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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
かくれんぼ
61/62

キス


 「私の行為は、君にとってハラスメントかね?」

メイザースの言葉にミネルバは頬を赤くしながら切なく潤んだ瞳で吐息のように答えた。

「いいえ…はい。旦那様にもっと触れられたくて切ないです。」


 は?

私は何を見せられているんだろう?立ち尽くす私を気にすることなくミネルバは甘い吐息を漏らして、どうにも我慢ができないという感じに両手を持ち上げ、一気に背後のメイザースの頭に手をかけると自分の体をメイザースに向けながら一気にキッスをぶちかます。


 そう、まさにぶちかます、という感じの肉食動物のようにメイザースの唇を貪る。

 

 現在、この場所は明け方である。

 魔法円にいる我々の行動は他の人物には干渉できないらしいが、それにしても、いい歳の男女が、朝っぱらから何をしてるのでしょうか?

 キスが挨拶の習慣があるからって、という私の憤りは、ここで止まった。


 メイザースが貪られてる!!!

 捕食系の意味で!!!


 え?えええ???


思わず両手を握って自分がこれからどうすればイノかを考えた。

そうだった、ここはアストラル界。こんな所で生存している生物なんて、人外で、異世界アニメのように人間に優しい生物だけとは限らないのだった。


 なんとか止めないと!


 ミネルバはガッチリとメイザースの後頭部をロックして彼の口から正気を吸っている!

 メイザースは既になくなってるから死んだりはしないのだろうけれど、こんな所で消滅されるわけにはいけない。


 なんとかミネルバを引き剥がさないと。でも、どうやって?と、考えてないでまずは2人の所へ向かうべきだろう?


 私も物凄い光景に頭と体が混乱しました。が、私の出番はありませんでした。生気を吸われているメイザースは少しの間フリーズしてましたが、両手を動かし、そして、ミネルバの背中にその長い糸差し指を滑らかに這わせながら何やら呪文を書き始める。

 そして、彼の指がゆっくりとミネルバの背筋を腰に向かって降ろしてゆくと、ミネルバは、たまらないと、言わんばかりに快楽の悲鳴をあげた。

 「ああ、ん〜。」


 そして、気が逸れたミネルバに乗じてメイザースは何かを唱えながらミネルバの腰骨に両手を添える。すると、ミネルバは起立体制になりメイザースもしっかりと立ち上がった。

 そして、ミネルバを優しく見つめると頬にキスをする。

 「二十世紀しんせいきの発展した女性は嫌いじゃないよ。でも、私は自分からアプローチする方が好きなんだ。わかってくれるね?」

メイザースの言葉にミネルバがどう答えたのかは分からなかった。が、私に笑いかけるメイザースのニヒルな笑顔にそんなことはどうでも良くなった。


 この男、作者の物語に登場させて人物なのでしょうか?


 私の作者に変なアプローチも私たちの児童小説にされるのは面白くはありません。


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