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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
かくれんぼ
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ミネルバ


 気がつくと、なんだかおかしな展開に発展している。

 私は現在、スーツ姿で勇者に任命されたし、メイザースは隠者としてさっきまでジャンヌと名乗っていた姫っぽい女性の胸で窒息するんじゃないかというほどギュっとされていた。

 彼女は確かにジャンヌと言ったはずだった。が、メイザースのことを自分の旦那様だと認識するとミネルバと名乗った。

西洋人の名前は長いものもあるし、異世界の姫となるとそれが間違いなのか、そうでないかも分からなかった。

 

 「この茶番はなんなのでしょう?」

私は嫌味っぽく言った。メイザースは怪訝そうに私を見る。

「茶番?私は何もしてないよ?」

「は?冗談はやめてください。こんな変な世界。それにミネルバさんはあなたの使い魔の類でしょ?あなたが作った世界だって事じゃないですか?」

私の抗議をメイザースは失笑で受ける。

「私の世界?ここに連れて来たのは君の自慢のタロットカードじゃないか。ここは間違いなくマイレディ・卯月さんの乙女界バージンワールドだよ。」

「バージンワールド?この異世界テンプレ感満々の怪しい世界が、ですか?

騙されませんよ。ミネルバさんの姿を見ても、違うとわかりますよ。私の作者は児童小説を書こうと頑張っているのです。そんな、いかがわしいドレスを若い娘に着用させて辱める事なんで致しません。」

そう、ミネルバさんの服装は、体の線が出るもので脇腹から下乳のあたりまでが開いているあまり上品とはいえないデザインですし、近年のゲムキャラの胸のサイズにはいつも文句を言っていました。まあ、ミネルバさんはそれと比べれば随分とバランスはいいとは思いますが。

 私を見て、メイザースは鼻で笑った。


 「ふっ、時影くん。君の純情な気持ちは時に呆れを通り越して尊敬の念すら沸いてくるのだがね。しかし、これは私のデザインではない。

 よく見てごらん。」

と、メイザースはミネルバを私の前に立たせる。そして、ミネルバの腰に背後から軽く両手をかける。

「セクハラですよ!メイザースさん。」

と、いう私の目の前で嬉しそうに顔を赤らめるミネルバ。メイザースはミネルバの首筋から息を吹きかけるように耳元に唇を寄せて聞いた。

「私の行為は、君にとってハラスメントかね?」


 

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