こんな兄貴で心配かけて……惨めだな俺って」
「ううん。ニイちゃんは、世界の中で一番大好きさ。だって、あんなに恐ろしい2匹の鬼に叩かれてもタフだもの」
「おい、鬼と言うなよ。あんなでも、俺たちの親なんだ。仕方ねえって、こればかりは」
「……でも、さ」
「ワリーのは俺なんだ。折檻かDVだろうがなんでも来やがれ」
「ニイちゃん……」