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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
かくれんぼ
59/62

テンプレ


 私のカードは『月』それを自分が通れるくらいの大きさにイメージしてそのカードの世界に入り込むようなイメージで生命の樹のパスに向かうのです。

 目を閉じて、イメージをする。そして、カードの世界の向こうに一歩踏み出すイメージと共に新しい世界へ到達するのです。


 目を開いた、そこは…西洋のお城のような石造りのホール。丸天井には青い空の絵が描かれており、壁のステンドグラスから厳かな光が差し込んできます。私の目の前には中世の衣装の女性と複数の関係者。私の立つ床には輝く魔法円が描かれて、その縁の中にはメイザースもいた。


 「ああ、成功したのですね!!」

関係者が叫ぶ。そして、中心人物らしい女性が嬉しそうにこちらに向かってくる。D、いや、Gカップはあるのでしょうか、豊かなバストをこれ見よがしに揺すりながら近づくその光景をデジャブのように見つめていました。


 まるで異世界アニメの冒頭のようですね。


私は作者と見た深夜アニメを思い出した。あんなに女性の胸の大きさに文句を言っていた、私の作者のキャラクターとは思えない脇腹から下乳が微尿に見えるその姿に不安を感じ始めました。


 「ここは、我々は間違ったところに来たのでしょうか?」

私はメイザースを見た。メイザースは興味深げに辺りを見ながら苦笑する。

「残念ながら成功していると思うよ。ウエイト君のカードも、やるものだね。」

メイザースは少し悔しそうに見えた。

「成功?私にはこの世界が作者の深層心理とは思えないのですが。」

私は向かってくる女性を見る。異世界テンプレだとするなら、この女性が姫、もしくは聖女というところでしょうか?


 「初めまして、勇者様。わたくしアルカディア王国の女王、ジャンヌと申します。この度の出現、感謝申します。」

女王ジャンヌが私を見ると、私の衣装がゲームの勇者っぽい格好に変わった。

「君はゲームをしないのかね?それはギフト、というやつだよ。君はここでは勇者として振る舞わなくてはいけないようだね。」

メイザースは私を見る。

「そうですね。ビデオゲームはしませんが、あなたも同じではありませんか?」

私の質問にメイザースは笑った。

「確かに、私はゲームをプレイはした事はないな。」

メイザースは愉快そうに豪快に笑った。そして、ニヒルに笑って言葉を続けた。「私は住人だからね。」


そして、ジャンヌを見てこう言った。

「私は隠者でございます。姫。」

メイザースは軽く会釈をした。その視線の角度はジャンヌの無防備な胸の谷間に接妙に噛み合っていたがメイザースは動じる事はなかった。

「これは隠者様。ごきげんよう。」

と、姫も動じずにシルクの長手袋の右手を差し出す。次の瞬間、何か違和感があったように眉をひそめた。

 まあ、そうだよな。でも、仕方ないよなぁ。あんな大きな胸の谷間を見ないで顔に視線をロックオンしておくのも不自然だし。

 と、メイザースに同情しながらも、この後、テンプレ展開を期待した。

 頬を叩かれ→ガン見すんなよドスケベ!と侮辱される

そんな展開を想像し、自分はどうするべきかを考えていた。が、予想外の展開に思考が止まった。

 ジャンヌは怪訝そうな顔でメイザースを見つめ、それから何かに気がついてように嬉しそうに微笑んでメイザースに抱きついた。

「旦那様っ!会いたかったわっ。」

ジャンヌはそう言って、その豊かなバストにメイザースの顔を押し付けて喜んだ。メイザースの表情はジャンヌの豊かな胸に埋まり私からは見えなかった。

 その様子に関係者の老人たちが慌ててジャンヌをメイザースから引き剥がそうとした。


 「もう、本当にわからないのですか?旦那様。私ですぅ。あなたのしもべ水の精霊ミネルバです。」

ジャンヌの言葉にメイザースは叫んだ。そして、懐かしい旧友でも見るような顔でジャンヌを抱きしめる。

「ああ、君か!懐かしいな。」


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