第二章 起動‼ ベラデラード
神原鋼鉄科学研究所。
離れに設置してある格納庫に向けて敵機が奇襲していた。
が、格納庫のエントランスシャッターから飛び上がってきた三体の新型飛行物体が奇襲の手を止めさせ、囮として呼び込めた。
その間、格納庫作業スタッフ全員は、研究所の所長と並ぶほどの地位を持つエンゲツ総監を引率に先頭に立って地下通路を渡っていた。
途中の通路脇にある簡易索敵庫に入った総監とメインブリッジ関連スタッフたち。残りのメカマンスタッフたちは、避難ブロックへと直進した。
メインブリッジ関連スタッフのオペレーターがモニターさせて、三体の機影を捕捉した。
「総監、彼らの乗る機体が上空で敵機を誘い出した模様です」
「そりゃ、モニター見りゃ判る。だが……3機の様子が変だぞ」
一方、敵らしき機体を誘導した3機は、緊張していた。
「ウヒョー。ヤッコさん着けてるよ。クウトよ、逃げ切れるのか?」
リュウヘイがビビって操縦桿に汗をベタつかせた。
「リュウ、あなたね、男なんだからしっかりなさい」
「今はヤッコさんを引きつける。天の声が言っていた。やるなら成層圏ギリギリのところでベラフォーメーションするとか聞こえたからな」
と、クウトは機体にあったマニュアルノートには記録されてないワードを言った。天の声は、この機体に何かを仕掛けたのだろうか?
「そのベラフォーメーションというの認めたいよ……けどね……あたし、それが怖いわ」
「ったく、俺ん中で声が変な言葉ばっかりで頭痛いぜ」
リュウヘイのムード壊す声で、アマツイール回線の環境はぶち壊しであった。
そして、成層圏スレスレに辿った3機は、その編隊モードを変化させた。
リーダー格のクウトが先頭に上がって3機の機体を吸収しだすかのようにベラフォーメーションする態勢に並んで飛行した。
敵機たちはその脅威に奮い起たされた。怖気づくように空中停止をかけた。
ベラフォーメーションの状態からベラセットアップを開始しだしたクウトたち。
「ベラセットアップ‼」
クウトたちのその叫びがシンクロし、どこからか出現したセットアップレバーを切り替えていく。
すると、クウト機は巨人の頭部と肩甲骨のフレームらしきシルエットに変形、アサミ機は巨人の胸部と腕部を形成したものに変形、続いてリュウヘイ機は巨人の胴体と下半身を形成したものに変形し、そのパーツたちは、連結変形し、一体の巨人のシルエットを完成させた。
一方、モニター側で索敵画面上で確認していたエンゲツ総監たちは、驚愕していた。
なぜなら、新型アマツイールにはドッキング変形ギミックが搭載されてなかったからだ。
「なんだ⁉ あの巨人の姿は? あんなギミック技術は知らんぞ⁉」
素っ頓狂な声の総監、及びスタッフたちは膝を折って倒れた。
そして――連結変形完了した後の巨人兵器は、操縦系統をクウトに与えて、起動したのだった。
怯んで立ち往生状態だった敵機たちは、巨人目掛けて奇襲を再開させた。
だが、即座に回避したそれは、アマツイールに搭載された武器にあたるアトミクスライダー弾を発射した。
それは敵機一体へと見事に命中し、撃破した。
クウトは操縦系統をアサミに与えて、胸部搭載武器のフレームロッドを取り出させて戦闘させた。
「あたしがフレームロッドを使う。使えるの、あたし?」
もう一体の敵機目掛けてロッドを扱うが、敵の罠にかけられ電磁気麻痺でダメージ食らった巨人だった。
内部回線でクウトがアサミに叱りつけた。
「何やってんだ。アサミ、お前ならできるさ」
「判ってる……でも……ようし、負けるもんか〜‼」
火事場の糞力でアサミは敵機に向かって再度ロッド抗法でトライしてみた。
すると、敵の機体は態勢を崩した。
操縦系統をリュウヘイに切り替えた時、リュウヘイは自称で決めていた奥義で二体目を蹴撃で止めをさした。
「止めのリュウヘイミラクルキック‼ 決まったぜ」
「なにその技名……リュウってセンスないね、もう……」
「敵機の機影はもうないな。なら、格納庫に帰投して状況説明しに行くぞ」
リーダーらしくシリアスに伝えたクウト。この巨人のままで研究所まで帰還した。
クウトたちは研究所はメインブリッジまで誘導された。状況説明の後にエンゲツ総監に褒め称えられた。
「君たちに委ねて正解だった。後、あの巨人の機体は一体なんだね?」
「脳内で声がしました。あの巨人のは、ベラデラードという名前だと」
「ベラデラード? 連結変形で一体化したのは、その声の主なのか?」
総監は疑問を投げ出してくる。
「あれは、多分、親父たちエアーズメンバーズの魂が寄越した導きかも知れません。判りませんが」
「そうかも知れんが、今後とも敵襲には頼めるか……正式に軍属志願しても良いが、君たちはまだ未成年だろう」
「俺たちは、研究所の見習いを学生しながらやっていきたい。ダメでしょうか?」
クウトは突拍子もなく総監に聞き込みを入れた。
「まぁ、学校側にはおいおい伝えておこう。後は、君たちの意志に任せる。以上を持って解散せよ!」
クウトたちは一旦帰郷して、学業と戦闘の両立をすることを決め、今後との敵襲の対峙に備えていくのであった。






