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ラノベ作家と予言の書  作者: ふりまじん
かくれんぼ
57/61

部屋


 メイザースの部屋は、意外にも近代モダンな感じだった。

窓部の上品な樫の机にパソコンが置いてあって、他には何もない。そして、部屋の中央にはジャガード織の上等な布で作られたソファーがある。

 グアニンが私をそのソファに案内する。そして、すでにそのソファに座って私に笑いかけている。

 あの、メイザースが、この私に…笑いかける。

嫌な予感しかしませんが、意外なことにメイザースは開口一番、私にこう言った。

 「卯月さんの居場所が、ある程度、特定できたよ。」



 私ははやる気持ちを抑えて、まずは座った。それから、マテ茶をテーブルに置くグアニンのが下がるのを静かに待った。

 メイザースは優雅に、というか、もったいぶる様に時間をかけてマテ茶を飲む。私もそれに合わせてゆっくりとマテ茶を口にする。

 慌ててはいけない。そして、この場を制する権利をメイザースに渡すわけにはいかない。

 私は、作者を、私の作者を無事に取り戻さなくていけない。

 世紀の大魔術師から、

 そして、悪魔大公からも、傷ひとつつけられることなく、取り戻す。


 その為には、冷静さをなくすわけにはいけないのです。


 「それは、ご苦労様です。それで、あの方は、どこにいらっしゃるのでしょう?」

私の質問に、メイザースはカップに視線を落として薄ら笑いを浮かべてから、ゆっくりと答えた。

物質界イエツイラー。そこまでは感じた。」

「イエツイラー?ペンタグラムの階層ですね。」

私の胸ははやる気持ちを抑えてメイザースを見た。回想が分かっても、パスを特定しなくては作者の元に辿り着けるか、わからない。

「ああ。一度、彼女の思念が私と繋がったのだよ。ここから、これで彼女の形跡を辿ろうと思う。」

メイザースはタロットカードを私に見せた。それは、彼が作ったオリジナルのものでしょうか。私には面識のない、裏表紙のカードです。

「わかりました。それでは、私も、お手伝いいたしましょう。」

私はポケットからのタロットカードを取り出した。

世界的に有名で、売れたカード。黄色い背景を背に立つマジシャンの描かれたそれは、アーサー・ウエイトの制作したタロットカードです。

 数年前にウエイトのタロットの権利が切れたと言われました。

 ただ、遊具として販売されている各版でアレンジなどが入っている場合は、権利は生きている場合がありますが、構図を考えたウエイト、絵柄をデザインしたパメラの著作権が日本で切れたので、私がそれを元に複製、再作成をしたオリジナルタロットです。


 黄金の夜明け団と仲違いをしたメイザースには、あまり見て楽しいものではないのかもしれませんが、気にしている場合ではありません。

 一刻も早く、あの軽薄な悪魔から作者を救出しなければ。

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